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Amazon KDP 「写真集のテーマ決め」と「主題」の絞り方

2022年7月3日 

今日はAmazon KDPを利用して写真集を出版するにあたり、そもそも「どんな写真集を作ったらいいのか」について考えてみます。

しかしご安心を、写真集のテーマを決めるのは難しくありません。写真集を作りたいと考える時点で、自分自身の写真の方向性が見えているはずですから。

写真集のテーマを絞るにあたり2つの方向性を考えてみます。

一つは作品テーマをあまり絞らない作品集、もう一つは特定のテーマに焦点を絞った写真集です。どちらを軸とした写真集を作りたいのかまずは決めていきましょう。

テーマを決める二つの方向性

ひとつは「○○○○ 写真集」「○○○○ Photography」のように撮り手を主人公としたポートフォリオ写真集。

収録する被写体やテーマにあまりこだわらず、自分の代表作だと思える写真を掲載します。

代表作を掲載するだけなので制作のハードルは低いものの、有名人や影響力がない場合は購入してもらうハードルは高くなると言えます。

もうひとつは「穂高 煌めきの稜線」のように被写体を絞り、テーマを持った写真集です。

こちらの場合は写真集のテーマありき、誰が撮っているかは副次的な扱い。該当ジャンルの写真集を探している人、その撮影テーマに興味がある人には手に取ってもらいやすい利点がある反面、写真集を完成させるハードルは高くなります。

撮り手のポートフォリオ写真集

このタイプの写真集はタイトルが「人の名前 写真集」や「人の名前 Photography」となります。歴史上の有名カメラマンの写真集や、後年に自身の作品をまとめる場合など、こちらのタイプが多いように思います。

写真集ではない他の芸術作品(建築や絵画など)ではもっぱらこちらのタイプが多いでしょうか。

メリット

掲載できる写真のジャンルが固定されないため、好きな作品を無作為に掲載できる点です。

ポートレート、風景写真、建築、動物・・・色々なジャンルが混じっていても構いません(売れるかどうかは別として)。

日頃の撮影ではジャンルを固定せず幅広く撮っている人も多いですよね。そのような方が気軽に写真集を作るのに向いているとも言えます。

デメリット

撮り手が有名、あるいはSNSなどで影響力がないと売れにくいことです。

当たり前の話ですが、訳のわからんフォトグラファーが作った写真集なんて誰も探していません。写真集がある程度売れるためにはSNSなどで影響力がある、あるいは自分が撮っているジャンルだから参考にしたいといった需要と供給が必要。

このパターンの写真集で売上を立てるには、日頃からSNSに写真をアップしてフォロワーを増やす。オンライン上で交流する。何より日頃の写真でファンを増やす必要があります。

テーマ(被写体)を限定した写真集

先ほど紹介したポートフォリオ系の写真集と比べて、テーマを絞った写真集の方が一般的。

どんなテーマの写真集を作るかは自由。学校の宿題でも会社からの課題でもありませんから。

写真は自由であり、誰にでも開かれています。芸術とも言える活動からどんなテーマを抽出するか・・・繰り返しになりますが、裁量は撮り手にあります。

ある意味、自由とは責務からの解放として憧れの対象となりますが、翻って、自己責任と同義であり、だからこそ悩ましい。そんな側面もありますよね。

テーマを絞る範囲

日頃撮影している主題が風景写真だとします。

山岳風景、川、滝、峠、森林、海岸、星、広野、花、鉄道風景・・・これらを幅広く写真集に掲載したいのであれば、前述の「○○○○ Photography」のように「フォトグラファーのポートフォリオ写真集」とした方が良い場合もあるでしょう。

一方、撮影範囲が広すぎて困っている場合、以下の視点でテーマを絞っていきましょう。

1. 撮影テーマを「エリア」で絞る

被写体の種類は限定しない場合、地域やエリアを絞る方法が王道です。

例えば「北海道」「九州」のように都道府県で区切る場合や、「富良野」「阿蘇」のように特定地域に焦点を当てる場合があります。実売されている風景写真集を見渡してみると特定の地域まで撮影の範囲を絞り込むのが一般的です。

写真集に掲載すべき枚数は概ね40〜65枚程度に集約される関係から、扱う範囲があまりに膨大だと紙面的に難しい。例えば「北海道」というテーマは広すぎて、掲載枚数がいくらあっても足りませんね。

