投稿日:2021年3月20日  更新日:

【北アルプス】常念岳 雪山登山(厳冬期・日帰り)冬季限定バリエーションルート東尾根をナイトハイクで駆け上がる!

穂高の連嶺を写真に収めるため常念岳に登ってまいりました!

冬季の常念岳はバリエーションルートの東尾根が一般的。バリエーションルートとは言うものの、冬季メジャールートとしてよく歩かれており、穂高の迫力ある景色を求めて入山する人はたくさんいます。今回はご来光時の写真が撮りたかったのと、幕営するメリットがあまりないので私としては極めて珍しくテントを担がずナイトハイクにて挑戦しております。

標高差2200mとも言われる長大な尾根歩きとなりますが、厳しい道であるだけでなく、常念岳の山頂からは360度の展望が開かれており、穂高や槍をはじめとした絶景を拝むことができます。

常念岳東尾根コースタイム

1日目(3月3日)
豊科駅(19:30)→ 須砂渡ゲート(19:50)
須砂渡ゲート(19:50)→ 高瀬川線No.63(20:30)
2日目(3月4日)
高瀬川線No.63(20:30)→ 森林限界(1:40)
森林限界(1:40)→ 前常念岳(3:50)
前常念岳(3:50)→ 常念岳(5:00)
常念岳(7:30)→ 高瀬川線No.63(12:00)

常念岳東尾根ポイントまとめ

  • 標高差2200mの北アルプス屈指にして圧倒的に長大なルート。
  • 本ルートは鉄塔から尾根に登る(降りる)までが迷いやすいので注意。
  • 下部(鉄塔より少し上部)によくわからないピンクテープが「物凄い数」ある。何か施設があるのか林道なのかわからないが、下山時要注意。
  • 尾根上は一本道で支尾根などなくわかりやすい。
  • 森林限界より上部に4箇所ほど大きな岩場がある。岩の上を通過するか巻くかは状況判断が必要。
  • 森林限界直下や森林限界〜前常念岳には幕営適地多数あり。
  • 常念岳直下の谷筋は落ちたら助からない角度。強風時は稜線歩行要注意。
  • ナイトハイクで挑戦する場合は寝不足注意、ヘッデンの電池は十分携帯しましょう。

豊科駅よりタクシーで登山口へ!

松本から電車一本で豊科駅まで移動しました。移動時間は30分ほど。

豊科駅から登山口まで移動しますが、豊科駅は有人の駅でタクシーも3台ほど停まっていましたので、公共交通機関派にはありがたいですね!

須砂渡ゲート(登山口)

冬季常念岳東尾根の登山口である須砂渡(すさど)ゲートにタクシーで到着!

ここから標高差2200mの長大で厳しい登山がスタートします。

なおこの辺りにトイレはございませんので、駅で済ませておくのが良いと思います。

ゲートを越えて程なくして雪道となりますがアイゼンが必要な程度の傾斜ではなく、ツボ足で暗闇の道を歩いて行きます。ナイトハイクは何度も何度も経験していますが、それでも漆黒の道を一人で歩くと言うのはいつでも心細いものです。

本格的な登山口までは30分以上歩くことに。

途中で橋を渡ります。

この辺りは道なりに歩くので基本は迷うことはないと思いますが、ナイトハイクをする場合はGPS地図を持っていた方が俄然心強いですね。

私は山と高原地図のアプリ派ですが、ヤマップでもヤマレコでもなんでもいいと思います。

程なくして右手に梯子が見えますが、これはスルーしましょう。

過去の記録でここから上がっている人もいますが、この梯子、微妙に高い位置にあって登りにくいと思います。

高瀬川線No.63

梯子から程なくして高瀬川線No.63と言う看板が見えてきます。

まず見逃すことはないと思いますが、これをスルーしてしまうと取り付きが難しくなりますので、梯子を過ぎたら右側を注意しながら歩きましょう。まず見逃さないと思うレベルなのでナイトハイクでも大丈夫です。

しばらくはよく踏まれた道を歩きます。ここも迷うことはありません。

鉄塔

鉄塔へ到着!

常念岳東尾根のランドマーク的役割を果たしています。ここから先ですが、鉄塔を右手にそのまま真っ直ぐ歩いて行きます。なぜこうしてわざわざ書くかといえば、この辺りよく見渡すと至る所にピンクテープがあるからです。

ナイトハイクだと特に惑わされてしまう可能性がありますので、よく注意してください。

基本真っ直ぐ進みます。

東尾根は冬季のみ歩かれるバリエーションルートではあるものの、トレースは割としっかりしていて、冬季も後半であれば笹が薄くなっている箇所が見て取れると思います。鉄塔を過ぎるとしばらくの間、笹を軽く漕ぐようなルートになりますのでしっかりと現在地を確認しながら進むようにします。

笹の中にもたまにピンクテープがあります。

心強いものの、このルートは標高が低い場所にピンクテープが異常なほど存在しており、その多くが登山道でないものにも付いていますので、不安な人はGPSでこまめに確認しながら進むと良いと思います。

