【八ヶ岳】赤岳・阿弥陀岳 雪山登山(2/2)八ヶ岳のモルゲンロートと急峻な阿弥陀岳への縦走路に挑む

八ヶ岳の雪山登山2日目です!初日は美濃戸口から行者小屋まで登り、テント泊をしながら素晴らしい景色に出会うことができました。

2日目はいよいよ稜線、八ヶ岳最高峰である赤岳、さらに隣にそびえる阿弥陀岳へと縦走していきます。この阿弥陀岳が「曲者」でして、最大勾配どんだけだよ…という急登でしたが、何とか山頂までこぎつけることができましたという話です。

目次

行者小屋から赤岳を越えて阿弥陀岳へと縦走

ただいま八ヶ岳行者小屋にてAM3:30、寒いです。

文明の利器という豊かさと完全に逆行するような環境。これこそ冬山の醍醐味。

スタッフバッグがパリパリ。

テント内には霜がびっしり!これぞ厳冬期のテント泊と言った雰囲気です。それでも気温的には昨日の夕方の方が寒かった気がしますね?今はマイナス20℃くらいかな?

持ってきたガスが夜を越すことができず、余っていたパンを体温で温めて朝食としました。ガスが使えないというのは想定外にして大失態、厳冬期の八ヶ岳を少々甘く見ていたようです。反省。

まだ皆さんが寝静まっている夜中、陽が登らないうちに出発の準備を済ませ、厳冬期のナイトハイクへと出発です!

急登の地蔵尾根をナイトハイク

行者小屋から赤岳へと至る道は二本あります。一つが文三郎尾根、もう一つが地蔵尾根。前者の方が登りは楽なので多くの人がこっちをチョイスするみたい。

小屋の人もどちらがおすすめかと聞かれたら文三郎と答えていました。

私は赤岳天望荘あたりの風景がどんな感じか見てみたいので、地蔵尾根から登ることに。ナイトハイクとは言え、トレースがしっかりあるので序盤に難しさはありません。

テントが無い軽荷なのでサクサクと進んでいきます。

しばらく歩くと一部階段が露出していました。夏道を知らないので全体像が分からないんですが、結構階段が多いような道なんですかね??

階段が出ていたのはここだけで、あとは雪に埋もれた道を粛々と登っていきます。地蔵尾根は相当な急登で、特に上部はかなりの勾配がありました。一部では膝をつけて歩くような場所も!

地蔵尾根の名の通り、お地蔵さまが雪に埋もれていらっしゃる!

(怖い・・・汗)

森林限界を超えてしばらく、このような細い場所が出てきますし、風も強いのでナイトハイクはくれぐれも慎重に歩かないとですね。

振り返ると茅野の街明かりがきれいですねん。

誰も居ない漆黒の地蔵尾根を上り、地蔵ノ頭と呼ばれる場所まで到着!

お地蔵さまが寒そうや。

ここは左を向けば横岳の展望がいいっぽいんですが、真っ暗過ぎて何も見えませんでした。ロケハンにならない(笑)

稜線は風が強く、雪が飛ばされて岩が露出している場所も多い。12本爪アイゼンだとちょっと歩きにくいんですが、外すわけにも行かず、そのまま突き進みます。

冬の八ヶ岳は風の山。非常に風が強く20m/sもザラな山域です。

赤岳天望荘までやってきました。ご来光を見るような人で賑わっているかと思いきや、意外や意外、人の気配なし。昨日はあまり人が泊まらなかった?いやそんな馬鹿な・・・。

ご来光前のこの時間帯、いいですよねー。

東は雲が多いですが、ご来光は何とかなりそうです。

赤岳頂上山荘への道を登ります。

赤岳天望荘は12月末から2月末(要確認)まで営業していますが、こちらの赤岳頂上山荘は冬季休業です。冬季小屋があるのか確認するの忘れちまったい。ググっても出てこないので、冬季は開放していないのかもしれません。

それにしても赤岳頂上山荘って、本当に頂上すぐ近くにあるんですね。夏場はここに泊まれば簡単に絶景が見られそうです。

赤岳より迎えるご来光、モルゲンロート八ヶ岳

赤岳よりご来光を迎える事が出来ました!こうしてナイトハイクしてご来光を見た時は、ちょっとした達成感があります。

日の出の美しいグラデーションにうっとり。澄み渡る青空を染めていくオレンジが、本当最高なんですよね。

普段、昼間の登山しかしない人は、ぜひご来光や夕焼けを見てほしいなと思います。そうするとまた山の違った表情が見れて、なお一層登山が楽しくなると思うんです。

ピンク~紫に染まる八ヶ岳連峰。

赤というよりは、じんわり染まるような朝焼けでした。

横岳、硫黄岳、天狗岳、蓼科山と南から北へ連なる連嶺。それにしても驚いたのは、赤岳の山頂には私だけ、近くにもう一人いたんですが、天望荘に泊まった方はどこに??

