【北アルプス】後立山連峰 縦走登山(夏山・テント泊)初冠雪の白馬岳へ

北アルプス遠征登山に行ってきました。長らく停滞していた秋雨前線がようやく南下し、天気予報によると秋晴れが3~4日間は続きそうとのこと。秋晴れを待っていた私にはこれ以上ない嬉しいニュースでした。

この前、穂高岳(前穂~奥穂~北穂)を縦走してきたばかり、今回は何処へ行こうか??そう考えただけで胸が躍ります。複数の候補(剱・立山、裏銀座など)がある中で、決めたのは後立山連峰

北アルプス屈指の人気縦走路であり、名峰が立ち並ぶその壮観な景色を楽しみに、行って参りました。

目次

後立山連峰縦走登山(1日目):長野~栂池高原~白馬大池

まずは新宿のバスタ新宿から長野駅に移動します。

これまで新宿⇔松本の便を利用していましたが、新宿⇔長野は初めて。

また、夜行バスということで・・・

3列の独立シートです!

これは嬉しい。お隣さんとくっついてないので広々とスペースを使えますし、足も伸ばせるようになっているので、普段の4列シートと比べると寝やすい。

しかし私は夜行バスで全く寝れない性質。ウトウトするだけで長野までの6時間ほどを過ごします。前泊移動してもいいんですけどね、宿泊代かかるし、まあいっかと言うことで)

長野駅前、結構寂しい感じで24時間営業のお店が近くにない問題

…なんだって!?

松本は目の前にマックとかカラオケとかあったのに。長野駅!?県庁所在地・・・。

しかし、私は日本一周チャリダー。これくらいで動じる訳にはいきません。少し離れれば24時間のマックやガストがあるんですが、駅前にはなさそう。タクシー使うのも癪なので、適当にその辺で寝ました

日が昇っても、バス始発の時間までまだ幾分あります。

駅ビルに入っているスタバでブレークファスト。

長野駅には東口と善光寺口とがあり、東口の科の木というkioskでバスの切符を事前に購入することができます。

購入したのは長野駅⇒栂池高原(つがいけこうげん)の切符です。

後はバスが来るのを待って、栂池までレッツゴー。

快晴の青空の下、栂池高原に無事到着。さあ、ここから登山スタートです。

後立山連峰のご紹介

これから数日かけて歩く後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)を簡単にご紹介したいと思います。後立山は読んで字のごとく、立山(北アルプス北部、富山の山々)の(富山から見て)背後にある山脈のこと。場所は富山県と長野県にまたがります。

主な山は白馬岳唐松岳五竜岳鹿島槍ヶ岳、(針ノ木岳蓮華岳など。

一番高いのは標高2,932mの白馬岳で、南部の槍ヶ岳と並び北アルプス人気の山ですね。

今回の移動ルートと後立山の位置関係を図にしてみました。今回私は白馬岳から登り、唐松、五竜、鹿島槍と縦走します。(もちろん逆ルートでも縦走可能です)

栂池高原

栂池・白馬大池という登山口から白馬岳山頂を目指します!

「え?」と思われた方が多いかもしれません。「なんで白馬大池?大雪渓は?」と思いますよね。いや本当に。

白馬大雪渓、雪不足で通行止め

「白馬岳」と言えば「大雪渓」と返ってくるくらい、白馬の大雪渓は有名で、通常はこのコースから登る人がほとんどです。雪渓歩きを楽しめるし、登山の時間も一番短いので人気のコースです。しかし・・・。

2016年は例にない雪不足の影響で、9月から大雪渓が通行止め

雪渓の内部が空洞化しており、安全性を確保できないのがその理由。大雪渓から登るのが一番早いんですが、通行止めじゃ仕方ありません。そこで代替案として白馬大池を経由するルートで今回は登ります。

大雪渓は年々雪が減っていると言われており、温暖化の影響なのか何なのか・・・心配ですね。

バスで栂池高原に着いた後は、ゴンドラリフトイブ、栂池ロープウェイと乗り継いで登山口まで移動。

ロープウェイから見える景色は格別!これからこの山稜を歩いて行きます。

栂池山荘、栂池ヒュッテ

ロープウェイを下りて少し歩くと栂池山荘栂池ヒュッテがすぐ見えてきます。

それにしてもいい天気ですね。本当、誰が思います?この後、雪が降るなんて。

時刻は11時ということで、ちょっと早めのお昼ご飯。

白馬岳、登山スタート

栂池には栂池自然園という公園もあり、そちらを散策する人も大勢いらっしゃいます。この時期だと登山する人はほとんどいないので、たくさんの人の中から私だけ登山口へ。

いい天気の下、石の階段を上って標高を上げていく。10月も半ばですが、天気がいいので暑いくらい。

落陽したダケカンバの白い幹が緑の中に浮いているようで美しいですね。

青空もいい感じだし、幸先良いスタート。

1時間半ほど歩いて天狗原に到着。ベンチがあるので少し休憩。

その後は大きな岩の上を縫うように歩いて行きます。

栂池コースは白馬岳登山の中でロングコース。ガシガシ登って行きます。ここまではいい感じ!

