自転車日本一周のゴールから約5カ月、仕事復帰してから1.5カ月程が経過しました。
サラリーマンから旅人、そして再びサラリーマンへ。私は会社を辞めてまで日本一周の旅へと出たわけですが、そんな時「本当に仕事辞めちゃって大丈夫なの?次のあてはあるの?」とお声がけ頂く機会は多かったです。仕事を辞めるというのは大きな決断で、旅に出るというのもまた、大きな人生の転機です。応援してるけど、やはり心配。そんなリアルな声をたくさん頂きました。
「一度きりの人生、旅をしてみたいけど・・・」
そんな風に考える人が多い反面、旅に踏み切れないのはその後の生活や再就職が不安だからという人は多いはずです。
- 仕事を辞めてまで旅をするか、いつするか、どうするか、そして、その後どうするか。
「仕事、日本一周、サラリーマン」というキーワードにおいて、仕事を辞めて日本一周するのであれば備えておいて損はない、そんな心構えについて、私なりのメッセージを残せたらと思います(๑´ڡ`๑)
まずは「仕事を辞めてまで日本一周する"自分なりの"意味」を整理しよう
現在サラリーマンの人は、基本的に仕事を辞めなければ日本一周の旅はできません。憧れの日本一周。本当に仕事を辞めてまで踏み切るべきことでしょうか?
もちろん、答えは人によって違うはず。
それがもし、貴方にとってYESであるならば、まず初めに整理すべき事項、それは「自分にとって仕事を辞めてまで日本一周する意味は何なのか?」だと思うんです。
"何となく日本一周してみたい"という理由で始める旅は「何となく」な結果を生んでしまう可能性が高いと思います。これは日本一周に限ったことではなく、明確な意志と目的がなければ物事はいい方向に進みません。英語の勉強なんて、そのいい例だと思います。何となく始めた英語の勉強って、全然続きませんよね。
旅と引き換えに犠牲となる「今の自分のステータス」は二度と戻りません。確かな意志、明確な目的が無い限り、私は日本一周はしない方が(ぶっちゃけ仕事面で言えば)良いと思っていますし、旅をしている間に「将来が怖くなってくる」と思うんです。この事は慎重に考える必要があります。
日本一周する正義が自分の中で確立していれば、先を見据えた行動が旅を楽しみ推進する力となりますが、一方で、もし根幹が曖昧だと「やばい…そろそろ旅終わるけど…次どうしよう?」そんな不安が日に日に増長してくる事と思います。
「仕事を辞めて日本一周した本当の理由とゴール後のエピソード」で語っていますが、私の場合、仕事をやめる直接的な動機は旅でなかったものの、結果として旅をする意義は明確でした。その半面「旅を終えた後、何がやりたいか?」についてはしっかり考えきれていなかったため、旅の後に対する不安は大きかったですね(何とかなるとも思っていましたが、やはり不安でした)。
なぜこんなネガティブちっくな話をするのかと言えば「その不安は、旅本来の楽しさを壊してしまう程に、キツイかもだよ?」というメッセージをお伝えしたかったからなんです。私は日本一周して本当に良かったし、同じ志を持つ人を応援したいと思っていますが、旅にはポジティブな側面だけでなく「その先の再就職」と言った旅人に例外なく付きまとう不安との戦いがあります。
「旅をしたから人生、失敗した…」そんなの絶対嫌じゃないですか!その為にも、ある意味 "戦略的な思考、先を見据えた行動" って重要だと思うんです。
小難しいことを考えずに旅を楽しんだらいい、そう言うのも思うのも簡単なのですが、現実論、ねえ。旅の後は誰だって不安なもの。考え方次第ですが、旅を100%楽しむ中にあって、追加のエネルギー20%を使い、将来事も考え"120%"で旅をするくらいがいいんじゃないかと、個人的には感じております(๑´ڡ`๑)
「将来やりたいこと」が日本一周で簡単に見つかったりはしない。
日本一周しながら将来やりたいことを見つけるのは容易ではありません。確かに、それは理想的ですが、簡単ではないんです。日本一周するだけで精神的にも体力的にも大変で、しかも基本は観光したり楽しんだりするのがメインな訳で、旅したからって仕事に繋がるサムシングがそうそう簡単にホイホイと見つかったりはしません。
農家に興味が湧いた、ゲストをやってみたい、写真家になる、田舎の安い家を買ってスローライフ、プロブロガーを目指す?言うは易く行うは難し、本気なら、いいと思いますよ。日本を周って起業するアイディアでも思い浮かぶのであれば、それは天才的なので、やってみたらいいと思います。お金さえあれば、一度会社を辞めているので精神的には始めやすいでしょう。
「日本一周を通じて次にやりたいことが見つかればいいな」その思考自体は分かります、私もそうでした。でも、旅をすれば将来の目標が見つかると過度に期待することは、言い換えれば将来の自分におんぶにだっこな先送り的な考え方な訳で、今この瞬間、何も考えないのは現状から目を逸らしているようなものなんです。-いや本当に、私はそうだったというお話ですよ。
旅が終わった後にサラリーマン復帰しようと考えている方へ
私のようにです、サラリーマン→旅人→サラリーマンという人生の舵取りをしようと思っている方は、基本的に就職活動をすることになりますよね。
私は「縁」で入社したので、あまり偉そうな事は言えませんが、それでも日本一周から再就職までを見据えて以下の視点を持つことが大事なんじゃないかと思い、お伝えします。
