雪山テント泊登山におけるモンベルのシュラフ選び方

テント泊登山において、シュラフの選び方はとても重要な一方、何をどう判断して、実際何を買ったらいいのかイマイチ分かりにくいですよね。今回はそんな難しいシュラフ選びの中でも、さらに難しい雪山テント泊登山でのシュラフについて、モンベルのシュラフ#1を使った経験を踏まえて語ってみたいと思います。

目次

雪山でテント泊をするという事

まずは前提として雪山テント泊登山の雰囲気をご紹介します。大前提として、雪山登山でテント泊をする場合、雪の上に寝る事になるんですよね。かなりの非日常体験だと思うんです。

夏山登山でも地面の底冷えは寒さの大きな要因なんですが、それが雪山では底冷えどころか雪の上で寝るわけです。普段家で寝ているフカフカのお布団とはだいぶ状況が違う訳なんですね。

それを考えると、命を守る登山装備、特に「家や布団」に当たるテントやシュラフは極めて重要だ、ことさら冬なら特に重要だというのは、何となく想像していただけるんじゃないかと思います。

実際、雪山テント泊ってどれくらい寒いの?

山域や標高によって大きく異なりますが、初冬から厳冬で「マイナス5度~マイナス25度」が日本における雪山登山テント泊の温度感となります。

雪山と言っても標高の低い丹沢から3000m級のアルプスまで様々ですからね。

雪山テント泊登山に求められるシュラフのスペックとは?

上述のように「とにかく寒い」という前提を踏まえ、じゃあどれ位のシュラフが必要なのか、最低限どれくらいの物が必要なのよ?熟睡するにはどれくらいのものがいいさ?という観点から考察してみたいと思います。

ポイント①冬季使用が想定されたシュラフから絞る

四季の中で冬の使用が想定されているシュラフを選びます。私が使っているモンベルのシュラフで言うと、ダウンハガー800#2からということになりますね!

各ラインナップについて、モンベル公式の表記を見てみましょう。

  • ダウンハガー800#2:冬季登はんや縦走など、積雪期の登山で幅広く使用できる汎用性の高いモデルです。
  • ダウンハガー800#1:国内2,000m級のほとんどの冬山で幅広く使用できるモデルです。
  • ダウンハガー800#0:国内の3,000m級の冬山で使用できる保温性の高いモデルです。
  • ダウンハガー800 EXP:南極など極寒地での使用に耐え得るように作った極寒地向けのモデルです。

ダウンハガー800#2は初冬も初冬、それもかなり温かい地域での使用を指します。

一方、最も温かいダウンハガー800 EXPは「南極レベル」を想定した使用ですので、日本でこれは明らかにオーバースペック。

そうするとです、自然とダウンハガー800#1と800#0に絞られてきそうです!

ポイント②テント泊したい山域の温度寒を知る

「雪山登山」という言葉、実は相当に広い範囲の活動を指します。マイナス5℃くらいの奥多摩や丹沢山なのか、あるいは石鎚山、大山のような2000mクラスの山なのか、同じく2000mの幕営地でもマイナス20℃以下まで下がる八ヶ岳なのか、はたまた北アルプスの3000m稜線なのか。

自分がやりたい「雪山登山」の定義を考えてみると、シュラフ選びも自ずと答えが見えてくると思っています。

ここから先は、私と同じようなレベル感で雪山テント泊を考えている方向けに書いていきたいと思います。具体的には「厳冬期1500m~2500m(稜線含む)でテント泊がしたい」という場合です。

マイナス20℃でも問題なしのモンベルのダウンハガー800#1

この前、八ヶ岳の行者小屋で幕営(【八ヶ岳】厳冬期テント泊登山(前編)~最高峰「赤岳」を行者小屋より望む、圧巻の大展望~)したんですが、まあ寒いったらありませんでした。マイナス20℃を下回っていたんですが、暖かいシュラフの恩恵もあって爆睡、夜中に起きるのが辛かったくらいです。

就寝時の温度寒は、シュラフ以外にもウェアやその他の工夫(ホッカイロ)などにより大きく異なります。その為、一概には言えないところなのですが、この前の八ヶ岳の経験から、マイナス20℃~マイナス25℃であれば、モンベルのダウンハガー800#1で十分対応可能でした。

・・・

雪山テント泊のシュラフ選びで一番悩ましいのは、この辺りの温度だと思うんです。

つまり、「八ヶ岳や南アルプスのようにマイナス15~20℃って、ぶっちゃけどうなの?モンベルの#1で寝れるの?#0とどっちがいいの!?」この疑問質問に私なりにお答えするのであれば、私はダウンハガー800#1がおすすめだと考えています。

なぜ、より暖かいダウンハガー800#0ではないのか?