とってもいいお天気に恵まれたかのように思われた今日の登山。時間の経過とともに雲の量が増えているような?気のせいか。いや、気のせいじゃない。あと、時折顔に何かが当たる?雨じゃないし、雪でもない。

乗鞍岳

白馬大池の手前の乗鞍岳に到着すると、空は分厚い雲に覆われ一気に下り坂。「をいをいをい」と空にツッコミながら歩いていると・・・

あられが降ってきた。顔に当たってたのはお前らか。マジか。山の神様、本当でしょうか。雨よりいいけどね。濡れないし。でも、まさかまさかまさか、雪とか降らないですよね。初日から雪とか、んなまさか。

10月の北アルプス、縦走初日に北アルプス「初冠雪」

乗鞍岳から白馬大池は目と鼻の先。

しかし、その間に天気はさらに悪くなり、強風がビュービューと吹き荒れ、あられが顔に当たって超痛い。こんなこともあろうかと、バラクラバを持ってきていたのですぐに装着。これがなかったら初日で敗退(下山)していたかもしれないほどの天候でした。

バラクラバとは顔面を冷気や雪などから守る装備ですね。こいつに命を救われたと言っても過言ではない。

強風とあられの攻撃の中、やっとの思いで白馬大池に到着すると。雪が降って、きました。それも、ガチで。

山荘の方が奇跡的にいたので、お話しすると「泊められなくはないけど、そんんなに寒く無いでしょ?」的なことを言われる。いや、寒い。人生で一番寒いです。本当初心者ですみませんと思いながらも、雪が降って来て動揺。

雪の勢いはパラパラとかじゃなく、ザーザーに降ってます。山荘は泊まれるけど準備に時間がかかるとのこと。あかん、待ってる間に凍死しそう。テント、テント張るしかない。

テント泊です、雪の中。

そしてこの雪は、2016年北アルプス初冠雪。こんな、「強くてニューゲーム」みたいな縦走初めじゃなくていいのに。

はじめて雪の中テント設営、雪の中テント泊

それはまさに、地獄のような時間の始まりでした。雪は収まる気配がなく、極寒の中でテントを設営。両足の感覚がない。

10月のこの時期であればいつ雪が降っておかしくない北アルプス。わかってた、覚悟はしてた。それなりの装備を持ってきたつもりですが・・・いざ雪に降られてみると、それは想像を絶する寒さでした。

本当、これで準備してたつもりとか、甘々。山に教えられましたね。

幕営の準備ができてテントの中に入るも・・・寒い、寒い、寒すぎる。シベリアかここは。夜ご飯を食べて寝るわけですが・・・足が痛すぎて目が覚めちゃうんです。この時、ホッカイロの必要性を痛切に学んだ清宮でした。なお、出発前にこんな会話が。降り続く雪と強風がテントを叩く音を聞きながら、朝が来るのをダンゴムシのように丸まって待つのでした。

後立山連峰縦走登山(2日目):白馬大池~白馬岳~下山(一旦撤退)

北アルプス、後立山縦走2日目です。1日目は栂池高原から登山をスタート、途中で霰(あられ)や雪に降られながらも白馬大池山荘でテント泊したところまでです。

雪降る中、白馬大池山荘のテント場で朝が来るのを待っていました。とにかく寒いので、寝ようとしても目が覚めてしまう。何度目かの覚醒の時、衝撃の光景を目にします。

・・・シュラフめっちゃ濡れてる・・・

テントが雨漏りでもしたのかとまず思うも、犯人は別にいました。この日、私は新たに購入したシュラフカバーを使っていたんですが、シュラフと、シュラフカバーの間が、めっちゃ結露してる。

シュラフカバーとは、結露したテントのフライシートから水滴が垂れてもシュラフが濡れないように守り、またシュラフの保温性を高める目的で使用する、文字通りシュラフに被せるカバーのことです。

