【北アルプス】ゴールデンウィーク 涸沢雪山テント泊(大量降雪のため奥穂高岳・涸沢岳 敗退)

ゴールデンウィークに北アルプスの涸沢へ雪山登山に行ってきました!

結果的に涸沢泊まりになってしまいましたが、本来の目的は涸沢岳と奥穂高岳へ登ること…だったのですが…前日までの大量降雪が予想以上。残念ながら前回に引き続き稜線へ上がることを断念し、2回連続の撤退となってしまいました。

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正直、厳しいかなー?でも行かないことには分からないしなー?

家でゴロゴロしてるよりは果敢に挑戦!というスタイルで臨んだ今回のゴールデンウィーク登山。

しっかりと積雪した涸沢へ入山すること自体はじめての経験でしたので、登頂こそできなかったものの学ぶことの多い登山となりました!

目次

コースタイム

1日目(5月3日)
上高地(5:40)→ 明神(6:30)
明神(6:30)→ 徳沢(7:10)
徳沢(7:10)→ 横尾(8:30)
横尾(8:30)→ 本谷橋(9:30)
本谷橋(9:30)→ 涸沢(11:00)
2日目(5月4日)
涸沢(6:20)→ 本谷橋(7:30)
本谷橋(7:40)→ 上高地(11:10)

さわやか信州号で上高地へ!

新宿から上高地をバス一本でつなぐ繋ぐさわやか信州号を利用しました。

3列シートのグリーン車を使ったので深夜バスの割には快適な移動。私は深夜バスであまり眠れないタイプなのですが、3列独立シートなら何とか大丈夫そう!深夜バスが苦手の方は3列独立シートがお勧めです。2000円くらい高いですがその価値があるかと!

公共交通機関派としては乗り換えなしで上高地に到着できる。

しかも朝の5:30に着くので行動の幅がグッと広がります。

ゴールデンウィークに降雪続きの北アルプス

2021年のゴールデンウィークは生憎の空模様が続き、下界では雨、稜線では雪が降り続く大荒れの天気。

それでも今日・明日は天気が良さそうなので、この二日間を見計って訪れている人が多そうです。

本日午後は「冬型」が強まる予報

明日は高気圧に覆われ晴天となりそうですが、今日はお昼頃から冬型が少し強まる予報。今の時期は冬型が強まると雪が降る可能性があります。上高地より上部はまだまだ冬。しっかりとした雪山・冬山装備が必須。

焼岳は現時点で晴れていますが、穂高には雪雲がかかっています。上高地は朝の柔らかい日差しを浴びていい天気ですが、上部ではどうなることやら…。

連日の雪で明神岳もしっかりと雪をかぶっています。とても5月の風景とは思えませんね。

明神〜徳沢〜横尾:夏道を水平移動

上高地からお馴染みの水平移動を開始して明神までやってきました。

今の時期(ゴールデンウィーク)の北アルプス登山では冬靴・ピッケル・アイゼンが必須で残雪を歩くためにストックも推奨。荷物量は厳冬期とほぼ変わらないため、重たい荷物や装備を運ぶ体力が必要です。

2020年冬〜2021年春は総じて雪が少ない冬でした。ドカッと目を見張るような大雪が降る日も多かったのですが、雪が降らず好天続きの日も多く、例年と比較して積雪量はかなり少ないようです。上高地から横尾までも残雪がかなり少ない印象でした。

横尾までの水平移動では雪の上を歩くことはほとんどなく、基本的には夏道と同じような感覚で歩いて行きます。

徳沢には多くの方がテントを張っていました。

春のキャンプを楽しんでいる方、徳沢を拠点に蝶ヶ岳を日帰りピストンしている方などが多いでしょうか。

徳沢までは夏用のトレッキングシューズで十分歩けます。道中の明神岳を眺めながら徳沢でゆるキャンも楽しそう。ソフトクリームやビールを楽しみながらゆっくりとした時間を過ごすスタイルにも憧れます。いつも忙しなく動いているので・・・。

徳沢を過ぎて横尾を目指します。

横尾への夏道は雪に埋まっており、途中から梓川沿いの荷物運搬路を歩きます。横尾山荘の方が指示板を立ててくれているので迷う心配はありません。

横尾までは気持ちの良い天気!上部はどうなっているでしょうか?