そこには「シュラフの暖かさ」VS「大きさ」の問題があるからです。

大きさと暖かさはトレードオフ

こちらはモンベル公式の値を表にまとめたものです。暖かくなればなる程、大きさと重量が増していますね。中に入っているダウン(羽毛)の量が多くなるので当然っちゃ当然です。

ここでポイントとなるのが、モンベルの出しているリミット温度です。リミット温度とは、「頑張ればその温度でも寝れる温度」のことですが、この通り表を読み取ると上述した八ヶ岳行者小屋ではどのシュラフでも寝れないという事になってしまいますね。

厳冬期のテント泊登山では持って行くものがハチャメチャ多いので、「マイナス20度では常にダウンハガー800#EXPを持って行こう」なんて口が裂けても言えないわけです。お店で見てみてください。800#EXPとか笑っちゃうくらいに巨大ですからね。

シュラフ以外の工夫も等しく重要

厳冬期テント泊でいかに暖を取るかというのは、「雪山テント泊で効果絶大!「貼るホッカイロ」と「象足」で末端(足先)の冷えを予防する」で紹介しているように、シュラフ以外の方法でいかにして暖を取るかが重要です。

家でも同じことが言えるんですが、「どんなに温かい布団を使っていても、マッパだったら寒い」ですよね?山もそれと同じでして、暖かいシュラフ+それ以外の工夫が重要となってきます。

シュラフは最低限必要なスペックを満たしていて、後はそれ以外のウェアや工夫で暖を確保する、そして熟睡する。これが私の結論です。

【結論】モンベルのダウンハガー800#1が雪山テント泊ではおすすめ!

これから雪山でテント泊登山をしたいと思っている方は、シュラフをどうしようかかなり悩まれると思います。

モンベルシュラフの選び方の基本については「モンベルのシュラフは結局どれが一番良い!?~タイプ別におすすめシュラフを紹介~」を必ず読んでほしいのですが、この記事に雪山登山の知見を加えた、私なりの結論は以下の通りとなります。

ダウンハガー800#2(春~秋、初冬で推奨)

大きさ、暖かさのバランスが素晴らしく、春~秋の使用では最もおすすめできるシュラフ。初冬でも使えるが、その場合はウェア類をかなり温かくするかホッカイロで暖をとりましょう。

厳冬期は非推奨です。工夫次第で寝れなくはありませんが、大体の人は寒くて寝れないと思います。

ダウンハガー800#1(厳冬期に推奨)

ダウンハガー#2と比べてだいぶ暖かくなります。その代わり大きさがネックなのですが、厳冬期テント泊では必須のスペックで、熟睡するに必要な暖かさを備えています。

800#0と迷った場合は、まずは#1を買いましょう。

800#0はそれ程に巨大なので、持って行くのが億劫になってしまうと思います。#1と#0の暖かさ、大きさ/重さを天秤にかけた場合、「ホッカイロ」など他の工夫により暖を取った方が効率的ですよ。

ダウンハガー800#0(単独登山では非推奨)

巨大です。マジで巨大です。

テント泊登山は一人なのか、二人以上なのかにより一人当たりの荷物負担が大きく変わります。単独登山ではシュラフに割けるザックの割合が限られますが、私としてはダウンハガー800#0はそれを越えているかなという印象。

複数人でテントを共有できる場合には良いかなと思いますが、単独登山では#0ではなく#1を選ぶのが賢明でしょう。

以下、モンベルのシュラフに関して疑問に思われそうな事のQ&Aを載せておきますね。

モンベルのシュラフのRとLとは?

モンベルのシュラフを買う際にRとLの表記がありますが、これはジッパーの向きが右側(R)と左側(L)という意味です。右利きの人はRを、左利きの人はLを選んでおけば問題ないです。

モンベル、ナンガ、イスカ、タケモをどう選び分ける?

死ぬほど難しい問題なのですが、私は夏用シュラフからずーっとモンベルを使っているので、雪山だけ違うメーカーのシュラフを選ぶことのデメリットが大き過ぎました。それゆえに、雪山のシュラフもモンベル一択でした。

どんな方でもいきなり厳冬期のシュラフから買う事って少ないはずです。そうすると、まずは春~秋のシュラフを買うと思いますが、途中でメーカーを変えてしまうと、そのメーカーの基準となる暖かさがよく分からなくなってしまうんですよね。

メーカーによって温度感の表記が異なるので、基本的にメーカーは統一した方が良いのかなと私は思っています。特に、厳冬期という暖かさが重要なシュラフ選びで、そこだけメーカーを変えるのは、かなり怖いですね。もちろん、ネット上に色々な方の経験談や評価があるので大失敗のリスクは少ないと思いますが、自身の経験に勝るものはないと思っています。

モンベル:ストレッチ性能が素晴らしく寝心地が良い。モンベルで装備を揃えるとポイントがたまるので重宝。単独のお店があって行きやすいし相談しやすいし買いやすい。

ナンガ:永久保証あり、撥水性素材のシュラフも魅力。

イスカ:老舗メーカーだけど、特徴がよく分からない。

タケモ:新しいメーカーという事もあってかリーズナブル。知人が絶賛してた。

シュラフカバーは必要?

シュラフの結露は自身が汗と外気温の差によるものと、テント内に生じる結露がシュラフに落ちてくる2パターンあります。基本的には厳冬期の酷寒でシュラフが濡れてしまう程に結露することはないと思います。また、私は2人用のテントを使っており、テントとシュラフが触れる事がないため、今のところは使っていません。

しかし、強風時にはテント内の結露がシュラフに降ってきそうなので、あってもいいかな…と様子見。雪山テント泊をするのに「無かったら死ぬ」物ではありませんので、一回行ってみて、ご自身が必要だと感じれば持って行くことで構わないと思います。

シュラフカバーを買う際には、ゴアテックスのように通気性がよく、かつ3レイヤーになっている物を選びましょう。

雪山登山でモンベルのシュラフを買おうと思っている方の参考になれば幸いです。

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