自転車日本一周で一番怖い「自転車トラブル」~その対処法と、おすすめのサイクルショップをご紹介~

自転車日本一周という旅において、最も起きてほしくないイベント、それが「自転車トラブル」です。自転車に問題が起こると旅を継続できなくなるリスクが高まり、常に大きな不安を抱えながらの旅となってしまいます。今回はそんなマシントラブルとその対処法、お世話になったサイクルショップ(自転車屋)をご紹介していきます。

目次

日本一周中に経験した自転車トラブルとお世話になったサイクルショップ(自転車屋)

自転車日本一周で遭遇した事故・トラブル15選:防止策と対処法まとめ」の中でもマシントラブルは紹介しましたが、自転車トラブルは旅をする上で特に重要だと思いますので、実際にお世話になったサイクルショップと併せて、より詳細をご紹介していきます。

私が修理をお願いしたサイクルショップさんには、本当に恵まれました。日本全国には多くのサイクルショップがありますが、腕が確かなショップと巡り合えるかどうかはとても重要です。ぜひ自転車日本一周の参考にしていただければと思います。

【ケース1】タイヤ(前輪)の変形(タイヤが曲がって走行不可になった場合)

岩手県の山奥を走っていた時の事です。走っていて、あまりにイベントが無く、暇だったからなのか、車道から歩道に移動しようとしました(我ながら謎の行動です)。その際、スピードを出し過ぎていたこともあり、ガードレールと衝突。前輪が大きく曲がって走行不能に。アホな子です。こんな痛い子でも日本一周、なんとかやり遂げました。

事故原因と被ったマシントラブル

ボーっとしていたことが原因。通常のチャリダーならこんな事故は起きないと思いますが、自転車に乗っている時は集中しましょうね。事故の衝撃で私は自転車から数メートル吹っ飛び、悶絶。かすり傷と打撲。

自転車の前輪が大きく湾曲。タイヤが回らず、走行不可。リア(後)のパニアバッグのキャリアに引っ掛ける爪の部分が破損。パニアバッグを自転車に積載することが不可能な状態に。

その場での対処法、お世話になったサイクルショップ、その後の経過

「自分でどうこうなるレベル」でないことは明白でした。そこですぐに、グーグルマップで近隣のサイクルショップを検索、片っ端から電話をかけました。しかし、ほとんどは対応不可。「スポーツ車を扱っていない」ことが原因でした。

すがる思いで、最後に電話をかけた「すがのサイクル」は対応可能とのこと!しかも、軽トラで迎えに来てくださり、サイクルショップまで私と自転車を運んでくださいました。

私はパンクしないタイヤ「タンナス」を使って日本一周していたこともあり、簡単にはホイール交換とはいかない事情がありました。タンナスを使って日本一周をやり遂げる必要があり、また私自身そう意気込んでいましたから。奇跡中の奇跡が起きて、すがのサイクルは岩手県唯一のタンナス取扱店。しかし、ホイール及びタンナスの適当な在庫がなく、すぐの交換はできない

そこで、すがのサイクルのご主人が「手でホイールの歪みを矯正」してくれました。木の板にタイヤを乗せて、グイグイ体重をかけ、歪みを正しては振れの確認を繰り返しました。タイヤの振れもばっちり取れて、きちんと走れる状態に復帰。結果としては、このホイールでゴールまで走り切ることができました。

すがのサイクル(岩手県宮古市)

ホームページ:すがのサイクル

ある意味では、最もお世話になったサイクルショップと言って間違いないでしょう。すがのサイクルさんが無ければ、一体どうなっていたのか見当もつきません。「在庫がないし、手で無理やり直してみよう」と提案された時は驚きましたが、結果としてゴールまで走りぬき、今でも現役です。腕のあるプロショップに巡り合えたことに、これほど感謝した時はありませんでした。

岩手県でサイクルショップを探している方、間違いなくおすすめです。ご主人、ご家族のお人柄は温かく、腕は間違いないと思います。この辺りは自転車屋さんも少ないので、頼りになります。

【ケース2】パニアバッグの破損(パニアバッグをキャリアに引っ掛けられなくなった場合)

ケース1「ガードレールと衝突」でタイヤの変形と同じく被った事故です。パニアバッグの爪の部分が折れてしまい、リアキャリアに引っ掛けられなくなりました。パニアバッグの爪が折れただけなのに、これは地味にピンチです。割と起こり得る可能性があると思うので、ぜひご注意ください。

