厳冬期の奥白根山登山二日目です!一日目は日光の湯本から上がり、道中出会ったAさんとラッセル地獄を耐えに耐え、やっとの思いで五色沼避難小屋まで到達したのでした。
新しい朝が来た、五色沼避難小屋から山頂へ
五色沼避難小屋にて起床。夜中に一度トイレで起きたものの、それ以外は熟睡することができました。6時頃にはAさんと二人でお話ししながら朝のブレークタイム。
今回の山行ではコーヒーに加えてスティック「ココア」を持って来たんだけど、こやつ最強だ。寒い冬は温かくて甘い飲み物が美味しすぎる。
朝ご飯もカップヌードルで簡単に済ませます。おにぎりが一つ余っていたんだけど、野球の硬球かと思う程硬くなり、凶器と化してました。
こちらは避難小屋内部の様子。二階建てになっていて、収容人数は多いです。ただ、雪が少し入っていて、2階には薄雪が積もってました。
出発のタイミングを計りつつ、避難小屋から外を覗くと少し雲が流れていたので、様子を見ながら準備を進めます。荷物の大部分は避難小屋の中にデポして軽荷で出陣!
7:30頃、避難小屋の外に出れば、雲一つない青い空にそびえる白い奥白根山。これから向かう先はあの白いドームの頂上。
朝早いこの時間、山に泊まった私とAさん以外誰もいません。
静かな山の中、絶好の天気と美しき奥白根、最高の舞台が整いました。
Aさん先行トレースを使わせていただきます。夏山だと決まった道を歩かないといけませんが(植生保護のためなど)、冬山では自由にルートを決められて面白い。
奥白根山の白いドームに取り付くとすごい傾斜です。
見てくださいこの美しき雪の斜面!ラッセルが大変という思いより、雪道を切り拓く楽しみの方が大きく勝ります。
直進すると傾斜がキツ過ぎるので、ジグザグに歩いたり、トラバース気味に歩いたり、何となく深くなさそうな所を意識しながら歩きます。
今日これから来るであろう他の登山者たちもトレースを使うと思うと、「この道でいいんだろうか」という気もしてきますが、それも込々で一番手の醍醐味ですね。
ラッセルを交代しながらグングン上を目指します。2人でラッセルするとき、後ろの人はすぐ前の人に追いつけるので、交代したら少し休んで再び出発の繰り返し。
昨日出会ったとは思えぬ程、息が合っていたと思います。
キテますねこの景色!これまでの雪山冬山登山で一番の天気!
焦る必要もないのに、山頂に引き寄せられるが如く、軽い足取りで山頂へ。
深い雪と急登ゾーンを歩き抜き、奥白根山の道標が現れました。
ここからは雪も少なく、いよいよ登山はクライマックス!
山頂のゴツゴツした黒い岩が見えてきました。奥白根山は火山で、17世紀から数回大きな噴火があったと言います。この荒々しい岩肌と白い雪のコントラストが美しいんですよね。
山頂の標識が見えました!
少し下って登り返せば、そこはついに・・・
奥白根山(日光白根山)登頂!
奥白根山(2578m)登頂です!
関東で一番高い山、山頂から広がる景色は、もちろん360度の大展望!
西側は上州武尊山、至仏山、燧ヶ岳がよく見えます。
至仏山(しぶつさん)や燧ヶ岳(ひうちがだけ)は尾瀬を代表する名山。尾瀬の山は今年必ず訪れたいと思ってます。日本海側に近いこれらの山は冬の間、雲/雪が多くて登るのは大変そうですね。
しかし、この快晴でも上越の方はまだ雲があるとは、本当に日本海側の雲はしつこい。雲がなければ八海山や魚沼駒ヶ岳なども見えるようですが今日は雲の中。平ヶ岳が見えているような、いないような?
上州武尊の西側に大きくて白い山があるんだけど、あれは何の山だろう?整った形で相当白い・・・方向的には浅間山?四阿山(あずまやさん)?草津白根山?もしかして八ヶ岳?
武尊の後ろにある山塊は谷川連峰や苗場山かな?
こちらは奥白根山の東側、高い山がなく雪が少ないですね。
表日光連山。右から男体山、大真名子山、女峰山、太郎山です。ここから見るとだいぶ雪が少なく感じます。女峰山などはラッセルが大変だと聞いていたんですが、実際どうなんでしょう?
冬の女峰山は来年の厳冬期に行きたいと思っています。
それにしても山座同定が難しい(白目)特徴のある高峰は登っていなくても分かりますが、それ以外は難しい。自分で登ったらまた見え方が変わってくるでしょうか。
いつまでも見ていたくなる景色ですが、山頂はすごい風。景色を目に焼き付け、下山開始です。
少し下ると南方向に皇海山(すかいさん)が大きく横たわっています。「牛の背」に例えられるどっしりとした山容を見据え記念撮影。皇海山も登ってみたい山の一つ。
本当に素晴らしい展望です。後ろ髪を引かれまくりですが、そろそろ下山しなければ。登りは辛かった傾斜も下りではいい感じの傾斜となり、「シリセード」を試す時が来たようです!