1本道の尾根を上がっていく

笹が薄くなり明瞭な尾根まで上がれば後は明瞭な一本道。例えトレースがなかったとしても間違いがないような尾根道を歩きます。

尾根は狭く、ただひたすらに、愚直に山の斜面を登るのみ。

景色がいいとか面白い地形をしているとか、そういったオシャレな要素は一切なし。常念岳と向き合いながらひたすらに登るのみです。

急な斜面を登りますので、積雪していれば初めからアイゼンを装着してしまっていいと思います。

もしラッセルとなる場合はスノーシューかワカンがなければまず突破できないような場所。常念山脈ではありますが積雪は多く、登るタイミングによってはラッセルで苦労するところです。

急な斜面もありますが、全体を通して樹林帯の中に平坦な場所が点在しているため幕営地を探すのには一切苦労しないでしょう。1日で登り切るのはしんどい斜面なのでテント泊で登る方も多いようです。

ある程度登ると豊科や安曇野の街明かりが見えてきました。

今日は月の出が遅かったのですが、22時を回りようやく月が顔を出してくれたおかげで少し明るくなりました。ナイトハイクするときは月の明かりが身に染みてありがたいものです。

樹林帯の愚直な登りを無心でこなして行きます。

森林限界も後少しで見えてきそうと言うところでテント跡地を複数発見。幕営するにしてもなるべく上部でした方が後工程が楽ですもんね。森林限界下部にも平坦な場所は点在しているので、幕営適地はいくらでも見つかるでしょう。

大量降雪直後でなければテント跡地に整地された跡が残っているかもしれません。二次利用することができればテント泊がグッと楽になりますね。

森林限界

夜中の1時半ごろようやく森林限界が見えてきました。森林限界へ出るところが若干細くなっているので一応注意しながら進みます。

森林限界を突破すると前方に明瞭な尾根道が開けます。こうして見ると、ここから常念岳はそれほど遠くないように感じられますが、実際はここからが長いです。今日はご来光の時間になるべく合わせて山頂に向かいたいので、遅過ぎることはもちろん早過ぎるのも寒くて辛いところ。時間をうまく調整しようと少しペースを落としましたが・・・心配無用。森林限界から常念岳の山頂まで「かなり」距離がありますし、かなりの急登です。

油断せずにどんどん進んだ方が良さそうです。

稜線を歩くと山頂に至るまでに4〜5箇所岩場を越えるシーンがあります。

簡単なところもありますが、割と大きな岩場もあり、一筋縄では行きません。岩場の上部を乗り越えるか、あるいはやや下部を巻きながら歩くのかは当日の現場判断になるかと思います。

アイゼンをつけて慎重に越えて行きましょう。

かなり大きな岩を越える場面もありますので、そういった意味では初心者の方には到底おすすめできないルートだなと思いました。高低差2200mと言うとかなり長いルートですし、いろいろな経験を積んでから挑戦した方が良さそうです。

前常念岳

長く厳しい稜線歩きを経て前常念岳へ到着!

前常念岳までくると一気に穂高岳の展望がひらけます。逆説的に、ここまでこないと穂高岳が見えませんので、穂高の撮影がしたいと言う場合には最低でも前常念岳まで来る必要があります。

前常念岳からは蝶ヶ岳〜常念岳の稜線越しの穂高岳を拝むことができます。ご来光の撮影を狙う場合はここから撮っても面白いと思います。前常念岳はブロックを積めば幕営も可能だと思うので、ここをベースにご来光の撮影をするのも面白いと思います!

私はと言うと、山頂から写真が撮りたいのでまだ先へ進みます。

前常念岳から常念高への道でも岩場を超えて1時間程度の時間が必要ですので、最後まで本当に油断ならないルートです。

また、稜線から一歩足を踏み外すと奈落の底まで谷が落ちていましたので、強風時には特に注意が必要なところですね。

ご来光の時間まで1時間程度を残し山頂につけそうで安心しました。山頂へ向かうビクトリーロードをアイゼンをしっかりきかせながら歩いて行きます。

常念岳 登頂

常念岳(2857m)を登頂しました!

常念岳はこれまで未踏でしたので、新しい頂に立てたことが素直に嬉しく、2200mの高低差というとかなり厳しい道でしたので達成感もひとしおです。2200m以上の高低差の登山道は…もちろん他にもあるのですが、メジャーなところでは甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根剱岳の早月尾根などでしょうか。常念岳の東尾根もなかなか歩き甲斐のある道でした!