2. 共通のテーマで主題を絞る

撮影場所は限定せず撮影テーマに一貫性を持たせる事もあります。

例えば「日本の鉄道風景」と題すれば都道府県関係なく、日本全国の鉄道風景を掲載できますし、「日本の原生林」とした場合も複数の場所を扱うのが自然です。

他には、日本の名爆、○○がある風景(例えば風車がある風景)、海中写真、特定の生き物、マイクロ(マクロ)写真、特定の文化(お祭りや伝統行事など)、神社仏閣・・・共通のテーマを扱うことは最も一般的な写真集の構成だと言えそうです。

3. 伝家の宝刀(絶景○○選)

ここまで色々と説明してきましたが、それでも「特定のテーマで写真集を作るのは難しそうだ・・・」そんな貴方に朗報。

もし日本全国で風景写真を撮っているのであれば、例えば「日本の絶景50選」「四国の絶景50選」など『絶景』という縛り(テーマ)を入れるのも手です。

メディアや出版社がよく利用する手法であり(様々なカメラマンの良い所どりができるから)、個人的にはあまり好きではありませんが・・・日本全国を飛び回っている活動的な方に向いている手法だと思います。

山岳写真のテーマ決め

山岳写真で考えてみましょう。

私が持っている写真集の中で最も広範な範囲を扱っているのは白簱史朗先生の「日本アルプス」ですが、これは白簱先生だからこそできる芸当であり、一般には扱いにくいテーマだと言えます。考えてもみてください。日本アルプス・・・つまり北アルプス、南アルプス、中央アルプスをまとめた写真集なんて、範囲があまりに膨大。全てをバランスよくカバーして掲載するなど至難の業です。

本書も描写的な側面だけでなく、図鑑的な要素があるのも事実です。

その次に広い範囲は北アルプスでしょうか。写真集全体の整合性を考えると、北アルプスや南アルプスのように「特定の山域」まで絞るのが合理的です。

最も多いパターンは特定の山岳までテーマを絞ることですね。

山岳写真集の難易度別テーマ

趣味で山の写真を撮っていて、山岳写真集という極めてニッチでマイナーな写真集を作りたい方がどの程度いらっしゃるか不明ですが・・・山岳写真集「おすすめのテーマ」を私が思う難易度別にまとめてみました。

山岳写真集を作るのに簡単な山域など無いのですが、あえて分類すればという解釈でお願いします。

撮影難易度(高)

利尻山

利尻山は日本一難しい山でしょう。立地もさることながら、冬季の晴天率があまりに低く、かつ周囲に衛生峰がないため本山に登るしかありません。

しかしながら、日本離れしたその圧倒的な山容は魅力的ですね。

剱・立山

剱岳や立山は冬季登攀撮影がほぼ不可能な反面、周囲の衛星峰に恵まれているため意外と積雪期の撮影は可能なようです。東西南北撮りやすいのも魅力的。

剱岳の核心に迫ろうと思えば、難易度は極めて高いと言えますが、剱岳にしかない魅力がありますよね。私も富山にもう少し近ければぜひ挑戦したかったのですが・・・いかんせん、遠すぎます。

後立山連峰

菊池哲男先生が精力的に撮っている山域ですね。白馬・五竜・鹿島槍という名峰が連なる魅惑の山域。通年営業のリフトが撮影を大きくバックアップしてくれます。稜線上に山小屋とテントサイトがあるのも魅力的。

一方、冬季登山の難易度は非常に高く、基本は南北からの撮影となるため構図が似てしまうのも難点です。

槍穂高

春夏秋冬・東西南北からの撮影ができるので撮影のバリエーションには困りません。一方、山深い場所に位置し、周囲にある山々の標高がいずれも高いため、サッと登って気軽に撮影することができないのが玉にきず。

意外に思われるかもしれませんが、利尻山や剱岳ほどインパクトがある山容ではありませんので、構図を含めて撮影の工夫が重要です。

特に槍ヶ岳は写そうと思うと山体と周囲のバランスを図るのが難しい(穂先が小さいので)。

穂高は稜線繋がりの連嶺で独立峰ではありませんので、高さを表現することが難しかったり、剱岳ほどギザギザしていなかったりと、意外な難しさが潜んでいます。

裏銀座・雲ノ平

厳冬期は撮影ができないため、初冬と残雪にいかに積雪期の写真を残せるかが重要。加えて、裏銀座にある山はなだらかな山容をしていますので、高山植物を前景に入れるとか、槍穂高を背後に入れるなど構図が難しい印象です。

