私の1st写真集「穂高 煌めきの稜線」をAmazonから絶賛販売中です。
本作は書籍版とKindle本の2つのフォーマットで販売していますが、いずれもAmazonのKDPというサービスを使って出版・発売しています。今日はこのKDPについての概要と、KDPで写真集を出版するメリット・デメリットをご紹介します。
KDPと書籍出版
KDPはKindle Direct Publishing(キンドルダイレクトパブリッシング)の略称。
その名の通り「Kindleから・直接・出版する」ことができるAmazonのサービス。もともとは電子書籍を個人が出版・販売することができるサービスでした。
2021年秋にサービスが拡張して、電子書籍だけではなくペーパーバック(紙の書籍)も利用できるようになりました。
それまで製本版の出版には「特定業者(ブックパレットやネクパブ・オーサーズプレスなど)」を介して申請する必要がありました。それが個人でも出版できるようになったということで、一般人が個人で書籍を気軽に出版・発売できる時代が幕を開けたわけです。
KDPのメリット・デメリット
KDPは出版する書籍の内容も自由です。小説・歴史書・随筆・漫画・児童書・写真集・・・と好きな本を出版することができます。
何より特筆すべきなのが、本を出版するのに費用がかからないこと。さらに、注文があった場合、書籍はAmazonから出荷されるので在庫を抱える必要がなく、自分で出荷する手間がかかりません。
本当に便利な時代になったと言わざるをえません。こういったサービスが拡大することは、利用者にとっては喜ばしいことですが、時代の変革についていけない本屋や卸業者、あるいは中間業者などはいっそうの淘汰が進むのだろうな、と同時に思ったりもします。
KDPの個人利用ができない場合、(1)出版社から本を出版するか、(2)多額の費用を投じて自費出版するか、(3)印刷会社で製本して自分で販売・発送するしかありませんでした。
タイトルに「メリット・デメリット」と付けているので、デメリットがないか改めて考えてみましたが、特に見当たりません(…釣りっぽくてすみません)。リスクなく、費用なく利用できるサービスですので、デメリットはないと言えるでしょう。一方、KDPに対する要望はあります。その辺りを深掘りしていきたいと思います。
KDPの特徴 | |
電子書籍 | 販売可能。 |
紙書籍 | 販売可能。 |
費用 | 0円。 |
リスク | ない。 |
在庫 | 抱える必要ない。 |
出荷 | 全てAmazon任せ。 |
KDP書籍(ペーパーバック)のここがイマイチ
はじめにKDPの素晴らしい特徴をおさらいしましょう。
『 Amazonという二大巨頭のECプラットフォームで自分の書籍を販売できる。さらに自分自身で在庫を抱える必要がなく、注文から発送まではオンデマンドなので、出荷をAmazonが行ってくれる。つまり、販売を開始すれば後は放置で大丈夫。書籍版はPrime商品となり、最短で翌日から2日後には届く。 』
Amazon信望者ではないのですが、無料で利用できることからも、このサービスには感謝しかありません。
一方で、あえて言えば「ここがイマイチ」「改善してくれると嬉しい」というポイントを挙げていきます。
(まだサービスが始まってから間もないので、今後改善される。サービスが拡大する可能性がありますがご了承ください。)
- A4より大きなサイズが選べない。
- A4サイズでは横向き(ランドスケープ)が選べない。
- プリント紙の種類(厚み・マット光沢)が選べない。
- プリント紙が薄いので紙が歪みやすい。
- プリントの品質を選べない。
- 暗部(シャドウ)が潰れがち。
- 表紙にハードカバーを選べない
※ 利用できる国もあるため、日本もいずれ対応する可能性あり。 - 紙の写真集の場合、PhotoshopかIllustratorがないと難しい。
出版者本人が割安で買う仕組みがない。
いずれも「写真集」を作る観点で列挙しています。
写真集に特化したサービスではないので致し方ない面もありますよね。他のジャンルの本、例えば小説、エッセイ、自叙伝、解説書などビジュアル訴求が主たる目的でなければ気にならないかもしれません。
KDPのマイナスポイント | |
A4横長 | 対応していない。 |
A4より大きなサイズ | 利用不可。 |
プリント紙 | 薄い(一般的な雑誌レベル)。 |
紙の歪み(波打) | プリント紙が薄いから発生する。 |
プリントの品質 | 低い(写真グレードではない)。 |
シャドウの表現 | 悪い。 |
ハードカバーの表紙 | 日本は利用不可。 |
入稿用データの制作 | 誰でもできるほど簡単ではない。 |
著者は割安で… | 著者用コピーを印刷費用のみで買えるようになりました。 |
KDP 電子書籍とペーパーバックの比較
詳しくは今後の記事で紹介しますが、電子書籍とペーパーバックを出版するにあたり、入稿用のデータはそれぞれ別個で作る必要があります。
これが統一されていると出版の敷居がさらに下がると思うのですが・・・とは言え、これだけ便利なサービスです、製作者側が対応するのは止むを得ないかもしれません。
入稿用データはいくつかフォーマットを選べますが、私の場合、電子書籍をKPF、ペーパーバック用データをPDFで作成しています。
写真の見え方については一長一短あり、製本版であれば「本」として楽しむことができますが、Kindle本の場合はあくまでタブレットやスマートフォンのディスプレイ上で見ることになります。「そんなわかりきったことを・・・」と言われてしまいそうですが、写真集に何を期待するかで選ぶべき種類が変わると思っています。
つまり、製本版であれば「ページをめくる感覚」があり、本棚に陳列することができますが、色の表現や暗部の表現でKindle本に劣ります。
Kindle本であれば物理的な場所を用意することなく、かつ場所を選ばず写真集を見返すことができます。加えて、RAW現像したリアルな写真を閲覧することができますので、デジタル写真の画質を損なうことなく読者に伝えることが可能です。
まとめ
私がKDPの最たる魅力だと思っているのが、製本版と電子書籍どちらも出版することが可能な点です。電子書籍といえばkindleが先駆けであり、kindleアプリで閲覧している人が多いでしょう。加えて、書籍版(ペーパーバック)も個人で完結できるようになり、本を出版したいと思っている人にとっては極めて魅力的な選択肢だといえます。
KDPのメリットというのはつまり「自分でやれる人には選択肢が与えられる」ということです。
売れた分だけ収益も発生します(販売価格により大きく変動します)。費用がかからずリスクもなく、発送する手間もかからないKDP、今後、プリント紙の選択肢が増えたり、ハードカバーに対応したりすれば嬉しいですね。
改善してほしいと思う点はありますが、あくまで要望であり、初期費用が不要な点を考えればデメリットと言えるようなものではありません。利用しない手はない、そんなサービスだと思います。
AmazonKDP写真集出版シリーズ
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