美瑛富士キャンプ指定地にて4時頃起床。
テントの外をのぞくと天気もあまり良くないみたいですが・・・とりあえず朝ご飯です!
今日は最終日ということもあり、気合を入れて朝ご飯からかつ丼を頂きます。
卵が一つ余ったので目玉焼きにして食べました。
3日4泊の縦走ともなると、最終日には食べ物のゴミがこんなにたくさん!
さて、今日の工程ですが、昨日、一昨日と比べたら少しは楽かな?少なくとも昨日のような笹道などはなく、今日はゆっくり登山を楽しめたらないいですね。
しかしながら・・・生憎の空模様(涙)
昨日まであんなに晴れていたのが嘘のように、今日は朝からガスってます。
今まで昼間はガスっても、朝と夜だけはスカッと晴れていたので、朝からガスっているのは初めてです。
これからガスが抜けて晴れたらいいな・・・なんて期待したいところですが、いつも時間経過とともにガスが増えてしまうので、今日一日景色は望めないのかもしれません(涙)
4日間すべて晴れてくれたらそれが一番ですが、山の天気は変わりやすく、これまでずっと晴れてくれただけでも感謝すべきですね!
景色も大切ですが、どちらかと言えば「富良野岳まで縦走する」ことが今の最優先事項!旭岳~富良野岳縦走達成を目指し、頑張ります。
十勝連峰縦走は、まず目の前にある美瑛富士から始まります。
気合を入れて登り始めますが・・・
いかんせん風が強い。
美瑛富士避難小屋はコル地形だったのでそこまで風が来ていませんでしたが、稜線に出ると凄まじい風が吹き荒れてる。
それに・・・
何だか、濡れてる??
これまでもガスの中を歩くことは多々ありましたが、今日は様子がおかしい。美瑛富士を登っている間に、一眼レフとシェルが異様に濡れていることに気が付きました。
カメラで写真を取ろうとしても、レンズがすぐに濡れてしまい、撮影にならない。
そんないつもと違う「感覚」を持ちながらも、山頂へ到着!
レンズが濡れてしまって、どうにもならない・・・
下山を開始すると風がさらに強くなり、
ただ事ではない状況だと、やっと理解します。
ガスというよりは、今日のは「霧雨」のようで、これは雨なんだと認識。途中、大きな岩の影に隠れて雨風をしのぎ、カメラをジップロックに入れてザックの中へ。
普段カメラをしまうことは滅多にありませんが、今日は写真撮影ができないレベルの天候と判断。レインウェアの上を着て、美瑛富士から下山します。
美瑛富士から下山する頃には、あまりの風に
「やばくないか?」
という不安が大きくなってきますが、まだ歩けないほどではなく、とりあえず先に進むことに。
先ほど着たレインウェアの濡れ方が尋常ではなく、急いで下も履いて美瑛岳分岐を目指します。
・・・
それにしても、風が強すぎる。
強風と霧雨のせいで、寒くなってきました。レインウェアは着ているんですが、服も濡れてきている。
美瑛岳分岐に着くころには「継続?撤退?」の迷いが頭の中をめぐります。
美瑛岳付近は美瑛富士よりさらに風が強くて、ルートから外れる美瑛岳は本能的にパス。一刻も早くゴールに着いてこの山行を終えることに専念。
状況は最悪ですが、まだ体力・気力ともに残っているので、天気が回復することを祈りつつ、十勝岳を目指します。
しかし困ったことに、十勝岳はさらに風が強いではありませんか!