どの登山口から登っても遠いので、ここをテーマに写真集を作るのは骨が折れますね。

南アルプス(広域)

南アルプス全体をテーマにするのは本当に大変なことだと思います。北部はまだいいのですが、南部に通い、かつ冬季の撮影までしようと思えばかなりの労力と時間が必要。

相当厳しい戦いになることが予想されます。

難易度(中)

北アルプス(広域)

北アルプス広域は特定の山をテーマにするより難しさが分散するため、難易度を1つ下げました。結局のところ、1つの山を掘り下げていく作業が大変ですからね。印象的な写真を1つ選ぶだけならそれほど難しくないでしょう。

白峰三山・甲斐駒ヶ岳

南アルプスで特定の山だけを対象にする場合、白峰三山が最適ではないでしょうか。

甲斐駒ヶ岳もいいですが、単体で十分な素材を集めるのはやや難儀しそうな印象です。

中央アルプス・八ヶ岳

中央アルプスと八ヶ岳は厳冬期でも(比較的)歩きやすいことや、そもそも山域が北ア・南アに比べて圧倒的に小さいのでかなり撮りやすいと思います(大変なことに変わりないですが)。

富士山

富士山はどのような写真集を目指すかによりますが、ここでは稜線からの撮影もすることを前提としています。下界から撮るだけだと、それこそ写真集が溢れていますから、それはそれで悩ましいのかもしれませんが。

谷川連峰

谷川連峰は意外にも写真集が全然ありませんので狙い目ではないでしょうか。四季が明確で、高山植物も豊富、紅葉が美しく、積雪も豊富です。

面白い山がたくさんありますしね。

神奈川住まいの私でもアクセスしやすいので、魅力を感じている山域です。難点はテントサイトがないので無雪期がしんどいことです。

難易度(低)

  • 燕岳
  • 御嶽山
  • 上高地
  • 伯耆大山
  • 石鎚山
  • 九州の山岳(広域)
  • 四国の山岳(広域)
  • 東北の山岳(広域)

九州・四国・東北の山はどこか一つの山岳に絞るよりは地域性を推したほうが写真集を作りやすいかもしれませんね。

強いて言えば四国の石鎚山、東北では鳥海山、岩木山、九州では阿蘇山でしょうか。他はなかなか難しそうです。山岳写真集というよりは風景写真集としたほうがマッチするかもしれません。

伯耆大山は西日本の山岳カメラマンが皆こぞって撮っていることや、伯耆大山しか撮らない特殊なカメラマンが多数存在していることにより、撮り尽くされている、ある意味難しい山だと言えそうです。東の富士山、西の伯耆大山といったところでしょうか。

御嶽山は火山活動により入山できなくなってしまうリスクがありますが、それ以外は撮り甲斐もあるし、文化的側面も面白く、撮影面でも好条件が揃っておりおすすめできそうです。

まとめ

写真集を作ることが写真活動の目的であれば、ある程度テーマを決めてから撮影に望んだほうが効率的なのは間違いありません。

写真集など作らずに、気楽に撮影するのも手ですが、もし写真集という形で作品をまとめたい場合は、まずは自分の好みや適性からテーマを考えてみるのも面白いと思います。

一方で、誰に指示されて作る訳ではありませんし、AmazonのKDPであれば手数料もかかりませんので、上で紹介した○○○○作品集として個人の作品をまずはまとめてみる、というのも一考ですね。

AmazonKDP写真集出版シリーズ

  1. 写真集「穂高 煌めきの稜線」発売のお知らせ
  2. Amazon KDP 苦労してでも「写真集販売」という道を選んだ理由
  3. Amazon KDP 出版社を介さず写真集を出版する「メリット・デメリット」
  4. Amazon KDP 「写真集発売の手順」写真集の構想から販売開始まで
  5. Amazon KDP 「写真のセレクト方法」と「掲載枚数」について
  6. Amazon KDP 「写真集のテーマ決め」と「主題」の絞り方
  7. Amazon KDP 写真集に「作品解説」や「あとがき」など文章情報は掲載すべき?
  8. Amazon KDP 写真集出版に向けた「入稿用データ」の作成方法(製本版・電子書籍)
  9. Amazon KDP 写真集出版で辛かったこと&嬉しかったこと「10選」を振り返る
                           
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横須賀育ち横浜在住の30代。山岳写真が好きで北アルプス中心に活動しています。好きな山は穂高岳。製薬企業を退社して2017年に自転車日本一周達成。現在は代理店・EC関係の仕事をしています。
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