対応策としては、細いロープでパニアバッグとキャリアを固定しました。一見ツギハギの修理に見えますが、ロープの素材がしっかりしているので、安定性には問題なし。しかし、パニアバッグを簡単に取り外せなくなったことは、大いに不便でした。私はケチって新規購入はしませんでしたが、新しい物を購入するのがベストなのは、言うまでもありません。

一時的な修理に私はロープを使いましたが、タイラップ(結束バンド)でもいいと思います。

【ケース3】スポーク折れ(走っていたら異音がした場合)

スポークとは自転車のフレームとギアを連結している骨の部分の事。スポークが折れてしまうというのは、自転車旅では割とメジャーなマシントラブルで、経験しているチャリダーは少なくありません。私は旅の中で2回スポーク折れを経験しています。1本折れていても全然走れちゃうんですが、放っておくと時間経過と共に他のスポークに負荷がかかり、折れやすくなるので、修理が必要です

事故原因

はっきりとした原因はわかりません。推測の範囲ですが、荷物が重くてスポークへの負荷が大きかったこと、歩道~車道の段差移動でダメージが蓄積したこと、自転車を倒した際にダメージがかかったこと、などが考えられます。

その場での対処法、お世話になったサイクルショップ、その後の経過

残っているスポークが「カランコロン」うるさかったのでテープでとめました。通常の空気タイヤを使っている場合、自分でスポークを交換することが可能です。スポークの予備を購入して、自分で交換できるならそれがいいと思います。自信が無い場合はサイクルショップに依頼します。それほど高額ではないですよ。

パンクしないタイヤ「タンナス」のように、簡単にはタイヤを外せない場合は、タンナス取扱店あるいは腕のある専門店に依頼するしかありません。

一度目のスポーク折れは青森県の蔦沼(つたぬま)付近でした。山の中なので、青森市街まで折れた状態で走り、すぐに自転車屋さんへ駆け込みました。

サイクルショップ ピエタ(青森県青森市)

ホームページ:サイクルショップ ピエタ

青森県にはタンナスの取扱店がありません。そのため、ツイッターでおすすめの自転車屋さん情報を募った際に教えて頂いたお店に行きました。日本一周チャリダーがお世話になったお店と言うのは、基本的に信用できます。ほとんどがプロ中のプロショップなことが多い印象です。

ここ、ピエタもまさにそんな感じのお店。まず、ご主人が「バックトゥザフューチャー 」に出てくるドクに雰囲気が似ています。雰囲気からしてプロ中のプロ、百戦錬磨って感じです(いや本当に)。

タンナス取扱店ではありませんでしたが、サクッとスポークを交換してくださいました。話しかけると気さくにお話ししてくれるタイプなので、見た目に怖気ることなく、自転車の事を色々と聞いてみたらいいと思います。

青森県でサイクルショップを探している方におすすめ。北海道に入る前に青森でメンテナンスしておきたい人にはうってつけですね。

WHEEL ACTION(和歌山県新宮市)

フェイスブックページ:WHEEL ACTION

日本一周も佳境に入り、ゴールを意識し始めた時、悲劇はまた起きてしまいました。これと言って原因が思い浮かばない、普通に走っているときに「バキーッン」と派手にスポーク折れが発生。スポークが折れると、タイヤのバランスが崩れて大きく振ることがあります。この時はタイヤが振れてしまい、ゴールまで走り切れるか不安だったので、サイクルショップに修理を依頼。

その時、お世話になったのがWHEEL ACTIONでした。

お世話になったどのお店もプロ中のプロだと感じたんですが、WHEEL ACTIONさんはその豊富な知識と早すぎる修理から、どんなトラブルでも簡単に直してしまえる、そんな雰囲気を感じましたね。

皆さんご存知の通り、和歌山県と言うのは日本トップ5に入るような自然が多くて人が少ない、そんな場所です。特に南部でマシントラブルがあると本当に辛い。そんな時に頼りになるのがWHEEL ACTIONです。お兄さんが大の付く自転車好きなので、自転車の事を色々教えてもらえると思いますよ。

【ケース4】歯飛び(軽いギアが噛み合わなくなって登坂が大変になった場合)

自転車はチェーンとギアがかみ合うことで推進力を得ているわけですが、長距離走っていると、チェーンとギアが噛み合わなくなってきます。ギア(スプロケット)は乗れば乗る程すり減ってくる消耗品。自転車日本一周では重たい荷物を積載するため負荷が大きく、なおさらです。スプロケットがすり減り、チェーンと噛み合わなくなることを歯飛びと言います。