- 旅の動機と目標、達成までの過程を明確にしよう。
- 旅は「楽しみ、学び、さらに形にする」が基本。
- 会社の人事部の気持ちになって考えてみる。
- 日本一周で得られることの多くは抽象的。
- 日本一周で次の就職先に繋がる強みを作っておく。
- 人と人との繋がり、人脈を何より大切にする。
- 人脈とは、ただ単に知り合いになるだけの意味ではない。
- 元社会人だからこそ感じられる、旅のインスピレーションを大切に。
- ブログは次の就職先の人が見るかもしれないと理解する。
- 旅で何を楽しんだかじゃなく、何を学んだのかを明確に。
楽しいはずの日本一周なのに、なんでこんな社会人的な堅苦しい発想をもたにゃいかんのじゃ、アホか。わかります。私も書いていて思いました。でもね、頭の片隅にでも入れておいていただけば、役に立つ日が来るかもしれません。
いずれも重要ですが、特に私は5.~9.を大切にしてほしいと思います。
なんていったって、私は日本一周してさらにそのご縁で再就職して、今現在、すごく充実しています。日本一周とその先の就職を切り離して考えるのも手ですが、どうせならそこにストーリーがあって、日本一周とその先の人生が繋がったほうが、素敵じゃないですか。
そのために大切なのは、ご縁や人脈を大切にすることかなって、私は思います。
人脈とは、旅の中で出会った人と「挨拶して、名刺を渡して、はい知り合った」という意味ではありません。極論、500人と知り合ったって、その場限りの縁では「袖振り合った、多少の縁。」で終わってしまいます。
ご縁に関して打算的になる必要は決してありません。しかし、そこから何をどう広げられるのかは、まさにあなたにかかっているのです(啓蒙書みたいになってしまいましたが笑)。
もし日本一周を通じて得たご縁や人脈があるとして、その人達がもう一度連絡を取りたいと思えるような、魅力的な旅をしているでしょうか?それを表現できているでしょうか?
人と人との繋がり以上に強力な「力」なんて存在しないと思うので、その機会を最大限活かせたらいいですよね。
旅が終わった後の再就職先のパターンと方向性
私が思い浮かぶパターンをとにかく挙げてみましょう。
- 薬剤師など強力な資格を持っていて、資格を活かした職に就く(最強)。
- パワーアップした自分を引っさげ、前職に戻る(何人か知ってます)。
- 前職に関連する業界へ再就職(王道?)。
- 日本一周で得た縁が再就職へ繋がる(私はこれ)。
- 前職と関係のない職種のサラリーマンを目指す(私はこれでもある)。
- "自転車"日本一周したので、自転車関連の会社やショップで働く(実例あり)。
- 地域おこし協力隊として地方で働く(実例あり)。
- "旅"の経験を活かして、旅に根付く業界で働く(特にメディア関係)。
- ブログ執筆などの経験を活かして、ライター職へ就く(インバウンドメディア等)。
- 山小屋で働く、農家になる、漁師になるなど、新たなフィールドへ挑戦(実例あり)。
- プロブロガーを目指す(実際にいるようです)。
どこを目指すのかは人それぞれですが、旅をして、孤独になって、初めてわかる人と人との繋がり、自分と社会との繋がりを一層感じられると思います。その意味で、旅を経験した元サラリーマンが、再びサラリーマンになると、世の中の見え方、人との付き合い方、色々変化が生じるものだと思います。
少なくとも私は、2年前と比べて、何もかもが「広い視点」で捉えられるようになりました。それは、経験や知識からくるものであり、物理的に日本を周ったことも関係しているでしょう。ニュースを聞けば、知っている地名ばかりだし、何なら行ったことある場所が多いわけです。
観光、自然、地域、神道、地方問題、特産品、環境問題、過疎化、絶景、町、人・・・ありとあらゆるものを自分の目で見て来たわけですから、視野なんて広がりまくりですよ。本当に。
だから、楽しいですよ。旅が終わった後の社会人生活は。そうした新しい自分をひっさげ、再び社会で働くというのは、きっと誰でも面白い。
旅の経験やブログ執筆経験を活かすのであれば、インバウンドメディアはおすすめできると思います。インバウンドとは、訪日外国人向けのメディアを運営している会社のことです。今有名なのはFREEPLUSとかでしょうか。私のおすすめはMATCHAというメディア・企業です。何を隠そう、私はここで記事を書いたことがあり、会社を訪れたこともあります(日本一周前)。成長企業だし、メディアも面白いし、こういうある程度の規模を持つベンチャー、しかも旅の経験を活かせる企業はおすすめだと思います。
メディアでの経歴がないのであれば、まずはライターからということになるでしょうか。ブログ書きまくるとライターにだけはなりたくないと感じるかもしれませんが(笑)
私は、ELLE A TABLE(エルアターブル)という有名雑誌のウェブ媒体に記事を書かせてもらったりもして、本気でライターを目指すならこういう出会いを辿るという方法もあったでしょう。今思うと、本当色々と経験させてもらった日本一周でしたね。
「日本一周を楽しみながら将来に繋がりそうな経験や縁を増やしていく」ことは、日本一周を充実させるためにも将来のためにも、役に立てど、損なことなど一つもありません。
日本一周を履歴書にどう落とし込むか、面接でどう伝えるか?