(写真はiphoneで何とか撮影)
この時は「何とかまっすぐ歩けるレベル」まで風が強くなっており、気が付けばザックカバーが吹き飛んで無くなっていました。
依然として霧雨も強く、レインウェアを来ているのに全身びしょ濡れ。風が強いので細かい雨が中に入ってきてしまうのかもしれません。体温もかなり下がってきており、本格的にマズい状況に。
昨日まで晴れていたのに。まさかこんな事態になろうとは。。。
「エスケープルートから今すぐ降りるべき」という考えと「ここまで来たら最後まで進みたい」という思いが頭の中でずっと格闘していました。
十勝岳は急登な上にザレた道で、とにかく歩きにくいんですが、何とか山頂に到着。
山頂は「台風」かと思うような強風が吹き荒れ、ポールにしがみつきながらiphoneで撮影。
「こんな凄絶な思いをして、歩いた記録が何もないなんて・・・」そう思いながら、意地の撮影です。
十勝岳の風がとにかく強烈で、「最後まで踏破してやる!」という気持ちに陰りが出始めます。
疲れと寒さで、気が弱くなっていました。
十勝岳から上ホロカメットクへの縦走路で細い道があって・・・ロープに腕をかけながら、吹き飛ばされないように、なんとか渡ります。
風の様子は写真では分からないので、動画を撮影。現場はこんなもんじゃないんですが、風切り音を聞いてみてください。
・・・
雨風は酷いものの、十勝岳山頂までは「何とか行ける」と思ってました。
ただ、この動画を撮った後から、どんどん冷えてきて、手はかじかみiphoneの操作ができないレベルに。自分の中で、危険信号が鳴り始めた気がしました。
上ホロカメットク分岐には避難小屋があるのですぐに避難。
温かいコーヒーを淹れ、バーナーの火で手を温めます。雨風がない場所で冷静に見てみると、手は真っ白になり、体は震えます。まだあると思っていた体力は、もうほとんど残っていませんでした。
強風の風切り音が依然鳴り響き、収まる気配はなし。
着替え一式を持っていたので、着替えてリスタートという考えもありましたが・・・
「これ以上は無理だ」というのが本心。
ここまで来たのに・・・
「旭岳から遥か遠く、あんなに苦しくてキツイ思いをしてここまで来たのに、ここで撤退??」
そう思うと悔しくて悔しくて、なかなか決断できずにいました。
でも、地図を見てコースを確かめると、富良野岳までかなり距離がある。
富良野岳を経由して下山するとなると、コースタイムは5時間以上。ここから下山すれば2時間程度。
自分の状態から、これ以上は本当に危険と判断「下山する」ことに決めます。
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小屋を出ようとすると、男性が一人避難してきて、やはり外の状況は変わらないとのこと。
ここで少し話をしたんですが、こういう時に人と話をすると元気が出るものです。
その方は日帰り登山で、何とか十勝岳だけ登ってすぐ降りるといいます。私は富良野岳を諦めて、下山すると伝え・・・避難小屋に入ってから30分は休んでいたと思います。
悔しくて居ても立っても居られない。でも、事故に遭ってからじゃ遅い。
下山するつもりで二人で外に出ると・・・
大絶叫する事態に!
なんと、なんと!
本当に信じられないんですが、晴れているではありませんか!!!
「マジでー!!!???」と、二人で叫ぶ。
そんな馬鹿な!?
さっきまで、視界ゼロで、強風霧雨が吹き荒れていたのに!?
避難小屋にいた間に一体何があったのかと、そこまでの道のりを思い返せば、目の前の現実を受け入れられないでいました。
・・・
さらに驚くことに、そこからすれ違う登山者は、レインウェアなどを着ておらず、挨拶をすれば「風が強いですね!」と、間が抜けたことを仰る。
そこまで私が経験していた状況は「風が強い」なんてレベルじゃなかったんです。
"俺は夢でも見ていたのか?"と、言いたくなる状況でした。
でも、実際晴れている。雨が止み、日光に当たって体温がぐんぐん上昇するのがわかります。
何だか、訳ががわからないけれど・・・
こうなれば!もちろん!富良野岳まで縦走します!
一眼レフをザックから取り出して、軽快な足取りで前へ!
