投稿日:2020年5月23日 更新日:

登山で遭難しないために知っておきたい「道迷いの基本ルール」

登山における遭難は、人の命を奪ってしまう恐ろしいものです。

皆そのリスクを知りながらも、残念なことに必ずどこかの山域で遭難者が出てしまうもの。

登山をする以上、遭難はどんな人にもでも、いつでも起こり得るリスクだからです。

私も何度か道迷いをして恐怖したことがありますが、その時の不安な気持ちは今でも鮮明に覚えています。

登山にいつも付きまとうリスクである『遭難』を防ぐため、『道迷い』しないために心がけておきたい3つのルールをまとめてみました。

【ルール1】トレース(踏み跡)とピンクテープを忠実に辿っていく

人があまり歩かない道ではピンクテープが草木で隠れていることも。

一般登山の対象となっている登山道にはおよそ間違いなく、登山者の踏み跡(トレース)があり、ピンクテープが設置されています。

この二つは、正しい登山ルートを歩くためには欠かすことができませんね。

トレースは他と比べて地面が露出していることがほとんど。

トレース(踏み跡)とは、登山者が道を歩いた痕跡のことです。

たくさんの登山者が歩いたことで「道のようなもの」が出来上がっている状態です。

登山道のほとんどはトレースの集合体です。稀に木道などにより整備されていることもありますけどね。

明瞭・不明瞭の差はどれくらい歩かれているかに依存しますが、一般的な登山ではこのトレースの上を歩きます。

そのため、道迷いしないためにもトレースに忠実に歩くことができる能力が登山では欠かせません。

トレースに忠実に歩くとは、トレースを見失いやすい場所で探し出し、正しい道を歩ける能力です。

厳冬期の樹林帯、特に下りは道迷いが命取りになる。

一方ピンクテープですが、これは山小屋の人などが道迷いを防ぐために設置した人工的な目印です。

設置されているテープの種類や間隔は山により異なります。ピンク以外にもオレンジも良く見ますね。

岩石地帯や森林限界より上では草木が無いので岩に直接マーキングされています。

ピンクテープも岩の目印も、時にごく小さく見つけにくい事もありますが、正しい登山道を歩いているという絶対的な安心感があり、正しいルートを歩く上で欠かせない存在です。

道迷いしないという事は、正しいルートを歩くことができるということ。

そのために、トレースとピンクテープは正しいルートを歩く上で欠かすことのできない存在です。この二つが存在している限りは、およそ正しいルート上にいると思っていいでしょう。

トレースやピンクテープを見失わない「冷静な観察力」が重要

荒廃しているが、上のピンクテープが正しい道であると示している。

トレースとピンクテープを総合的に判断して歩くのが登山の基本だと思っています。

読図能力を上げることも大切だと思いますが、ホワイトアウトや極度の悪天候などでは地図が役立たないこともあります。

厳しい環境にあっても、冷静にトレースやピンクテープを辿ることができれば、遭難に繋がるような致命的なミスは起こさないはずです。

間違ったトレースや非登山用のピンクテープにご用心

正しい登山道は中央の尾根道。左と右の整備された道は誤り。

「登山者の踏み跡とピンクテープを妄信」してはいけないとよく言われます。

トレースの中には間違った道へ通ずるものがあったり、ピンクテープは稀に林道や治水工事用の物があるためです。

特に標高が低い場所、林道の近くに稀にこのようなピンクテープが設置されています。

しかし、私の経験からすると、登山者を惑わすようなピンクテープはごく稀です。

工事用の林道が近くにある場合や、あまり人が歩かないマイナールートに留置されたような古いピンクテープを見た時は「これは本当に正しいピンクテープか?」と用心する姿勢が大切ですね。

【ルール2】道迷いする前にエスケープルートを確保する

エスケープルートとは、安全圏まで戻れる脱出路の事を指します。稜線上のA地点からB地点まで向かう際に、C経路から森林限界まで下る場合や、単純に元来たルートを戻る場合などです。

遭難とは既に歩くべき道がわからなくなってしまった状態のことですが、大前提として、登山では遭難してしまってから今後の対策を考えるのでは遅すぎます。

将棋に例えるならば、遭難とは既に王手の状態であり、そこからの挽回は極めて厳しい状況です。

遭難を防ぐために大切なのはその一歩手前で「状況を打破」することです。

そこで大切なのがエスケープルート。

「まだ道を見失っていない状況を死守」することが大切なんです。

‟あれ?この先の道ってこっちであっているかな?”と少しでも不安に思ったのであれば、むやみに進むのは止めましょう。今いる場所がまだ登山道なのであれば、とにかくいつでも退路に戻れる状態を維持してください。

どうしても先の状況を伺いたい場合は、とにかく少しずつ、前の場所に絶対に戻れる状態でいるべきです。

その一線を逸脱してまうと・・・。

遭難予備軍となります。

退路、つまりエスケープルートがどこにもなく、今いる場所が把握できていないのであれば、それはもう遭難だからです。

エスケープルートの目印にはトレースとピンクテープを使う

エスケープルートが確保できている状況とは何でしょうか?