横尾に到着です!ゴールデンウィークの横尾には長野県警の方が常駐しており、行き先を聞かれます。

ここ数日の大量降雪で上部では雪崩のリスクが高まっており、できれば涸沢泊まりにしてほしい旨を聞きました。

さすがに横尾では判断できないので皆さん「雪を見て決めます」という感じで対応。私もそのつもりで進んでいきます。

横尾〜本谷橋:小雪混じりの樹林帯トレッキング

横尾を過ぎると雪道の樹林帯に入ります。不安な方は横尾を過ぎたらチェーンスパイクを付けると安心。道が細い箇所も多くなってくるので、スリップや転倒に要注意。

左手に沢が見える辺りから道が一気に細くなるので、すれ違い時は少し気を使うところです。アイゼン無しでも歩けますが、不安な人は早めにアイゼンを着けてしまっても良いと思います。

この辺りから小雪が舞うようになってきました。この様子では涸沢はしっかりと降雪してそうですね。

本谷橋〜涸沢:本格的なスノートレッキング

本谷橋へ到着しました!例年ですとこの辺りの沢は雪に埋もれていて本谷橋より上部は沢を登っていきます。

しかし、今年は数十年に一度の雪不足。すでに沢が露出しているため本谷橋が架けられ、ここを渡って沢左手の夏道を歩くよう指示がありました。

涸沢ヒュッテのホームページなどに指示が載っていますので、事前によくチェックした方が良さそうです。

本谷橋から上部の夏道は斜面をトラバースして歩く場面が多く非常に歩きにくい。

急斜面のトラバースが続き、ゴールデンウィークで人が多く、すれ違いで難儀するような場面も。今の時期はアイゼン歩行必須ですが、歩いている人の経験値にはかなりのバラツキがあり、やもすれば滑落しそうな危ない人も散見されました。

斜面のトラバース道を終え、残り1km地点から沢筋へ入ります。今年のゴールデンウィークは明日しか晴れ間がなく、大勢の人が涸沢を目指しています。

多くの人が歩いているのでトレースは踏み固められて歩きやすい。

良いペースで高度を上げて行きます。

沢筋に入ったら念のため雪崩に要注意。特に、屏風岩側から雪崩や落石が多いようなので注意して進みます。

標高が上がるにつれて風が強く、降雪量が多くなってきました。

吹雪くこともあり、今が本当に5月なのかと疑いたくなるような景色です。

ホワイトアウトしそうになりながらも涸沢ヒュッテが見えてきました!

ここまでくればあと一息。

この辺りは夏道ですと岩がゴロゴロしていて歩きにくいのですが、雪で埋まっていると歩きやすい。

涸沢:ゴールデンウィークなのに吹雪・・・

涸沢(2300m)に到着しましたー!!

これほど雪がある状態で来るのは初めてなのでテンション上がりますね!

ただ、ものすごく雪が降っていて、本当に予報通り夕方までに快方に向かうか怪しい雰囲気。ヤマテン予報によれば昼前後は冬型が強まるので吹雪くものの降雪量は少なく、夕方までには晴れるとのこと(マジ?)。

雪の涸沢でテント設営

さわやか信州号で朝一番に上高地を出発しているので早く到着することができました。

そのおかげで先住民の方が建ててくれた雪のブロックが遺産のように残されており、これを再開発してテントを設営します。

ゼロからこの深さまで掘るのは相当骨が折れますからね。

昨日幕営していた方に心から感謝しつつ、テント跡地を活用させてもらいます。

私はMSRのブリザードペグを使っていますが、こういった状況では袋状のアンカー(中に雪を詰めるタイプ)も便利。一番簡単なのはスノーシャベルとピッケルをアンカーにしてしまうことです。

雪山で売店が営業中という奇跡

上高地の開山から1週間後には涸沢ヒュッテが営業を開始してくれています。5月の穂高といえば冬の様相で、春を迎えた街並みとは完全に一線を画す雪の世界。そんな中!ゴールデンウィークに訪れる登山客を迎え入れるため、少し早くから営業を開始しています!!

ありがたい(涙)

自分でお湯を沸かすことなく、ラーメンを持ってくることなく、売店でラーメンやコーラやビールが注文可能です。

これは奇跡だ・・・!!

