7月某日、上高地から涸沢を経て穂高岳へと1泊2日のテント泊登山へ行ってまいりました。
天気予報としては朝一、日の出にはもしかすると晴れ間があるのではないか!?という一縷の期待を胸に望んだわけではありますが、結果は惨敗も惨敗。これまでの登山の中で一番雨に打たれました。
登山口から穂高岳山荘まで、帰りも穂高岳山荘から上高地までずーっと雨が続く厳しいものでした。登山中に一回もカメラを使わなかったということも初めてですし、これほど長時間雨に打たれることも今後滅多にないでしょうから、夏山における雨登山についてや、カメラ撮影なしの登山について珍しい体験記として記録を残しておこうかと思います。
気持ちが強すぎると人は理解できない行動に出てしまう、という自戒
今回の登山、ヤマテンとしても一瞬の晴れ間があるのではないか!?という予報でしたし、実際に蝶ヶ岳や燕岳など標高が低い山域では一瞬ご来光が見れたと言います。では、穂高はどうだったかと言えば、本当にず〜っと雨が降り続いていました。
悪天候が予想される中で登山に出かけたのは、新型コロナの流行で外出自粛が続いたことでストレスが溜まり、天気が悪くとも登山に行きたいという想いからでした。
いやしかし、後から振り返るとそれはまともな判断とは言えず・・・。
想いが強すぎると訳のわからない行動に出てしまうものだな〜と実感したのです。実際、ヤマテンの最終予想が出る17時くらいまで右往左往するほどに出発は悩んでいましたが、今思えばよく行ったものです。夏山とは言え、タフな工程で終日雨に打たれると低体温症のリスクが高まりますので、ことさら山に関わる判断は冷静に行いたいと、自戒の念をこめてブログの記事を書いています。
撮影を伴わない登山も、たまになら悪くないという気付き
私は登山自体を楽しむことはもちろん、明確に写真を撮るために入山しています。
そのため、今回のようにカメラをザックに入れっぱなしで、黙々と歩くということ自体、初めての経験でした。最近は山の記事ばかりなので意外に思われるかもしれませんが、私はもともと写真が好きで、日本一周の際にアウトドアメーカーのエバニューさんのスポンサーシップのご縁をきっかけに登山を始めました。
だからカメラを持って入山する、山で写真を撮るというのはすごく自然なことでした。
それからは、山岳写真という物自体が主たる活動に移行する訳ですが、だからこそ今回のようにカメラをいじらず山を歩くというのはすごく新鮮で不思議な感覚すら覚えたものです。
山を歩く目的は千差万別、まさに人それぞれであり、そこに良し悪しの区別はないと思っていますが、いかなる目的であっても、山を歩くという行為自体が楽しくないと感じている人はいないでしょう。もしそうであれば、特に撮影が主たる関心事である場合は、たまにはこうしてカメラなしの登山を楽しんでみるというのは悪くないかもしれません。
良くも悪くも、カメラを持って歩くと「良い写真を撮りたい」という想いが先行してしまい、山を被写体として見てしまうあまり、登山本来の「歩く」という楽しみを軽視しがちです(私は特に)。
今回の登山ではシャッターを切ることなく、普段以上に純粋に山を歩く行為自体を満喫することができました。
夏山×終日雨×テント泊は かなりキツイけど良い修行となった
上ではカメラをいじることなく山歩きに集中できたというニュアンスで綴っていますが、実際のところは相当にタフな登山でした。
今回は上高地から涸沢を経由し、ザイテングラートを歩いて穂高岳山荘でテント泊をしましたが、上高地の時点から穂高岳山荘まで終日雨です。上高地から穂高岳山荘までは標高差が1500mあるため、そもそもテント泊の場合は2泊3日が推奨される工程です。単純にテントを担いで1日で登ること自体結構しんどい道です。
その上、真夏。そして、雨。
こうなると汗と雨でウェアは一式びしょ濡れになることは回避できません。
通常より多めのウェアを携帯する必要があることはもちろん、標高差による気温低下や水濡れによる体温の低下による低体温症が結構怖い状況です。
さらにテント泊なので、山荘の乾燥室が使えるわけでもなく、凍えたからで雨の中幕営して、さらに翌日も終日雨となるとかなりストイックな登山となります。
当然、登山靴はびしょ濡れで乾くはずもありません。翌日もびしょ濡れで死にたくなります。
穂高岳山荘からの下りのザイテングラートは事故が多い場所ですので、疲労による転倒にも一層の注意が必要です。
私自身、2日間雨に打たれ続ける登山というのは初経験でしたが、これはキツイぞ、と。相当しんどかったです。
あえて雨の日を狙う必要はないのですが、こんな環境だったからこそ鍛えられた自分がいます。雨の登山を経験することは、自分の山レベルを引き上げるのにはすごく良い環境だからです。
今回は穂高に鍛えてもらった、そんな風に思える登山でした。
新たな気づきもありました。
たまにはカメラを置いて、ストイックに自然や山を感じてみるのも良いのかもしれません。
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