一瞬の絶景を追い求める 山岳写真に魅せられて

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山岳写真における標準・広角・望遠レンズの使い方とそれぞれの特徴や注意点

登山をしながら写真を撮ったり、あるいは撮影のために山に登ったり、自然の中に身を委ねる山岳写真ってめちゃ楽しいですよね。どうせならカッコイイ写真が撮りたいと思うのですが、登山では持ち運べるレンズの数に限りがあります。全てを持っていく事はできない登山だからこそ、レンズを選ぶ際の基準がその他のフィールドとは異なるもの。

あるいは、山岳写真の中でも何を優先するかで選ぶべきレンズは異なります。

山で写真を撮るにあたり、標準・広角・望遠という主たるレンズでどのような写真が撮れるのか、各レンズの特徴や撮影の際の注意点はなんなのかまとめてみました。

標準

山での記録や山岳写真として作品を残そうとする際に最もよく使う焦点距離は標準(35mmフルサイズ換算:24mm-70mm)です。

標準レンズは最も出番の多いレンズだと思います。もちろん個人差はありますが。

私たちの肉眼は約50mmの単焦点レンズと同じ画角です。そのため、比較的目で見た景色に近い写真が撮れる標準域というのはとても重宝する。標準ズームレンズは24mmから70mmまで写せるので、やや広角な印象の写真からやや望遠の写真まで、多くの構図が撮影可能です。被写体と背景のバランスも最も肉眼のそれに近く、自然な写真が撮れます。

そのため、標準というのは山岳写真や山での記録写真では欠かすことができないレンズとなっています。

目の前にある景色を好みの画角で写せばいいので、難しいことを考えずにシャッターを切れるのが標準レンズのいいところです。だからこそ被写体の写し方、写真の切り取り方がとても重要になります。標準レンズを使う場合は、構図が何より大切となるため、たくさんの写真を撮り、振り返り、自分なりの写真の撮り方、切り取り方、構図の撮り方を研究することが大切。シンプルにして奥が深いのが標準レンズです。

広角

山で使う広角レンズ(35mm換算:14mm-24mm)というのはやや特殊な扱いになります。なぜかというと、広角レンズは手前にある被写体にフォーカスを当てると背景が小さく写ったり、遠くのものが非常に小さく写る性質があるためです。被写体が接写できる場合には、壮大な背景を従えたダイナミックで見栄えする写真となりますが、真に撮りたい対象が遠くに位置する場合、何を撮りたかったのか意図のわからない写真になってしまうことも。

かっこいいけど、これは何を撮った写真…?

この写真は遠景に南アルプスの連嶺がありますが、メインの被写体なのかと言われるとやや悩んでしまうところです。それは手前に大きく木を写しているからであり、背景である山だけでなく、手前の木にも十分フォーカスが当てられているためです。

このような構図は奥行きを生むため広角レンズでは多用されますが、何を撮った写真なのか不明瞭になりがちなのでそのことを十分理解する必要があります。手前に前景を置く写真では視線誘導という言葉が使われることがありますが、視線を誘導している導線とその先にある主題のバランスが成功しているのか、テーマ性があるのかしっかり判断する必要があります。

山で使う広角レンズは多くの場合、山そのものを主たる被写体にすることが難しいという側面を持ちます。広角レンズで遠くの山を撮ると小さく写ってしまうし、ダイナミックに写すことができる手前の被写体は大抵、登山道とか岩とか登山道に咲く花とか横たわる木だったりするからです。

その場の風景を大きく切り取っただけの例1

その場の風景を大きく切り取っただけの例2

山岳写真の写真集や作例などで広角レンズを使った写真をあまり見ない理由がここにあります。山岳写真を広角レンズで撮った場合、いわゆる「山岳写真」というカテゴリーよりは「山が写った風景写真」になりがちなことには注意が必要かもしれません。

とはいえ、必ずしもこういった写真が不作なのかといえばそうではありません。山で見られる要素を凝縮した、目で見て楽しい写真になるからです。登山道をドーンと大きく写し、背景にちょこんと山が写っている写真をSNSなどでよく見かけますが、山岳写真としてはやや疑問でも、風景写真としては成立しているからです。

広角レンズでは遠くの山がとても小さく写る

広角レンズを使うときは、何を撮っているのか、なぜ広角レンズを選んだのかしっかり意識することが大切です。裏返せば、標準レンズでは今一つ画にならないとき、広角レンズを使うことで、それっぽい写真を撮ることも可能です。

山での広角レンズは難しいと書きましたが、山で星を撮りたい、あるいは山を前景として別撮りし星と合成したいというような場合は広角レンズが役立ちます。天の川でも長時間露光する場合でも、山で星を撮る場合は広角レンズが強い味方になりますね。星を撮りたいという場合にはぜひ広角レンズを積極的に使いましょう。

望遠

山の存在感を際立たせる望遠レンズ(北穂高岳)

山岳写真では標準に次いでよく使われる望遠レンズ(35mm換算:70mm以上)。よく使われる理由は二つ。一つは、遠くのものを大きく写すという性能が遠くにある対象(山)を撮るのにマッチしていること。二つ目は圧縮効果と山岳写真の相性が良いこと。

山岳写真集などを見ると望遠レンズで撮られた写真が多いことに気づきます。上でも紹介したように、一見「映える」広角レンズは主題が曖昧になりがちなため山岳写真の作例ではあまり見られません。山そのものにフォーカスを当てるのが苦手だからですね。

望遠レンズならではの圧縮効果(伯耆大山)

一方で望遠レンズというのはフォーカスを当てるのが大の得意。やや遠景にある山をダイナミックに写したり、雪稜を歩く登山者を大きく切り取ったり、山嶺を圧縮効果を使って実際より迫力ある画にすることが可能です。

標準レンズを付けていて「あと少し遠くまで撮りたかった」というシチュエーションはよくあることだと思います。そんな時に望遠まで写せるレンズを持っているか否かで撮影の幅に差が出てきます。

山の一部を切り取り主題を明確に

山の一部を切り取り主題を明確に

一方で、望遠レンズで撮った写真というのは、一見すると地味なことも多く、SNSなどではあまり映えない気もしています。その点、撮った写真をSNSで披露することに主眼を当てるならば広角レンズの方がいいのかも。

いわゆる古典的な山岳写真では「山を撮ること」が主たるテーマだと思っているので、望遠という焦点距離は欠かすことができないレンズとなります。

大きく写せるが故に、切り取るセンスや被写体を見つける審美眼が重要。また、大きく切り取るが故に単調になりがちな望遠レンズでは、光のあたり具合や雲の動きなどがとても重要になります。条件がよければ日の丸構図でも成功するところが、ただ単にドアップで撮ったという写真になってしまう可能性があるからです。望遠レンズを使うときは、光などの条件か圧縮効果のどちらか一方が成功しているか意識するといいと思います。

とはいえ私も望遠域での撮影の経験がまだまだなので、これから伸ばしていきたいところです。

山岳写真で作品を撮りたいという場合、望遠では200mmあれば十分かと思います。300mmあるとより幅が広がりますが、300mmが活きる場面は山の上ではそう多くないためです。

まとめ

登山というのは制限がつきもの。それはカメラやレンズでも例外ではありません。

だからこそ持ち運ぶレンズの特性や撮影時での注意点を把握しつつ、満足のいく写真を目指したいですね。

標準・広角・望遠レンズの基本的性質がイマイチわからないという方ははニコンのレンズレッスンがとてもわかりやすかったのでおすすめですよ!

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