雪山登山の何が大変かって。水を作り、お湯を沸かし、食べる食材は全て自分で担がなければならないこと。だからこそ、雪山で山小屋が営業しているとに感謝しかありません。

吹雪く涸沢・・・

とても5月の景色とは思えない降雪量と吹雪。

雪がガンガン降っており、どんどん積もって行きます。

強風も相まって涸沢は吹雪の様相。4月や5月の北アルプスを「残雪」と表現するのは危険すぎると言われる所以ですね。

テント張ってラーメンを食べている間に20cmくらい雪が積もり、5月なのに雪かきをしなければならない事態に・・・!!

その後も1時間昼寝をしていただけでテントが圧迫されるほど雪が積もる程の大雪に。この後も天候は一向に回復することはなく、日の入りを迎えるまでに2〜3回雪かきをしました。19時ごろになってようやく雪が止むのでした。

大量降雪のため奥穂・涸沢岳登頂は断念

2日目の朝、4時ごろテントから顔を出すとザイテングラートと北穂沢、いずれにもヘッデンの灯りが!!

雪が少しでもしまっている夜の間にナイトハイクで登ろうと挑戦した登山者がいたようです。

大量降雪の後に沢筋を歩こうとする人がいようとは、ちょっと驚き。長野県警の人が必死で止めていましたからね。

挑戦するのは個人の自由ですがリスクは極めて大きいコンディションだったと思います。結果として雪崩は起きませんでしたが、慎重な判断が求められる場面です。

今日の午前中は強風予報となっており、涸沢でもすごい風が吹き荒れていました。

5月なのに地吹雪みたいになってましたからね(汗)

ちなみにテントを飛ばしてしまったパーティーが何組かあり、涸沢ヒュッテに駆け込んだそうです。テントを飛ばされないように細心の注意が必要ですね。

モルゲンロートはお預け…

雲ひとつない快晴。涸沢にいた誰もがモルゲンロートを期待しましたが、この日は全く焼けませんでした。

私としては、稜線からモルゲンロートの山の写真を狙っていただけに「無理して山頂まで行かなくてよかった」と心のどこかで安心しておりました(笑)

稜線まで登っていたらもっと悔しかったでしょうから。

今回は涸沢に留まったことが結果オーライだったということで!

昨日の新雪で面ツルになった涸沢岳ザイテングラート

雪崩のリスクもさることながら、ラッセルが深すぎて登ることは難しそうです。今回は「タイミング」ではなかったということですね。

奥穂高岳で先日起きた大規模雪崩の残骸。テント場に肉迫するほどの大規模な雪崩だったようで、その場に居合わせたら本当に怖かっただろうなと思います。しかも夜の間に起きたと言いますから、ナイトハイクなら確実に安心ではないということです。

自然の脅威に立ち向かおうとせず、特にこの季節は山の機嫌を慎重に伺いながら行動する必要があります。

命を賭けて挑戦する趣味だったとしても、命を落としてしまってはそれまで。山が好きだからこそ山では絶対に死にたくないと思います。

涸沢から下山

前回の槍ヶ岳で撤退しているからこそ、今回は稜線に上がるという強い気持ちを持っていました。

しかし、今回も残念ながら撤退です。

厳冬や残雪の穂高岳は今登らなくてもまた挑戦できます。名残惜しいですが下山してまた仕切り直します!

今回も登れなかったからこそ、3,000mの稜線が普段より高く感じるのでした。

今回は真っ白に雪化粧をした穂高岳を間近で眺められただけで良しとしようじゃありませんか。

夏道をトラバースしていると、沢筋を登ってくる登山者が見えました。どちらを歩くかは自己責任・自己判断ということで。ただ、沢筋は雪崩リスクがありますので基本は涸沢ヒュッテの指示に従ったほうが良いと思います。

雪面から20cmくらいはサラサラの新雪ですが、その下には氷の層があります。

氷の層の上に結合力が弱い弱層があるのが分かりますね。これが登山者の刺激や日中の昇温により崩れると雪崩に繋がります。

上高地へ下山完了

上高地まで無事に戻ってきました!

新雪たっぷりで真っ白な穂高を稜線から撮りたかったのですが、その楽しみはまた別の機会に撮っておくことにしましょう。これにてGW涸沢テント泊登山は無事に完了。お疲れ様でした!!

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