原因と被ったトラブル

スプロケットは消耗品なので、日本一周していると歯飛びはかなりの確率で生じます。これまでのチャリダー統計により、5000km程度走行すると発生頻度が格段に上がります。私も4000km~5000km走った時に起こりました。

具体的な症状としては、すり減ったギアに変更すると「ガシャンッ」とペダルを漕いでも「力が抜けたような感じ」になります。登坂するときに使う軽いギアがすり減りやすく、軽いギアが使えないことによって坂が苦しくなります。

その場での対処法、お世話になったサイクルショップ、その後の経過

他のギアを使う事で走行は可能ですが、歯飛びはスプロケットの寿命を告げるサインなので、可能な限り早めに交換しましょう。

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自転車のギア(スプロケット)は高いと思い込んでいましたが、めっちゃ安い。ARAYAディアゴナールは「シマノCS-HG31 8S 11-32T」がデフォルトで使われています。これは使っている自転車のカタログを見れば書いてあるので、同じものを自身で購入します

サイクルショップには在庫が無いことがほとんどなので、購入して持参し、交換を依頼するのがスムーズでおすすめ。スプロケットの交換は自分でもできますが、特殊な道具が必要なので、結果としては依頼しても自分でやっても値段的にはあまり変わりないと思います。

自分で交換したい場合は、こちらのブログ「再出発に向けて⑤スプロケット交換」が参考になります。2016年組”さたちゃん”のブログです。

注意点!歯飛びでスプロケットを交換する場合はチェーンも一緒に交換する

歯飛びでスプロケットを交換する場合は注意点があります。「スプロケットを交換する時は、チェーンも一緒に交換する必要がある」ということです。すり減ったスプロケットで走行したチェーンは伸びており、新品のスプロケットとは噛み合いません。その為、チェーンも新品に交換する必要があるんです。チェーンはサイクルショップに在庫があるでしょうから、スプロケットだけ持参して、サイクルショップに行けば、交換はすぐに終わりますよ。

私は、スプロケットだけ替えて古いチェーンでも走ってみましたが「スプロケット交換前より歯飛びが酷い(スプロケットとチェーンが噛み合わない)」状態になりましたので、参考にしてください。

スプロケットおよびチェーンの交換はサイクルショップならどこでも可能です。全国に展開しているサイクルベースあさひを活用すると便利ですね。私は大阪の北堀江DEPT.店にお願いしました。ここは繁華街で混んでいるため、多少待ち時間が長いかもしれません。でも腕のいいお兄さんがいたので安心してお任せすることができました。

【ケース5】ホイールにヒビ(ホイールにヒビが入ってタイヤが振れてどうしようもない場合)

鹿児島を走っているときに、突如「バキンッ」と大きな音がしたので急停車。自転車を見てみるも異変は特になく、はてなが浮かんでいる状態でした。それからタイヤが急に振れ出して、やはりおかしい。改めてよく見てみると、ホイールに複数のがヒビが入っていました。

事故原因と被ったマシントラブル

自転車日本一周で数千キロと走ったことで、ホイールにも疲労が蓄積していたんだと思います。また、空気タイヤではなくタンナスを使っていたことも、小さなダメージの蓄積に多少なりとも影響があったと思います。ホイールにヒビが入ったことでバランスがおかしくなり、後輪が異様なまでに振れました

その場での対処法、お世話になったサイクルショップ、その後の経過

しばらく様子を見て、このままゴールできるようなら放っておこうと思いましたが、万が一ホイールが分裂してしまったら大事故になります。そこで、サイクルショップに現状を伝えると「すぐにでも交換した方がいい」とのこと。私が思っていたよりも深刻な状態だと教えてもらいました。

ホイールの交換となるとタンナス取扱店でなければ難しいため、福岡の取扱店までホイールには頑張ってもらうことに。旅を中断しないよう、ご相談させていただいたサイクルショップ「sputnik」にホイールの発注を依頼。最速で手配してくださいました。(株)エバニューにもすぐに連絡してタンナスを郵送手配。タイムラグが生じることなく、ホイールを交換することに成功。

sputnik(スプートニク)(福岡県福岡市)

ホームページ:sputnik

福岡県の博多駅から徒歩15分程度の所にある自転車屋さんです。こじんまりとした店構えですが、隣に八百屋さんがあったりと、地元に根付いたショップにホッコリ。サイクルショップって、何となく店構えで「あ、すごいお店だ」って分かるものですが、sputnikもそんな雰囲気のお店。なにより、タンナス取扱店で理解があるのは心強い。店内に私の自転車「ディアゴナール」があったのにも感動しました。