ご来光まで1時間程度あるので、山頂でコーヒーを飲んだり手をプラプラさせたり小躍りしたり腕をブンブン回すなど、末端へ血流を送る運動を行います。寒いときは固まっていないで動いた方が末端の痛みを緩和できます。

常念岳山頂からの展望

残念ながらモルゲンロートにはならなかったものの、ピンク色の光は入り美しい夜明けを迎えることができました。穂高岳の撮れ高はそれなり、といったところでひとまず胸を撫で下ろします。

常念からの景色ではまず特筆すべきは穂高連峰!!明神岳の連嶺から前穂高岳・北尾根・奥穂高岳・涸沢岳・北穂高岳と穂高の素晴らしい展望を拝むことができます。似たような蝶ヶ岳や蝶槍から見た景色と比べて前穂高と奥穂高の間隔が開いているのが特徴的。そのおかげで奥穂方面にかかる影が落ちて立体感が増すように思います。

穂高連峰

切り取る焦点距離によって印象は大きく異なります。

常念岳から穂高を撮る場合は標準だけでなく望遠まであった方が面白いと思いますよ!

先日降雪があっただけでなく今日は寒気もそれなりということで下部は霧氷がびっしり。残雪期に入るとこの辺りが黒々としてしまうことも多いので、白いタイミングを狙うには天気をしっかりを確認する必要があります。

蝶ヶ岳

お隣の蝶ヶ岳への稜線は起伏が多そうです。

大キレット

こちらは常念から眺める大キレット。南岳の雪ひだもかっこいいですね。

乗鞍岳・焼岳

こちらは南部の乗鞍岳や焼岳方面。焼岳の前を流れる雲海が印象的です。

立山・剱岳

こちらは最北部の立山や剱岳方面です。真っ白な立山の東面はもちろん、剱岳の厳しい姿はここから眺めても健在。剱岳の手前の尾根が源次郎尾根、奥の長大な尾根が八ツ峰でしょうか。5月まで特別な届出が必要な冬季の剱岳は一部の限られたスペシャリストのみ挑戦可能です。

裏銀座・後立山

こちらは左手にある鋭鋒の針木岳(裏銀座方面)や右手奥には後立山の鹿島槍ヶ岳などが見えています。こうして見ると常念岳の眺望の良さがよくわかりますね!

しかし、やはり特筆すべきは穂高岳でしょう!常念高から眺める穂高岳は思わず感嘆の声をこぼしてしまうような、迫力のある姿で迫ってきます。辛く厳しい道のりではありますが、次回はしっかりとしたモルゲンロートを狙って再訪したいと思える場所でした。

下山

常念岳山頂からの景色と撮影を堪能した後はいよいよ下山に取り掛かります。

ちなみに、めちゃくちゃに長いので注意が散漫にならないように気をつけようと思います。

下山時も岩場の歩行には気を使います。うまく迂回できるところは迂回した方が楽かもしれません。

前常念岳から眺める角度はこんな感じです。ここからでも迫力十分ですし、手前の尾根が焼ければそれはそれで良い写真になりそうですね!

樹林帯へ入る場所が非常に明確でなんだか面白いですね。これはかなり下って来た場所からの一枚ですが、下界を見下ろすといかに高いところいるかがわかります。ここからの道のりがまだまだ長いことも…。

稜線を振り返っての一枚。この通り稜線はなかなかの斜度であり、樹林帯よりも稜線に出てからの方がしんどかったかもしれない。いや、稜線の方が大変だった。

日中で景色を楽しみながら歩けばまた違った感想になるかもしれませんが、ナイトハイクだと稜線に出ても何も見えませんからね。

後は再び樹林帯の中を一心不乱に下山して行きます。

下山時の分岐注意点

樹林帯も終盤、いよいよ下界への雰囲気も感じられるような場所で、上記のような山火事注意の看板が出てきます。

ここは間違えて右に行かないように気をつけてください。

正しくは左手に進みます。右にも立派なピンクテープが付いているのでついつい進んでしまいそうになります。また、進んだ先はしっかりと舗装された謎の道になります。どのように利用されているのかはわかりませんが、すぐに舗装された道になります。そして、その先にもピンクテープが異常なほどにたくさんついています。

なんで知っているかって?いや、結構右手に進んじゃったんですよ(アホ)

ナイトハイクで登っているとこの辺りの景色が見えておりませんので、ついつい誤誘導されてしまいました。山火事の看板分岐を左に直進です。お間違いなく。右に行くと道迷いや遭難予備軍になりそうな感じでした。

左手に進んだ後も謎の間違いピンクテープがたくさんついていますので、しっかりとGPSを確認しながら尾根を外さないように歩くことが重要です。ちょっと道間違いをしてヒヤリとしましたが、無事に登山口まで戻り下山完了です!

振り返って常念岳。こうして見るといかに遠く、長く、高い場所まで歩くかが実感できますね。登り甲斐、めちゃくちゃありますよ!景色も最高!

ドコモは基本電波がありましたので、適当なタイミングでタクシーを須砂渡ゲートまで呼んでおきました。後はタクシーに揺られて豊科駅まで戻ります。

県民に愛される常念岳

豊科の駅からは常念岳が大きく見えます。松本や安曇野からも見える常念岳は長野県民から愛される地元の山のようです。これだけ身近にあれば愛され、崇拝されるのも納得の山ですよね。山容も景色も日本百名山にふさわしい山岳だと感じました。

後は電車で松本まで戻り、今回も無事に登山完了です。お疲れ様でした!!


この記事のカテゴリー 登山記録:北アルプス

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