12月も折り返し、2017年も残り僅かという時期。北アルプスは後立山連峰へ行ってきました!
結果、圧倒的な大自然を肌で感じ、雪山の美しさと厳しさを改めて思い知ることができました。
登山の概要(厳冬期五竜岳 遠見尾根テント泊)
土日を利用しての登山。目的のピークは五竜岳ですが、大前提として「何が何でも登頂する」という登山ではありません。
- 初めて厳冬期の後立山に入山する。
- 決して無理はしない、ピークハントは様子を見て決める。
- 遠見尾根でテント泊をする。
本気の厳冬期(1~2月)前に遠見尾根の様子見がしたかったのとテント泊をしておきたかった、これが今回の登山の真意です。
金曜日の仕事が終わった後にそのまま移動したので、職場へ雪山登山のザックを持ち込み、通勤から雪山シューズでした。理解ありまくる職場なのでむしろ登山のザックを珍しがってくださいましたね。実際に背負うと「おっも!!こんなん背負って歩いてんの!?」っていう感じみたいですよ。
後立山連峰とは?
後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)とは富山県、長野県、新潟県をまたぐ日本有数の高山帯。北アルプスの中でも立山連峰と並び日本海に近いため冬は豪雪、晴れが少ない極めて厳しい環境です。白馬岳、五竜岳(地図マーク)、鹿島槍ヶ岳など日本を代表する山岳が連なる日本トップクラスの絶景なのです!
登山記録(2017/12/22~2017/12/24)
23:00 新宿から夜行バス移動
仕事終わり、華金の夜にバスタ新宿から白馬方面への夜行バスへと乗り込みます。新宿から白馬へはバスで5時間かかるため、前日移動しないとまともに登山ができません。
- プランA:松本で前泊して始発で白馬五竜へ移動。
- プランB:新宿から夜行バスで直接白馬五竜へ移動。
元々プランAの予定でしたが、直前で夜行バスに空席ができたので即予約。今の時期は忘年会があるため、「松本のカラオケが混んでいるかもしれないぞ?」と危惧しての予定変更でした。なお、夜行バスは1週間前に見た時から満席でしたよ・・・。
6:15 白馬五竜バス停
まだ日も登らない時間、白馬五竜に到着しましたー!
まさかの降雪\(^o^)/
ぬくぬくのバスから一人降りたら、外は真っ暗でしかもめっちゃ雪降ってるとか心折れそうになるやつ\(^o^)/
(夜行バスは満席でしたが、意外や意外、登山関係者は殆ど乗車してませんでした。帰省とかスノボが多いのかもしれません。)
今の時期、早朝はリフトがまだ稼働していないため、ちょっとバス停で仮眠を取ることに(20分)。
・・・さっぶい\(^o^)/
7:10 神城駅
白馬五竜のバス停から白馬五竜スキー場(エスカルプラザ)まで歩いて20分程なのですが、めっちゃ雪降ってるので神城駅に避難してきました。ストーブという偉大な発明によりぬくぬくです。
無料シャトルバス(神城駅~白馬五竜スキー場)
冬の間、神城駅や白馬五竜バス停からスキー場まで無料のシャトルバスが出ているので、これを利用していよいよゲレンデへ!
ガチで雪が降っていてちょっと心配。今日はこれから天気が回復していく予報ですが、まさか下界で雪が降っているとは思わなかったので(汗)
7:30 白馬五竜スキー場(エスカルプラザ待機)
白馬五竜スキー場は、大勢の若者と外国人がスキー/スノボー目的でワイワイしています。私自身もスノボをやるので、このゲレンデは来たことがあるかもしれません。エスカルプラザっていう名前聞いたことある気しかしません(笑)
早朝からサブウェイが開店しているので朝ご飯を頂きます。
今回の雪山登山から、雪山シューズを使用!モンベルのASOLO(アゾロ)というシューズです。雪山シューズなのでソールは硬いし暖かいのですが、限りなく縦走を意識して作られており、軽くて歩きやすいのが特徴です(雪山ブーツは登攀と縦走、保温と軽量のバランスで特徴がだいぶ違うので、自分が何を必要としているのかが重要です)。
久しぶりにワカンまで含めた完全雪山装備です。テント泊雪山登山、ザック全体の重さは25kgに迫ろうかという重量(私はカメラ、レンズ、三脚が重たいのもあります)。
8:30 エスカルプラザ~遠見駅
準備が整い、テレキャビンが動き出す時間になったらいよいよ出陣します!