山小屋からは横岳が一層迫力ある感じだったので、山小屋前から見ているのかもしれませんね。

横岳をクローズアップしたいのであれば、赤岳天望荘~赤岳の斜面辺りがおすすめ、全体を撮りたいなら赤岳頂上山荘です。赤岳の山頂まで行ってしまうとこの景色は隠れてしまいます。

360度の展望を楽しみました。八ヶ岳は人が多いんじゃないかと懸念していましたが、まさか全くいないとは、ラッキーな予想外でした。

紫の空に浮かぶ富士山、ここから見てもわかる北アルプスの朝焼けが素晴らしい!

赤岳、登頂!!

日曜とは思えない、静かな赤岳山頂です。

初めての八ヶ岳、まず踏んだピークがいきなりの最高峰「赤岳」、それも厳冬期とは、私らしい気がしますね。

赤岳(2,889m)登頂しましたー!!

厳冬の赤岳は雪山登山の登竜門的な所ありますもんね。去年から始めた雪山登山ですが、メキメキと成長できております。

赤岳からの景色。まずはやっぱり阿弥陀岳!まだ陽が当たっていないとは驚き。すぐに太陽を隠してしまうわ、朝焼けはしないわ、阿弥陀岳は太陽との相性がイマイチみたい。

奥には中央アルプス、御嶽山、北アルプス(乗鞍岳)がばっちり!

特筆すべきは権現岳と網笠山、そしてその背景にそびえる南アルプスの展望です!こうして見ると、権現岳(一番手前のピーク)辺りの稜線がすごく細く見えるんですが気のせいか!?

網笠山~権現岳は来年には確実に登ろうと思ってまして、あっちから眺める赤岳と阿弥陀岳がまた絶景らしい!八ヶ岳写真家(昨日からなりました笑)としては行かないわけにはいきませんね。

引きで見るとこんな感じです。

甲斐駒ヶ岳も登りたいし、厳冬期が後2カ月くらい長ければいいんですけどね。雪山がもっと続いてほしいー!!(雪山登山の楽しさを知ってしまうと、みんなこうなります。たぶん。)

ようやく阿弥陀岳にも朝日が当たりました。

赤岳から見ると阿弥陀岳は大したことが無いように見えますが、実際は・・・。さあ、今度は赤岳から阿弥陀岳へと縦走していきます!

赤岳を登っただけでも十分ですが、まだ時間がありまくるので、阿弥陀岳も踏破していきますよ!

赤岳~阿弥陀岳はまずキレット方面。文三郎尾根方面へと一度下ります。

この辺りは急な下りで、岩も出ているので転げないよう気を付けたい所。

直進すると権現岳方面、ここを右手に曲がります。

八ヶ岳の展望。こうしてみると、硫黄岳って独特な山ですよね。のっぺりした山頂はここから見ていてもユニーク。爆裂火口も見てみたいので、横岳~硫黄岳縦走もしなくては!

文三郎尾根の分岐までやって来ました。ここを右に行くと文三郎尾根を経由して行者小屋に着きます。

阿弥陀岳は直進です。一度手前にある中岳を越えていくんですが、阿弥陀岳の登りがこっから見ると90度くらいありそうな、まるで壁に見えるんですが気のせい?あれ、登れるのだろうか?

このあたりから眺める権現岳、網笠山の展望が見事!

右奥の真っ白なピークは仙丈ヶ岳ですね。

赤岳からコルまで降りたら、中岳へと登り返します。

ここは普通の道で、この辺りまでは簡単です。

中岳から反対側はナイフリッジになっていて、左側が切れ落ちているため慎重に歩きます。右側は灌木なので、気持ち右目に歩きましょう。

さっきまであんなに小さかった阿弥陀岳が、いまや巨大な壁のように迫って来ます!雪があっても苦労しますが、夏道ってどんな風に付いているのかすごく気になりました。ハシゴとかなのかな?そう思う程に、めちゃくちゃ急です。

中岳を過ぎると、風の通り道になっていて風雪が襲い掛かってきます!