シリセードとはその名の通り、お尻で雪面を滑る技、要はヒップソリのことです。足やピッケルで速度調整しながら滑り台のごとし下ります。
シリセードしたり自分たちで作ったトレースを辿ったりして避難小屋まで無事戻ってきました。それにしても、本当これ以上ない登山日和です。
ああ、冬の日本に後少しだけでいいから高気圧が来てくれたらいいのになぁ。
そんなことを思いながら、避難小屋にデポしていた荷物を回収。少し休憩して本格的に下山します。
快晴の奥白根山は魂の震える絶景だった
相も変わらず風の強い稜線を歩き、奥白根から前白根へ向かいます。
昨日は雲があって奥白根山の姿をはっきり拝むことができませんでしたが、本日は雲一つない快晴。少し歩いて後ろを振り返れば・・・
青空の下、純白に染まる奥白根山と五色沼の美しすぎるコラボレーション。
こういう写真、こういう写真なんです、俺が撮りたいのは!出会いたいのは、撮りたいのはこういう景色なんです。最高だ、本当に最高な瞬間です。
「魂の震える絶景」に出会うことができました。
こんな景色に出会えるのであれば、どんな苦労も報われるし、どこにだって出かけてやろうと思えます。
今日は土曜日という事で、私たちが避難小屋に着く頃には早朝出発の日帰り組と会いました。
等倍で写真を見てみると、私とAさんが作ったトレースを使って後続の人たちが登っているのが分かります。山と比べると、人は本当に小さい。
自宅で改めて写真を見返すと、あの斜面をラッセルで進んだ感動がまた蘇ってきます。
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さあ!後は無事に下山するだけ。湯本に下りましょう。写真撮っている間はAさんに先に進んでいただきました。これから頑張って追いつきます。
冬山登山でラッセルの登りが死ぬほど大変なのに対して、下山は夏山より早い場合があります。普段なら段差がある道も、雪があれば高低差なくガシガシ進むことができるからです。
Aさんに追いつきました!初日に手こずった急登も下山では滑り台に。真っすぐな道ではシリセードを使って少しでも楽をしてしまおうという作戦です。
ズボンが破けないかという心配はありますが、シリセード、上手に使うと下山がだいぶ楽になります。一方、相当スピードが付くので、木に衝突したり、コースから外れて滑落しないよう注意が必要。
ゲレンデまで降りてきましたー!!!
やり切ったぞー!!!
達成感ハンパないですわ。
Aさんと登山談義をしながらレストハウスまで戻って登山完了!
バスの時間までお昼ご飯を食べつつ小休憩。
「湯本温泉」なので、帰る前に温泉に入るのもいいんですが、もう疲れてヘトヘト。服を脱いだり着たりするのが面倒なので、自宅でゆっくりお風呂に入ることにします。
バスの後は絶賛工事中のJR日光駅から電車を乗り継いで自宅へ。
厳冬期の奥白根山、一泊二日の山行はこれにて完結!
コースタイム
- 7:45 五色沼避難小屋
- 9:30 奥白根山 山頂
- 10:30 五色沼避難小屋
- 12:00 前白根山
- 12:30 外山鞍部
- 14:00 日光湯本スキー場
- 15:08 日光湯本スキー場(バス発)
- 16:30 日光駅
登山データ
- 日程:2017/2/3~2017/2/4
- 行程:2017/2/2 前泊移動(自宅→ 草加
新栃木)
2017/2/3 草加 → 日光→ 湯元温泉 → 五色沼避難小屋
2017/2/4 五色沼避難小屋 → 奥白根山 → 湯元 → 日光 → 自宅 - メンバー:登山口で出会ったAさん
- 天候:2/3 雪のち曇り、2/4 快晴
- 主なピーク:前白根山(2373m)、奥白根山(2578m)
厳冬期の奥白根山登山を振り返って
(Aさんから写真頂きました)
冬山登山5回目で厳冬期の奥白根山に来る奴もあまりいないとは思いますが、素敵な出会いと天候に恵まれ、無事登頂を果たすことができました。初めての冬山泊、避難小屋泊も乗り切ることができ、力強い経験となりました。奥白根山頂からの大展望、それに雲一つない青空と純白の奥白根山の景色にノックアウト。
一方、深雪ラッセルは一人だったらどうなっていたか分かりません。ラッセルを伴う場合、一人より二人の方が登頂成功率が高まると身を持って感じました。Aさんとここで出会ったのも何かのご縁、山の神様に感謝感謝です。湯本ルートはすごい急登なので、吹雪いた翌日などはラッセルと相まって非常にタフな山行となります。五色沼避難小屋までかなり距離があるので、この時期に来る場合は注意が必要です。
本当に、最高な山旅でした。
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コメント一覧 (2件)
ブログでは初めてコメントします。よろしくお願いします。
いつも思うのですが、清宮さんは持ってますね。今回もAさんと出会わなければ登頂は無理だったかも?しかも快晴で!
私も疑似登山させて頂きました。ありがとう。
こんにちは!コメントありがとうございます(๑´ڡ`๑)
そうですね、運にも恵まれた登山だったのは間違いありません。
山の神様に感謝しないとですね。
一方、あの日は他に登山者はいないだろうなあと思って登っていました。
日が多少くれてから避難小屋に着くか、途中でビバークとなるか、そこまで覚悟のうえで登ってました。
翌日が快晴なのは間違いなかったので、そんな行動に出たんですね。
サラリーマンとしてはなかなか難しいですが、今は好きなタイミングで行けるので可能だっただけですが(笑)
疑似登山していただければそれほど嬉しいことはありません。
今後ともよろしくお願いします(๑╹ڡ╹๑)p♪