後輪はタイヤとホイールを刷新して、日本一周終盤戦へと臨むことができました。この後は博多駅で写真の路上販売をしたりと、この日はとにかく人に恵まれた一日だったことをよく覚えています。博多は大都会だけあってサイクルショップが充実していますね。だからこそ、どこに修理を依頼しようか迷うことがあると思います。そんな時は、ぜひsptonikさんを訪れてください。

【ケース6】キャリアのネジ折れ、ダボ穴折れ(ネジが錆びてダボ穴に詰まってしまった場合)

長きにわたる自転車走行で、雨に打たれ、潮風に当てられ、自転車の部品は少しずつ劣化していきます。出発前は想定すらしていなかったのですが、旅終盤で「キャリアと自転車を繋いでいるネジ」に一気にガタがきました。上の写真はネジではなく、ダボ穴そのものが折れてますね。

事故原因と被ったマシントラブル

ネジが錆びるのは分かっていましたが、重い荷物を支え続け、最後にはポッキリ。原因は旅が長期化したことです。200日かからずにゴールするのが日本一周のトレンドのようなので、その場合は問題ないでしょう。一方、200日を超えてくるような長期旅では、ネジが錆びて折れる可能性があります。

あるいは、ダボ穴自体が折れてしまうこともあります。

その場での対処法、お世話になったサイクルショップ、その後の経過

ペンチを使って折れてしまったダボ穴と、ネジを取り除きました。

キャリアと自転車のシャフトをタイラップで固定。タイラップは100均で売っている物でも十分な強度を持っているため、これを何個か連結させることで、十分キャリアを固定させることができます。

また、ディアゴナールはダボ穴が2つあるので、もう一つを利用するのも手です。ネジが折れてダボ穴に詰まってしまうと簡単には取れないので、サイクルショップなどに相談するしかないかもしれません。私はゴールが近かったので、何とか乗り切ることができましたが、必要であれば早めにお店に相談するのがいいと思います。

ただ、ダボ穴が折れてしまうようなケースでは、タイラップを活用するなど、自作工作で何とかする必要があります。この辺は旅人力が試されるところですね!

【ケース7】(普通のタイヤなら)パンク(タイヤに釘が突き刺さっていた場合)

一般的に、タイヤに釘が突き刺さってしまうとパンクします(当たり前)。しかし、私はタンナスを使っていたのでパンクしませんでした。と、言うよりパンクと言う概念がありません。なにしろタンナスと言うタイヤには空気が入っていないからです。それ故に、私は空気入れを持たず日本一周していました。

一般的には、パンク無しで日本一周するのは困難です。「四十七歳の地図~50歳からのフリー生活を目指して~のketa-Gさんのように、空気タイヤでパンク知らずという強者もいますが、極稀で、一般的には日本一周したらパンクを経験すると思います。パンク修理キットや知識はあった方がいいですね。

その他の起こり得るトラブル

パッと思い浮かぶのは、自転車の盗難とBBの破損です。

2016年組にも自転車の盗難に遭ったチャリダーがいました。結果的には返って来ましたが、これ程ショックなことはないでしょう。

自転車盗難

自転車の盗難被害を防ぐのは、やはりこまめに鍵をすること。これしかありません。アースロック(フェンスや木など地球と繋がっている物と鍵を連結する事)が基本ですが、日本一周の自転車は大量の荷物を積んでいるので、ロックさえしておけばそうそう盗まれないはずです。

鍵の種類としては、チェーンロックが一つは欲しいですね。Doppelgangerのチェーンロックは私が日本一周で使ったロックですので、絶対的におすすめできます。鍵式は無くすと面倒なので、ダイヤル式がいいですよ。

BB破損

こちらもよく聞く自転車トラブルです。BBとはボトムブランケットの略で、これが壊れるとペダルを回せなくなるらしい。怖い。だいたい1万kmが交換の目安みたい。私は経験していませんが、1万km走って異音がしてきた場合、BB破損を疑ってみてください。これは自分で交換するのは難しいので、サイクルショップへ相談となります。

まとめ

自転車で日本一周する以上、自転車について詳しい方が良いのは確かです。とは言え、普段から自転車に乗っている人でなくとも、私のようにトラブルを少しずつ乗り越えて、日本一周することができるのもまた事実です。自転車旅をして、何のトラブルにも見舞われないという事は、まず不可能。そういったトラブルと向き合い、解決して、辛いことを乗り越えるからこそ、旅が充実するという側面があります。事前に起こり得るトラブルが分かれば安心感が大きいと思います。ぜひ先達の経験を活かしていただければ幸いです。

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