今週末からいよいよ関東も梅雨入りしそうですが、梅雨が終わるといよいよ夏山シーズンの到来ですね!
新緑に彩られた美しい山岳風景を待ちわびている人も多いのではないでしょうか。実は、そんな夏山登山でこそ予防したい重大な登山リスクがあります。
それは低体温症です。
登山で寒い経験をするのは雪山だと思われがちですが、そんな人ほど夏山で痛い思いをしてしまうかもしれません。今日は夏山でこそ注意したい低体温症と、私の登山経験で低体温症のリスクを身近に感じた登山記録をご紹介したいと思います。
低体温症とは
低体温症とは、「体の芯から冷えることで、手足が正常に動かなかったり、症状が酷い場合は意識を失ったり、最悪の場合は臓器不全で死に至る状態」のことを言います。
医学的に言うと腸内の温度が35℃以下になってしまう状態ということらしいですが、登山界隈では軽度の低体温症から死に至るような重度の低体温症の状態まで、幅広く低体温症と呼んでいるように思います。
あくまで個人的な感覚ですが、この時の寒さは雪山の中で感じるような刺すような寒さ(痛さ)ではなく、風邪などを引いて悪寒が酷い時のような、身震いして身体の芯から寒いと感じる感覚に近いのかなと思います。
私は低体温症と診断されたことはありませんが、軽度の低体温症を疑うような状態になったことがあります。
その時は手が真っ白になり、震えて細かい作業をするのが難しい状態でした。
低体温症で亡くなる方の多くが高齢者のようですし、死亡理由としては登山以外の要因が多いようですが、登山においても低体温症は最大限注意を払わなければならない重大なリスクの一つに変わりありません。
有名な例としては北海道大雪山系の山であるトムラウシで、ツアー登山中に8名が低体温症で亡くなったトムラウシ山遭難事故が有名ですね。
[st-cmemo fontawesome=”fa-external-link” iconcolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#fafafa” color=”#757575″ iconsize=”100″]Wikipedia:トムラウシ山遭難事故[/st-cmemo]
夏山でこそ低体温症にご用心
夏山のリスクと言いえば一番怖いのは落雷ですが、実は夏山でこそ低体温症には注意が必要です。
雪山登山の場合、遭難でもしない限りはおよそ保温性の高いウェア類(フィルパワーの大きいダウンなど)や加温できるギア類(ストーブなど)を携帯している場合がほとんどですが、夏山登山は比較的軽装の事が多いからです。
また、雪山では一般的に雨は降りませんが、夏山では予測できないタイミングで雨に降られることも多く、低体温症のリスクとなります。
低体温症のリスク要因と対処法
- 雨風に長時間晒され続ける
- 遭難時に雨風を防ぐ術がない
- 濡れた衣類を長時間交換する術がない
- 雪山で遭難する
- 雪山でグローブなど重要装備を紛失する
- 十分なカロリーを維持せず過剰行動する
登山をしていると想定外の事態に陥ったり、予期せぬトラブルに出くわすものです。
予めリスクファクターをしっかり把握しておくことで、低体温症にならならないよう気を付けたいですね。
重度の低体温症になってしまうと安易な治療が逆効果になることもあるようですが、基本は濡れている衣類を交換する、暖をとる、休息をとる、カロリーを補充するといった対処をとります。
もしもの事態に備えるためにも、予備の衣類を装備したり、十分なガスを持ち運ぶなどしっかりとした用意をすることが大切ですね。
寒さで震えた山行記録「5選」
低体温症でこそないものの・・・いや、もしかしたら軽度の低体温症になっていたかもしれない、そんな危険を感じた登山を何回か経験していますので厳選してみました!
【1】大雪山~十勝連峰
夏山登山にて北海道の十勝連峰を縦走していた時のこと。最終日は霧雨と暴風でした。ウェアの隙間から雨風が侵入してかなり濡れてしまいました。
前日はトムラウシの南沼からオプタテシケを越えて美瑛富士キャンプ指定地まできついコースを歩いたこともあって疲労困憊。
雨風による水濡れと体力の低下で低体温症のリスクを一番身近に感じた登山だったと思います。
【2】白馬岳
晩秋の北アルプス白馬岳。北アルプス初冠雪の日に白馬大池にて幕営していました。まだ雪山登山は経験がないこの頃、あまりの寒さにテント内でストーブを使ったためか、寝ている間にシュラフカバーが結露してシュラフが濡れる大惨事。
あの時の寒さを忘れることは生涯ないでしょう。酷寒の中にいてシュラフが濡れてしまったとあれば、低体温症待ったなしの危ない状況ですね。
【3】穂高岳
初夏の前穂高岳をナイトハイクで登りました。日の出を期待するも雨で撃沈。大雨に打たれながらの吊尾根歩きで夏とは思えない寒さに。
穂高岳山荘では登山者がストーブの周りにへばりつく異様な事態に。夏山登山でも条件が悪ければこれほどまでに冷えるのかと思い知った登山でした。
【4】赤岳
ザ・厳冬期と言う時期に寒いことで有名な八ヶ岳の行者小屋で幕営。行者小屋は赤岳や阿弥陀岳から見て盆地のような場所にあるため冷気が下りてきて死ぬほど寒いのです。ホッカイロまで持ち込んで万全の態勢で寝たつもりですが、行者小屋の気温計はマイナス20℃。
こういった外気温で、万が一遭難でもしたら・・・ひとたまりもないと感じた厳冬期の夜です。
【5】上河内岳
夏山の午後遅くは雨が降る。そんなことを身をもって学んだ南アルプスの上河内岳登山です。雨の多い南アルプスで遅立ちは雨のリスクが伴います。轟々と降り注ぐ大雨の中登った茶臼岳の登山道。しばらくレインウェアのパンツを履いていなかったこともあり、想定以上に濡れてしまい横窪沢小屋に着くころには寒さで震えていました。
レインウェアは着るなら必ず上下で。そんな基本ルールと真夏の雨の冷たさを改めて学んだ厳しい登山でした。
まとめ
低体温症のリスクは登山で必ず付きまといます。雨風に濡れない、遭難しない、体力を考えて歩くなど、登山の基本が低体温症から身を守るためには有効です。低体温症に気を付けて登山を楽しんでいきたいと思います(๑╹ڡ╹๑)p♪
お気軽にコメントください