目開けてられないので即ゴーグル着用。ゴーグルが無いとまず歩けない道でした。

歩いてきた道を振り返るとこの景色!こうやって冬独特の地形が形成されるんだなぁと感慨深くなりながらも、実際に歩くのはかなり骨が折れます。目がやられちゃうんですよね。

嵐みたいなものです。ゴーグルやグローブなど、雪山登山では欠かすことのできない装備だと改めて実感。特にここまでゴーグルの必要性を感じたのは初めて。ゴーグル無いと目を空けてられないレベルでしたもんね。

目の前には阿弥陀岳。見るからに壁!しかし、迫力はある。

途中の岩場っぽい所とか、垂直じゃないか!?

この辺りから眺める富士山は実に美しく、まるで雲の上に浮いているかのような不思議な景色。富士山写真愛好家の人の気持ちもわかりますね。

富士山ばかり撮る富士山Yearを持っても楽しそうだなと思いました。

阿弥陀岳の歩いたであろうトレースを描いてみました。山頂部にはトレースがあったものの、下の方は風で飛ばされていてノートレース。

これまで登ったどの山よりも急こう配で、遠目で見る以上の壁感に苦戦。テント背負ってないのにゼーハーゼーハー息が切れてしまったので、体力を鍛えなおす必要性を痛感。

これくらい急こう配だと足の負担が大きく、マジで疲れました。

場所によっては膝をついて四つん這いになる箇所もあり、一筋縄ではいきませんでしたね。登るハードルだけで言えば赤岳より数倍難しい山です。

アイゼンとピッケルでガシガシ登り、時間はかかりましたが、急傾斜を突破!

山頂付近に近づくと気持ちの良い青空が広がっています。

ああー登り切ったー!山頂はもう目の前じゃー!

阿弥陀岳(9:20)

阿弥陀岳・・・登頂・・・しました(バタリ)。山頂に着いて倒れ込んだのなんて初めてじゃないかと思うくらいにキツイ登りでした。地蔵尾根から登って周回してきたので、余計疲れたのかもしれません。

赤岳と阿弥陀岳を踏破した満足感に浸って、山頂で数分間ノックアウト。投げ捨てられたピッケルがそのすべてを物語っております。

「阿弥陀」というザ・仏教な名前が付いている山も珍しいですよね。お隣の権現岳も大概ですが、八ヶ岳は山容も名前も個性的です。

歩いてきた赤岳が重厚な山容でそびえています。

よく見たら赤岳の山頂には人がわんさかいるようなので、空いている良い時間に登頂できたのかもしれません。阿弥陀岳の山頂も誰もいませんでしたよ。

・・・

阿弥陀岳からの下山ですが、立って歩くのは困難な箇所が多々あります。四つん這いになってバックトラック(後ろ向きハイハイ)する必要があるので、くれぐれも慎重にいきましょう!

悩ましい、阿弥陀岳からの下山ルート

疲れすぎたのと、今日は午後から荒れる予報なので、息を整え阿弥陀岳から下りてきました。この辺りから眺める横岳と硫黄岳もまた迫力があります。

阿弥陀岳から行者小屋へ戻るんですが、下山ルートが悩ましいんです。

  • 選択肢①:中岳を越えて文三郎尾根まで戻る。
  • 選択肢②:阿弥陀岳北陵
  • 選択肢③:中岳沢

具体的に特徴をあげてみます。

  • 選択肢①:来た道を戻るため遠い。
  • 選択肢②:岩場を越える。ザイル推奨。
  • 選択肢③:雪崩の危険あり。

ケースバイケースですが、今回は中岳沢を下りました。トレースが付いていた事と、何より雪質が重く締まっていて、雪崩れるような感じではなかったからです。

この判断は極めて慎重でなければなりません。厳冬の中岳沢は雪崩のリスクがあるため、雪質を見極める必要があります。北陵はザイル推奨の岩場で、難易度は人により大きく変わりそう。一番無難なのは、面倒ですが文三郎尾根まで戻ることになるのかな?

ピンクテープがある場所まで戻ってきました!

雪山で一番怖いのは、雪崩です。中岳沢は雪が多く、トレースが無いと大変かもしれません。また、地図にも雪崩注意と書いてある場所なので、雪質を判断してくれぐれも慎重に利用するようにしたいですね。その判断が難しい場合は、文三郎尾根まで戻るのが賢明だと思います。

行者小屋(10:20)

行者小屋まで戻って来ましたー!!