テレキャビンのチケットは乗り場である遠見駅にて購入できるため、登山客はエスカルプラザで並ぶ必要はありませんのでご注意を。
晴れ間も見えてきていい感じ!?
遠見駅にてテレキャビンへ!
“スキー/スノボー客に紛れた登山客”って死ぬほど目立ちますので、それ含めて楽しんじゃうのがいいですね!登山客が他に誰も居ないのが気になりますが、いざ山へ!
標高が低い所からどんどん雲が取れて来ていて良い感じ!?
雪山シューズ&12本爪アイゼン、デビュー!
今日は雪山シューズデビューでもあり、12本爪ワンタッチアイゼンのデビューでもあります。アイゼンもモンベルで買っちゃいました。雪山シューズとワンタッチアイゼンは相性があるため、必ずお店で合わせてから購入しましょう!初めてでよく分からない人は、雪山登山の経験がある店員さんに相談してから買った方がいいと思います。
雪山ブーツ&12本爪アイゼン歩きやすい!
歯がこれまでよりだいぶ大きくなったので引っ掛けないように気を付けないとです。アイゼンの歯をズボンに引っ掛けるのが雪山登山あるあるなのです。
テレキャビン終点から登山スタート!さあ、お天気は・・・
雪降ってる\(^o^)/
スキー&スノボーの人の邪魔にならないよう脇を歩きながら、ゲレンデを登っていきます。まずは地蔵の頭と呼ばれるリフト最終地点まで。
この辺りが地蔵の頭?真っ白で視界が悪くてですね、展望がまったく効きません。周りの状況がよくわからない。
ゲレンデ歩いていたらパトロールの人からすぐさまお声がけ頂き、状況を確認。「今日は山の人誰も登っていないから、気を付けていってきてくださいね!」
・・・こうして孤独な戦いの火ぶたが切って落とされました。
ルートファインディング&深雪ラッセル
地蔵の頭から遠見尾根へ取り付きますが、リフト最終地点から先は広くなっているところもあり、いきなりルートファインディングが必要な状況です。真っ白で展望が効かないので、GPSをこまめに確認しながら尾根を進みます。
幸か不幸か先行者はゼロ。ノートレース。降雪。深雪ラッセル。
全ての試練を与えていただいたようです(白目)。
尾根歩きなので、尾根に乗っかれば道を間違えるという事はありませんが、ここまでトレースが無いとは思わず、想定していたよりもずっと進みが遅い。
地蔵の頭から小遠見山まで1.5時間の標準コースタイムですが、それは夏山の話。雪が非常に深いので2~3倍の時間がかかるかもしれません。遠見尾根を歩くのはこれが初めてですが、アップダウンが多くてかなり苦しみます。
厳しい雪山の大自然
自分が歩いた道を振り返ると、遠見尾根はかなり細い場所があることが分かります。そして、この急登っぷりです。テント担いでいる事もあって本当に進まない。ゼーハー言いながら着実に進んでいきます。
開けた場所に来ると烈風が襲い掛かって来ます。
足跡のない厳しい大自然を一歩ずつ進む様は、自然と闘っている気さえしてきますね!