富良野岳方面から登って来た方と、私の格好のギャップがひどくて、皆さん驚いてました。
何しろ私はレインウェアの下にフリースも着こんで、全身泥だらけ。
晴天の中、上ホロカメットクではレインウェア上下での撮影になりました(笑)
"さっきまで別世界にいたんじゃないのか?"
いや・・・確かに強風霧雨が吹き荒れる中、十勝岳のザレ場を死ぬような思いで登っていました。
ちゃんと証拠も残っています。
上ホロからは十勝平野が一望でき、美しいパッチワークを眺めることができます!
かみふらの岳!
こちらも素晴らしい景色です。
三峰山を通り過ぎて、
富良野岳分岐です。
1時間前までは、来れないと思っていたのに・・・奇跡としか言いようがないですね。
富良野岳に登るには、ここで荷物をデポしたら楽なんですが、荷物を降ろすなんていう発想は微塵も起きませんでした。
ここまで背負ってきたこのザックを最後まで背負って、富良野岳まで行きたかったです。
雨はないものの、依然として「超」が付く強風。
そのおかげか、ガスがすべて吹き飛び、富良野岳の美しい姿を拝むことができました。
さあラストスパート!!!
・・・って!登ってる間にでっかい雲が!笑
この晴れ間が幻だったかの如く、十勝連峰全体が再びガスの中へ。
でも、もうそんなことはどうでもいいんです。景色が見えようが見えなかろうが、どうだっていい。
だって・・・
無事に富良野岳まで、歩いてくることができたんですから!
奇跡の・・・富良野岳、登頂です!
そして、旭岳から富良野岳まで、縦走達成!!!
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まさか最終日にこんなことが待ち受けていようとはね。上ホロの避難小屋では、厳しすぎる現実に悔し涙を流してしまいましたが、富良野岳山頂ではうれしくて涙が。
同じ日に悔し涙とうれし涙流すなんて、やってくれるぜ十勝連峰!
もうダメだと思った。本当に下山するつもりでした。
でも、奇跡が起きて目標を達成することができました。
こんなに嬉しくて達成感に満ち溢れたのは初めてかもしれない!この4日間は、一生忘れられない思い出になるでしょう。
夢のような時間をありがとう!!!
富良野岳のピークを踏んで、すべての力を使い果たし・・・
それでも、下山しなければ。無事下山してやっと登山完了ですからね。
目指すは十勝岳温泉です!
ふらふらになりながらも、なんとか下山していきます。
肩が、足の裏が痛くて死にそうだぜ。
無事下山しましたー!
凌雲閣(りょううんかく)にて休憩&温泉タイムです!
中に入った瞬間、アイスを2つ購入!笑
これが死ぬほど美味しかった・・・
温泉に入ってさっぱりして、すべてを出し切りました。
後はバスが来るのを待って、ここから上富良野まで移動。
上富良野からは電車で旭川へ。
旭川で乗り換えて南永山に移動。
夜ご飯は・・・奮発して牛角!
しかし、店に着くとまさかの激混み。
でも、今日は肉が食べたい!順番を待ちます。
人生初の一人焼肉。そして一人で焼肉食べ放題!笑
死ぬほど食べて、お腹がはち切れそうになったところで終了。
疲れすぎてあまり食べれなかったのはここだけの話です。こんな無茶な縦走をした後に胃にこたえる食べ物は控えましょう。
歩いて快活クラブへ移動し、泥のように眠るのでした。
下山後も無事に宿にたどり着き、これにて【旭岳~トムラウシ~オプタテシケ〜富良野岳の大縦走】は無事完結です!!!
言っておくと、人生初のテント泊縦走登山でこんなルートを歩いちゃ絶対にいけないぜ?適切な登山経験を積んでから挑戦しましょう!!!
走行距離 | 0km |
総走行距離 | 4060km |
平均走行速度 | - |
スタート | キャンプサイト「美瑛富士キャンプ指定地」 |
ゴール | ネットカフェ「快活クラブ(南永山店)」 |