赤岳からの景色と、阿弥陀岳の急登が実に印象的でしたが、初の八ヶ岳、無事に稜線から帰還いたしました。

ヘトヘトに疲れたので、荷物を置いて、とりあえず行者小屋にて休憩したいと思います。こういう時に営業小屋があるって、本当天国みたいなものですよね。

生き返るー!!!

カップラーメンも頂いて、体の隅々にまでカロリーが行きわたるかのようです。

そしてここでちょっとした出会いが・・・。

厳冬の行者小屋に山ガールが居た件

CCレモン飲みながらまったりしていたんですがね、奥の席で山ガールっぽい人が自炊してまして。プラティパスの水がめっちゃ凍っててですね、共感でき過ぎたので思わず声をかけてしまいました。

話を聞くと、まさかの厳冬期八ヶ岳に女性一人でテント泊!

タフすぎ!

しかも、話をしているとですね、大雪山から十勝連峰をテントで縦走とかしてるんですよね、単独で!

「南沼から先の笹がヤバくて…!!」

「オプタテシケからの景色が最高…!!」

など、一部の超マニアックな山好きにしか通じないような話が通じまして、テンション上がりましたー!(参考:【大雪山~十勝連峰縦走】北海道最高峰「旭岳」から白雲岳キャンプ場へ

そんなこんながありましてですね、私としては極めて珍しく、山ガールと一緒に下山しました。山の中で誰かと歩くのは、去年の奥白根山、あるいは日本一周中の荒島岳くらいなものでして。何だかとても新鮮でした。

私の夢は「山ガールと登山すること」なので、半分くらい叶った感じが…!?

美濃戸口(14:30)

なので下山の様子は一切ありません(笑)

美濃戸口まで無事に戻ってきましたー!

複数人で登山している山ブロガーの人って、その辺の会話&写真の塩梅どうしてるのだろう?

美濃戸口からは昨日お話しした山姉さんと一緒に茅野へ!

・・・写真は無いんですが、茅野について。

姉さん:「電車まであと30分かぁ、その辺の蕎麦屋で一杯やります?」

清宮:「マジすか!?いっちゃいましょう。」

姉さん&清宮「乾杯ー!・・・あ、電車間に合わない。」

そんなことがあり、一本電車を遅らせ、お土産屋さんで地方応援という大義名分の下、ビールとワインを購入。乾杯しながらワイワイ楽しい時間を過ごしながら帰路へ。

私が夢見ていたような、すごく充実した下山&帰路でした。

初の八ヶ岳を振り返って

最高の景色と素晴らしい出会いに恵まれまくった八ヶ岳登山、無事に完結!初の八ヶ岳で、厳冬期の赤岳と阿弥陀岳を踏破、絶景にも出会え、写真を撮ることができ、山での出会いにも恵まれた素敵な2日間となりました。

コースタイム

日程 行程 天気
2018/1/27 新宿~茅野~美濃戸口~行者小屋~中山展望台~行者小屋(テント) 快晴
2018/1/28 行者小屋~地蔵尾根~☆赤岳~中岳~☆阿弥陀岳~行者小屋~美濃戸口~茅野~新宿 晴れ後曇り時々雪

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

お気軽にコメントください

コメント一覧 (2件)

  • 清宮さん こんにちは。
    前編で名前を入れ忘れてズバリ当てられたゴルゴです。
    良い天気で良い山岳写真が撮れて良い出会いがあって、素晴らしい山行きでしたね。赤岳登頂の写真はモノクロでちょっとカッコつけて良いです。阿弥陀岳をヘロヘロで登ったのは愛嬌ですね。でも、それだけキツイと言うことで根性を感じましたよ。
    ほとんどソロだった清宮さんも、色んな出会いがあって、ブログにも厚みが出て来るかなーと思いました。

    • こんにちはー(๑´ڡ`๑)
      モノクロでちょっとかっこつけちゃいました笑
      最近自撮り画像が少なかったので、たまには載せておかないとと!そうすることで、前記事の様に読者様と可能性が広がりますしね。
      いやいや!阿弥陀岳はマジでキツイ山でして、実は結構大変なんです、嘘だと思ったらゴルゴさんも是非登ってみてください!笑
      たまには人と登るのもいいなと、本当そう思いましたね。いつかは奥さんひっ連れて山の記事を書きたいものです(๑╹ڡ╹๑)p♪

コメントする

Category
カテゴリー
youtube
ranking
ranking
ranking
youtube
ranking
ranking
Special
特集
youtube
ranking
ranking
ranking
youtube
ranking
ranking
ranking
Prefectures
日本一周カテゴリー
Mountains
登山カテゴリー
Tags
タグ検索
目次