シュラフが濡れないように守る、そのために使っているのに、シュラフカバーの内部が結露してシュラフがメッチャ濡れた。

シュラフに穴があく緊急事態

とにかく寒すぎるので、バーナーを焚いて温まりつつ、シュラフも乾かそうとしました。それはもう必死で。あの温度寒でシュラフが濡れてたら、テントの中で凍死するんじゃないかと心配したほどです。

バーナーの火でシュラフに穴開いた\(^o^)/

白馬岳中腹、夜中の12時、雪降る極寒の氷点下、シュラフが濡れ、さらに穴が開いたことを想像してみてください。普段、暖かい布団で寝ているという幸福を、この時ほど、細胞の奥の奥から感じたことはないですね。

白馬大池

山の中で人知れず戦い、テントの床に散らばった羽毛の無残な姿にがっくりしつつも、何とか頑張るしかない。夜中過ぎに雪から雨に変わったこともあり、雪は思ったほど積もっていませんでした。

これがまだ10月半ばとか、下界では信じられない光景ですね。

時折青空も覗き、頑張る活力が湧いてきます。

フローズンテント・・・

氷点下の中で雨が降れば、もちろん水は氷ってしまう。テントのフライシートがカッチコチに凍ってます。バリバリとできるかぎり払い落とすも全ては無理で、テントの重さが倍増。

水気を含んだテントはダンベルのような重さになります。

撤退?挑戦?

標高が2,500m程の白馬大池でこの雪を考えれば、白馬岳山頂は雪が積もっていること間違いなし。「山頂まで行けるか?山頂まで行けたとして、唐松岳まで縦走できるか?凍結しているかもしれない不帰ノ瞼を通れるのか?」まず頭に浮かんだのは「ここまで来たんだから白馬岳のピークは踏みたいぞ」ということ。でも無理はダメ。

山頂付近にある白馬山荘はまだ営業しているので、雪の様子を見つつ山小屋の人に相談してみることに。

白馬岳山頂目指して出発

白馬大池山荘から山頂までは約3時間ほどの行程。

ハイマツもテントみたいに凍ってますね。俺ならやれる、なんとかやれる気がする。でも無理はダメ。ずっとそんなことを考えながら歩いていきます。

白馬岳の絶頂に至る前に、小蓮華岳という山を通ります。

初冠雪の白馬三山

圧巻の景色。絶景過ぎた白馬三山。昨日は極寒の中で本当に辛かったけど、その分山は私にスペシャルな景色を見させてくれました。今日は山が秋から冬に変わる、まさにその瞬間。うっすらと雪化粧をした白馬三山は、美しい。

白馬岳はもちろんのこと、白馬鑓ヶ岳が非常に美しく、かっこいい名峰だと思いました。なんなら、はじめはこっちが白馬岳かと思った程に容姿端麗な、すばらしい山です。

小蓮華岳

小蓮華岳の山頂には剣が祭られてました。ここからの白馬三山の眺めは一級品で、白馬三山の撮影場所として最適でしょう。またいずれ再訪し、次はモルゲンロートの白馬岳を撮りたいと思います。

標高が上がるにつれて積雪量が増えてきました。小蓮華岳を過ぎる頃には積雪10cmと言ったところでしょうか?

雲が切れて晴れ間が覗きました!

白馬岳かっこいい・・・。こんな絶景見れるな、雪山も早く行きたくなっちゃいます。厳冬期と違って完全に雪に覆われているわけじゃなく、岩肌も見えてるのもオシャレ。

昨晩は辛すぎたけど、雪の中テント泊する経験もできたし、何しろこの景色に出会うことができました。雪が降ったことで得られた経験値と感動は計り知れない。辛くても、経験に勝るものなし、ですねん。

三国境

三国とは越中(富山)、越後(新潟)、信濃(長野)のことで、ここを境に3県が広がっています。標識にある雪倉岳方面をずーっと進めば日本海へ至り、昔は交通の難所と言われた親不知という場所に着きます。それにしてもガッチガチに凍ってますね。

片方がスパッと切れ落ちているのが白馬岳の特徴。これは他の山域から見ても白馬岳の特徴としてすぐに分かる程。

白馬岳

白馬岳(2,932m)登頂しましたー!