履歴書を本気で作ろうと思っている段階で就職先が決まったので、実例にはなれず恐縮ですが、履歴書や面接で「旅の経験」をアウトプットするには、やはりしっかりと過去の自分を振り返ることが必要でしょう。
まずは、自分が理路整然たる状態になることが先決で、相手に伝えるのはその後です。サラリーマン×日本一周で「私」が感じたことの一部をリストアップしてみます。
- 一人だけの自由や自己満足にはいずれ飽きる。旅という究極の孤独は、人と人とが接することの意義、有り難さを教えてくれた。
- 働くことで得られる収入には、単にお金としての価値だけではなく、生活の豊かさを保証するというかけがえのない意味があることに気づいた。
- 知らない場所で一人になることは、自分の精神的な弱さを知れるまたとない機会だった。旅とはつまり、孤独になり、自分と向き合う時間の積み重ねだった。
- 一方、自分の行動力や度胸が旅の中で磨かれていくのを感じ、それは普通の生活では成し得ない成長速度だった。
- 知らないことを知っていく喜びは何事にも代えがたく、日本一周ではそれが日本の風土であり、風俗であり、景色であり、出会いだった。
- 観光旅行とは異なり、連続する時間の中で各地域を訪れることで、日本全国を横並びで比較することができた。
- 日本の事が好きになり、日本全国どこでも住みたいと思えた。これまでのように東京という狭い世界ににこだわる理由は何一つなかった。
- むしろ東京という狭い世界でしか楽しめないことが、どれほど損であるか痛感した。
- 旅の計画からゴールまで、振り返れば自主自律の毎日だった。何となく過ごす毎日とは異なり、日々の時間をどう生きるか、これほどに意識したのは初めてだった。
・・・これは本当に一例ですが、旅をする前後で「思考の整理」をすることで、旅を通じて見えるものは大きく変わると思います。ただ単に「楽しかった」で終わるのとは、再就職の場面にあって大きく意味合いが変わってくるはずです。履歴書でどのように表現するか、面接で一番伝えたいポイントはどこなのか、人によって異なるはずなので、整理して損はないはずですよ。
日本一周は、楽しい。だからこそ・・・。
日本一周は、間違いなく楽しいです(断言)。
やって後悔なんてまずないでしょう。
だからこそ、その先にある再就職という不安を少しでも軽減して、楽しく、しかも日本一周を武器にして就職活動なり次のステップへ進めたら、それが一番かなって思うんです。
元日本一周チャリダーのほとんどは皆違った仕事をしているでしょうから、「具体的に何をしているのか知りたい」という事であれば、それはもう本人に聞くしかないでしょう。今はツイッターやフェイスブックで連絡が取りやすいですもんね。
私は日本一周をする前「日本一周した人たちはその後何をしているのか?」と結構調べたものですが、いかんせん、情報はなかなかありません。さすがにネットで全て赤裸々にとはいかないですから。そんなこともあり、日本一周後の様子をこの記事や、先日の「仕事を辞めて日本一周した本当の理由とゴール後のエピソード」でなるべくご紹介したつもりです。
とは言え、同じ日本一周というジャンルであっても、その先の道は分れていますし、一概には語れない面もあります。バックグラウンドも全く違いますしね。
日本一周の同期で言えば、その後世界一周している人、トラックの運転手をしている人、前職へ戻った人などがいるようです。日本一周やら仕事やらで分らないことがあれば、それこそ日本一周経験者に聞くのが、一番ではないでしょうか。
最後に、私は何をしているのかと言えば「グローバルブランドマネージャー」という役職で仕事をしております。なんじゃそら??って感じですね(๑´ڡ`๑)笑
2018/2/17:日本一周アフターストーリーについて追記
自転車日本一周した私が今何をしているかのアフターストーリーを語った記事を追記しました。
元日本一周チャリダーが何をしているか書いている記事ってあまりないと思うので、一つの参考として読んでいただければ幸いです(๑´ڡ`๑)