まるでスローシャッターしたかのような景色。これシャッタースピード1/2000秒なんです。どれほどの風が吹いているかは何となくご想像していただけるかと思います。この場所は20m/s超えでしたね。
時折、体を揺らされながらも雪煙を撮っていました。
美しいですよね。雪山は本当に美しい。
風が強いと当然雪庇ができてきます。まだ12月ですが至る所に雪庇が成長していましたよ。そのせいで痩せ尾根となっている場所が多いんですが、それはそれで、どこを歩くか判断しながらの山行、雪山登山の醍醐味。
小遠見山へは登らず、巻いて中遠見山を目指します。
ここまでで体力を相当に削られており、時間もかなり経ってしまいました。夏山ならなんてことはないこの登りが、キ、キツイ・・・。
標高が上がってついに山の姿を見る事ができました。
まだ雲が残っていますが、迫力あります!!青空、雪山、雲、これがそろうと本当に美しい。
雲から溢れる太陽と力強い尾根を切り取ってみました。
この段階で、時刻はなんと14時を回っています。夏山ならコースタイム2時間半という道を倍以上もかかってしまった事になります。
とは言え、私が極端に遅いかと言えばそうではなく、この雪の量(膝上~腿)で単独ラッセルだと普通かなと。そういった感覚含めて、様子見に来た意味がありました。
14:15 中遠見山(幕営)
中遠見山に到着ー!!
ザックを降ろして休憩。中遠見の山頂付近は広くないものの、樹林がいい感じで茂っているので風が弱くなっている場所があり、幕営できないことはありません。景色もいい。日没の時間(16:30)を考えるとここで幕営しておくことが賢明に思えました。
当然、中遠見で幕営では明日に五竜岳のピークハントは無理です。山頂を目指すのであれば最低でも大遠見、できれば西遠見までは行かないと帰れません。その点、厳冬期に五竜岳を目指すのであれば2泊~3泊が標準かなと思います。もし厳冬期に単独ラッセルだとすれば更に1日予備日がないと厳しいでしょう。
遥かなり五竜岳。
その美しい姿を見れただけで充分。
五竜岳山頂までは標高にして残り700m、距離もまだまだあります。ここまで山頂が遠くに感じたことはありません。ピークはおろか稜線まで到達できないというか、まさか西遠見までもいけないとは思いませんでしたが、さすがは後立山、さすがは五竜岳、己の力不足を感じた清々しい敗北でした。
中遠見からは上信越方面の展望が最高です。
まだ未踏の山域なのでイマイチ分からないのですが、右奥は妙高山かな?左奥が火打山?
左の山は雨飾山だろうと推測。
写真も程々に、とりあえずテントを作って落ち着こうと思います。
まずは雪をある程度掘って、そこを踏み慣らしていきます。まあこんなものかな?そしたらテントを設営してと・・・。
ギリギリ過ぎた\(^o^)/
もうちょい広くスペース取っておくべきでしたね。これでは出入りが不便。
掘り起こした雪を周囲に積んで雪の壁を作ります。この工程を怠ると夜に死ぬほど後悔することになるので、しっかりとした壁を作り、夜の強風に備えましょう。
中遠見から眺める後立山
白馬岳方面は雲がなかなか取れませんでした。
五竜岳(2,814m)は大遠見あたりに陽が射してきれい。
中遠見から大遠見まで、かなり登るっぽい。次は西遠見まで行くことが目標かな!?
特筆すべきは鹿島槍ヶ岳(2,889m)でしょうか!
山頂は雲に覆われていますが、この禍々しい雰囲気、鹿島槍ヶ岳はやっぱりかっこいい。後立山の盟主と言われるだけある山容ですよね。
惹き込まれますわー。
鹿島槍ヶ岳と五竜岳の稜線です。
ここは八峰キレットと呼ばれる厳しい道ですが、冬ともなれば本気で危ない道なんでしょうね。さすがに厳冬期の稜線縦走は無理だなぁ。特に五竜岳から鹿島槍までは長いですからね。
夕暮れ時には五竜岳の雲が取れ、きれいな青空が広がって最高の眺めでございました。
日が暮れたら、テント生活のスタート!