初日から雪が降るという事態になりましたが、無事にピークを踏むことができました。

雲海がすごくて下界の様子はわかりませんでしたが、先に続く杓子岳や鑓ヶ岳を眺めながら先に進みます。山頂は風が強くてすぐ退散。

白馬山荘

白馬岳山頂から20分程行ったところに白馬山荘白馬頂上宿舎があります。

この時期なので人影はまばらですが、夏の登山シーズンであればたくさんの登山客であふれる人気の山小屋です。ちなみに、白馬山荘(はくばさんそう)は日本最大の山小屋で、収容人数は800人というマンモス級。

ちょうどオーナーっぽい方にお会いしたので今後の事を相談してみました。

オーナー「これからどちらへ??」

清宮「唐松岳へ縦走したいんですけど・・・どうですかね?」

オーナー「絶対やめた方がいいと思うよ。」

清宮「ですよね。凍ってますもんね(白目)」

清宮「不帰ノ瞼はこれが初めてなんです。ちなみに!今日ここに泊まって明日の朝一で行くのはどう思います?」

オーナー「夜のうちにもっと凍結するだろうからね、まず私が止めます(にっこり)」

清宮「ですね(にっこり)」

ガーディアンのアドバイスにより、これ以上の危険と判断。山での無理は、万が一を現実にしてしまいます。ここは退く勇気を持つべきですね。

白馬岳から唐松岳への縦走は断念

縦走先にある杓子岳と白馬鑓ヶ岳。本当は行きたいけれど・・・これまで通った道から雪があるのは明らか、場所によってはかなり凍結しているでしょう。

ただの登山道なら雪があっても凍結していても進みました。しかし、白馬岳から唐松岳に縦走するには後立山最難関とも言われる、不帰ノ瞼(かえらずのけん)を通ることになります。凍結している可能性があるのに行くのは危険すぎる。

しかも、初めての通過であれば尚更です。このコンディションで不帰ノ瞼に突入しようものなら、万が一が十分起こり得ます。

十分、十二分に美しい景色を堪能することができました。白馬岳の山頂まで行くことができた。それで十分じゃないですか。死んでしまっては元も子もありません。後ろ髪を引かれる思いはありますが、安全第一。

雲が上がってきた白馬岳を見納め、下山開始です!

白馬乗鞍岳に到着。ちょっと急いでます。と、言うのも、下山するのであれば今日の宿のことを考えなければならないのと、ロープウェイの最終時刻が16:30なのでゆっくりしていると乗り遅れてしまいますからね。

栂池登山口に到着。下山せずに、栂池ヒュッテに泊まるのもいいかと思ったんですが、一人だと割高になってしまうとのこと。どこぞのホテルと同じ方式なので、人数が多い方が安いみたいです。ソロ登山があだになったか。

ロープウェイ

急いだ甲斐あって最終の便に間に合いました。しかしまだ安心できません。今日の宿を確保せねばなりません。栂池観光協会(TEL 0261-83-2515)に電話して安い宿を教えてもらい、速攻でTEL、2軒目で何とか宿を確保。やりてのビジネスマンか。

ゲストハウス「シャトレ山彦」

ロープウェイから徒歩10分程のところにあるゲストハウス「シャトレ山彦」が今日の宿です。時期も時期だけに、今日の予約は私だけ!一軒家を貸し切りの形になり、とてもリラックスすることができました。

今日のまとめ

そろそろ雪が降ってもおかしくない、そう思っていたはずでしたが、自然の力は私のちっぽけな想像力なんぞ大きく上回っていました。凍えた夜に絶望しながらも、翌日の絶景で回復する。自然の中で学びながら、安全登山を楽しんでいきたいですね。

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コメント一覧 (2件)

  • 清宮さん、白馬(しろうま)は毎夏行っていました。海の日前後です。八方のペンション(知り合いのオーナー)に前泊し、猿倉や栂池まで送って貰い、大雪渓から白馬、三国境から雪倉避難小屋往復、大池から栂池あるいは蓮華温泉。白馬から杓子、鑓から不帰、唐松、八方など、高山植物を観に行ったものです。コマクサやオヤマノエンドウの白や、オキナグサ、ウサギギク、アズマギク、マツムシソウなど、飽きること無い花たち、雷鳥の親子にも出会いました。雪倉ではキバナアツモリソウもカメラに納めました。十年も前になってしまいましたが、大好きな山でした。清宮さんのような降雪時期には1度も行っていないので、羨ましく拝読しました。

    • 白馬はお花畑でも有名ですもんね(๑´ڡ`๑)
      羨ましいです。私も次は夏のシーズンにお花と緑に覆われた白馬を登りたいと思います。
      雪倉、朝日と日本海側まで縦走するのもいいかなぁと。
      厳冬期の白馬はまだまだ手が出ませんが、まさか初雪の日に出会えるとは思えず、
      雪景色を心行くまで堪能できました。
      本当にラッキーだったと思います(´▽`)

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