それはつまり、「正しいと思われるトレースの上にいて、一個手前のピンクテープの場所まで戻れる」状態です。

もしトレースを見失い、一つ手前のピンクテープまで戻れないのであれば・・・それは本当に危ない状況です。

繰り返し言いますが、登山ではその状況になる前に、トレースとピンクテープの場所を把握しておく必要があります。

それこそがエスケープルートの確保であり、遭難を防ぐために一番重要な事だと言えるでしょう。

遭難してから「どうしたらいいですか?」は登山では通用しない

遭難してからトレースを探したりピンクテープを探す作業は、月明かりのない暗闇の中でもがくようなもの。

進路がわからない状態で進むのは、登山ではご法度です。

自ら遭難しに行くようなものなんです。

自分が登山道の上、つまりはトレースの上にいて、一個手前のピンクテープの場所がわかっている、いつでも来た道にエスケープできる状態を最初から最後まで確保しましょう。

そのために必要なのは、山の中において冷静に周囲の状況を分析できる観察力です。

こればかりは、いくら自宅で地図を眺めていても磨かれません。

色々な山に登り、自分の中の感覚を研ぎ澄ましていく必要があります。

【ルール3】ホワイトアウトでは目標物の確保とGPSの確認を

登山で道を見失ってしまうパターンは主に二つ。

一つは樹林帯の中で道を見失ってしまう場合。

もう一つは大雨や大雪、極度のガスによりホワイトアウトしてしまう場合です。

視界が全く効かないようなホワイトアウトに対してとれる対策は以下の二つです。

対策1. GPSを頼りにトレースを辿る

登山の遭難対策で一番大切なのはGPSを用意しておくこと。

これはホワイトアウトでは特に有効です。

視界が効かない時に地図とにらめっこをしても無意味ですよね。

しかし、GPSなら今どこに居るのか把握することが可能です。

ホワイトアウトで困窮した場合はGPSを指針にエスケープルートで戻るか、山小屋などの目標物まで歩くしかありません。

とは言え、ホワイトアウトでも足元くらいは大抵見えますので、トレースや周囲の景色も現在地を知る大きな情報となります。

GPSを頼りにトレースを辿り、安全圏まで進みましょう(戻りましょう)。

対策2. 視界が効くうちに目標物の方角を確認する

濃霧などにまかれるタイプのホワイトアウトでは、まれに視界が効くことがあります。

その場合には、進むべき方向の指針となる目標物の方角を確認しましょう。

それは例えば近隣のピークであったり、印象的な巨岩であったり、特徴的な地形かもしれません。

遠方でも山小屋などがあれば、歩くべき方角がしっかり決まります。

視野が開けなくとも、歩くべき方角さえしっかりと決まれば、トレースを頼りに歩いて行けるでしょう。

登山における道迷いのQ&A

最後に、登山における道迷いや遭難に関して、役立ちそうな知識をQ&Aでまとめてみました。

獣道や廃道はどのように判断する?

標高が低い場所や人があまり歩かないマイナールートで「登山道っぽい道」というのがよくあります。

これは例えば、誰かが間違って作ったトレースをその後も色々な人が歩き続けた誤った道、獣道、以前は歩かれていた廃道などです。

一般的なトレースと比べて、トレース上に草が生え始めていたり、蜘蛛の巣がかかっていたりすると怪しさMAX。

「偽トレースでは?」という警戒心を持って進むことが大切ですね。

エスケープルートは事前に用意しておくもの?

エスケープルートと言うと本来は進むべき道以外で特別なルートを用意しておくように思いますが、実際の山の中ではそんな都合のいい道は滅多にありません。

そのため、上でも紹介しているように来た道を戻ることがエスケープルートの大半だと思います。

私が登山の計画を立てる時に、来た道を戻る以外に「特別な逃げ道」を考えておくことはほとんどありません。

ルートファインディングの技術はどう身に着けるのか?

道なき道を歩くことが好きな方もいますが、一般的には登山道を歩く登山がほとんどでしょう。その場合、登山道と言うのは歩きやすい斜度にあり、尾根の中央に付いていることがほとんどです。

「どこに登山道が付いているだろうか?」ということを意識しながら歩く習慣をつけると、例えば雪で登山道が露出していない場合でも登山道の存在や、登山道に変わる歩きやすい道を見つけやすくなります。

そのようにして山に慣れること、山の中で冷静に分析できることが大切だと思います。私もまだまだ勉強中です。

道に迷ったら沢を下ってはいけないか?

道に迷ったら山頂を目指せとよく言われます。沢を下ってはいけないと。

それは概ね正しいのですが、山の中のどのあたりに居るのかということは大切です。

まだ登山口から登り始めたばかりで、もし道に自信が持てない場合でも山頂を目指すべきでしょうか?

一概には言えないものの、山頂を目指すかどうかはさて置き、不用意に沢を下ることだけは避けたいですね。大切なのは不用意に歩き回るべきではないということです。

自分がいる場所から、正規の登山道に復帰できるかが重要です。

もしも、辺りを見渡して全く進むべき道がわからず、辺り一面樹林に囲われ登山道に復帰できる可能性が全くのゼロであれば、その場にとどまり助けを待つ他ありません。

その場に留まり夜を明かし、救助を待つという事は想像しただけでも忍耐力が必要な事です。そうならないために、登山道やピンクテープの確認はこまめにしておきましょう。

万が一、登山遭難してしまったらどうするの?

その場に留まって助けを待つしかないでしょう。

想像しただけでも死ぬほど辛いはずです。

もし電波があるのであれば、救助要請を行います。電波がないのであれば大声を出したり笛を吹いたりして周囲の登山者に存在を知らせるほかありません。

少しでも助かる確率を高めるために、非常食を多めに携帯しているか。

体温を維持するためのレスキューシートを携帯しているか。

登山届を提出したか。

助けを呼ぶための笛を携帯しているか。

万が一に備えた装備が生死を分けるかもしれません。

山に畏敬の念を持ち、万が一の事態を想定して登山をしているかが生死を分けることもあるはずです。

楽しいはずの登山が生死を分ける場所にならないように、しっかりとした「準備と知識と経験」を持って山を楽しみたいですね(๑╹ڡ╹๑)p♪

                   
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