・・・ひとり黙々と雪を溶かしてお湯を作っていきます。水筒にお湯を入れてくるというのも良いんですが、少しでも荷を軽くしたかったので水筒は持ってきていません。
今週末は寒波が多少弱まったとはいえ、極寒に変わりはなく、今回から新たにいろいろな装備を追加しています。
象足を買いました。象足を使ってみると、これまで無くてよく寝れていたなと思う程に温かかったですね!
ダウンも温かいものに変更!サラリーマン復帰したので装備を増強というわけです。
しっかり暖を取れた結果・・・
11時間も大爆睡!
いやですよ、星が出てるか一回は起きたんですが、たぶん曇ってました。それくらい装備が万端だったということにしておきましょう笑
2日目(下山)
今日は徐々に天気が下り坂、夕方には吹雪となる予報。
朝来たら雲が厚いものの太陽が怪しく輝いて綺麗です。
雨飾山、火打山、妙高山はすべて日本百名山に選ばれていて、この狭い山域に密集しているんですよね。
本当は後立山に当たる朝焼けが見たかったんですが、また次の機会に期待したいと思います!
朝ご飯は温まるラーメン!
冬は米炊く気がしません。温かい汁ものが一番かなと!
こんな感じの幕営でした。
ワイルドでしょ?ザ、雪山テント泊っていう感じがして素敵でしょ?
「怖くないの?」と思われるかもしれませんね。でも、こういう経験なんですよね、私が欲してるのって。できれば人混みの中でテントなんてしたくないというか、大自然と向き合って、その中で写真撮って幕営するのが楽しいというか、最近はそんな感じです。
晴れてはいませんが、高曇りなので鹿島槍ヶ岳もはっきりとその姿を見せてくれました。小遠見~中遠見からは双耳峰は見えません。次は西遠見まで行って双耳峰の鹿島槍ヶ岳を必ずや…!!
奥に見えているのは爺ヶ岳です!
小遠見山
帰りに小遠見山へ寄りました。
五竜岳、本当に遠かったなぁ。
五竜岳に見られる雪形が武田菱(御陵)と似ているので、御陵が五竜に転訛したと言われています。ここまではっきしと見えるんですね!!
雪の遠見尾根は、このレベルの道がずーっと続くため、本当に体力と雪山での総合力が必要だなと感じました。稜線に出たら今度は岩と雪のミックスみたいだし、厳冬の五竜登頂は相当骨が折れそうですね。
途中で見つけたケルン。右奥に武田菱がはっきりと。
昨日はガスっていてこのケルンすら見えませんでした。
リフト最上部まで戻って来ましたー!!
スノボーやっている人を見ると「ホッ」として力抜ける瞬間ですね。
エスカルプラザにて晩餐会
帰りのバスまで時間があるので、エスカルプラザでカツカレーとビールというゴールデンコンビネーションを決めてやりましたよ!!
これで2000円とか、高いー!!!\(^o^)/
帰路:白馬五竜~新宿
エスカルプラザから無料のシャトルバスに乗り、行きと同じく、帰りも白馬五竜から新宿へ。5時間の長丁場でございます。
無事新宿まで戻って登山完了。お疲れ様でした!!
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コメント一覧 (2件)
清宮さん こんばんは。
お疲れ様でした。あと2時間ちょいで新年という時間帯に書いています。
私も最近少しだけ山に登るのでわかるんですが、トレースが何もない。踏み跡が何もない場所は本当に不安だと思うんですが、地図、GPS、コンパスを駆使して、これも経験なんでしょうね。
話は変わりますが、清宮さんに感化されて、モンベルでウェアーから一式揃えましたよ。
では、良いお年をお迎え下さい。
トレースが無いなどのアドバンスな経験を重ねる事で、少しずつ成長していきたいなと思いますが、
やはりリスクは大きいですし、そこは無理せず頑張っていきたいですね(๑´ڡ`๑)
モンベルで揃えるのがぶっちゃけ一番おすすめなんです。
だからこそ次何を買おうかという基準になりますしね!
ゴルゴさんも登山楽しんでくださいね(๑╹ڡ╹๑)p♪