私は山で写真を撮るのが好きで、三脚を使っての撮影が基本です。
山岳写真ならではの問題として、山の上は風がとても強く写真がブレる原因になりがち。
「剛性が高く、軽い(高価な)三脚を買えばいいじゃない?」と言えばそれまでなのですが、この前カメラとレンズを新調したばかりなので、10万円する三脚を買うのは気が引けます。
私のように三脚を買う予定はないけれど三脚を安定させるための方法が知りたい!というニーズがあるかと思い、この前導入したストーンバッグという装備をご紹介していきます。
ストーンバッグってどんな装備?
ストーンバッグとはその名の通り、ストーン(石)を入れるためのバッグ(カバン)の様なもの。
用途はシンプルで三脚に重量を足すための装備です。
上の写真のようにストーンバッグを三脚に取り付け、その中に石などの重しを載せるシンプルな構造。
なぜ重量をプラスするのかと言いますと、三脚の安定性は三脚の重さに比例するからです。極論を言ってしまえば重たければ重たい程、三脚は安定します。それだけ地面にかかる重力が増し、カメラを支える土台として安定するからですね。
しかし、重たい三脚は登山に向いていないので、携帯性と安定性を天秤にかける必要が出てきます。
登山の様に重たい三脚を運びたくない場面で活躍
登山では、可能な限り荷物を軽くして歩く負荷を小さくしたい。
これは全登山者の願いです。
一方で、三脚は重い方が安定性が増し、ブレのないシャープな写真に繋がる。登山で求められる軽量化と写真で求められる安定性は真逆の性質をもっているため、登山での三脚選びを難しくしています。
と、そこで活躍するのがストーンバッグなわけです!
ストーンバッグは「三脚を安定化させるための“重量”は撮影場所で現地調達する」という考え方。
山では大体どこでも重りとなる石が転がっているので、これをストーンバッグに入れるだけで三脚を下に引っ張る力が増加。
軽い荷物(ストーンバッグ)で大きな安定性を手に入れられるという訳です。
実際に使ってみた感想として、撮影の安定感が大きく向上しました。
星の写真を撮る場合
山で星を撮りたいという人は多いと思います。
比較明合成で細かく撮って合成する場合でも、1発撮りで数時間露光する場合でも、やはりブレないということが絶対条件。
夜間は山谷風によって空気が大きく動く場合があり、昼間は無風だったのに撮影地では風があるということもしばしば。
上の記事では、焼岳にて星の写真を撮っていますが、こういう時にストーンバッグがあればなお良かったなと感じます。
ご来光や日の入りの時間
ご来光、日の入りではシャッタースピードが長くなるため三脚が必須となります。
ブラケット撮影(異なる明るさで何枚か写真を撮っておくこと)することも多いため、重ねる写真同士がブレないことが重要です。
NDフィルターを使う場合
NDフィルターを使う場合も三脚の安定性がものをいいます。
山でのNDフィルターは表現が難しいんですが、雲海や滝雲をはじめ、動きのある雲を入れると躍動感が出るため写真の幅が広がります。非現実的な描写になるため、乱用すると飽きっぽい表現になってしまいますが…。
長時間露光ではブレが何よりの敵ですので、ストーンバッグが活きるシーンだと思います。
三脚への固定方法は?重量や使い心地について
ストーンバッグを三脚へ固定する方法は調べた限り二通りあって、一つが私が買ったようなマジックテープで留めるタイプ。
もう一つはベルトで留めるタイプ。
私がマジックテープを選んだ理由は着け外しが簡単そうだったから。マジックテープの方が三脚の脚の太さを選ばず付けられるだろうと思ったのも理由です。
固定はレバーロックの上部にマジックテープで留めるだけ。とても簡単です。ナットロックでも基本は同じ場所かなと思います。
[st-cmemo fontawesome=”fa-file-text-o” iconcolor=”#919191″ bgcolor=”#fafafa” color=”#000000″ iconsize=”100″]レバーロックとはパチッとロックするタイプの三脚。ナットロックはジッツォのように回して固定するタイプの三脚[/st-cmemo]
私は横着者なので自宅からストーンバッグを三脚に付けた状態で登山しました。
山岳写真において急きょ三脚が必要になるとうシチュエーションは多くないのですが、ご来光前や日の入り前にワチャクチャ焦りたくないものです。という訳で、初めから付けるのが一番いいかなという結論へ。
ストーンバッグ自体は110g程度なので運んでも気にならない重さ。
使い心地も携帯性も気に入りました。
載せる石の重さはどれくらい?
載せる石の重さはどれくらいが最適でしょうか?
私が使っている三脚は最大耐荷重がメーカー公式で4kgですので、少し下を見て3kgくらいに抑えたいところ。
カメラ(ニコンZ6 約700g)+ レンズ(NIKKOR Z24-70mm F4 約500g)=1.2kg
これを考えれば1kgから1.5kgくらいは石を載せても大丈夫そう。
エントリーモデルとされる三脚でも、最新モデルは最大耐荷重8kgもあるので、もう少し重たい石を載せても大丈夫でしょう。
カメラが一眼レフで、望遠レンズなどを装着している場合は石のウェイトを増やして安定感を増やしてあげたらいいと思います。
まとめ:重量はその場で調達するという選択肢
登山道に石が全くないという状況は基本的には無いかと思いますが、撮影地にピンポイントで石が無い場合でも心配はいりません。
ストーンバッグを検討しているような人は、撮影の際に交換レンズを他にも持っているでしょうから、使っていないレンズを入れたり、飲み水を入れるだけでも十分重さを加算できます。私は交換レンズが撮影の時にどっかに行きがちなので、レンズやレリーズの置き場としても良いですよね!
軽量な三脚を使っていて心もとない場合、あるいはジッツォなどの剛性の高い三脚を使っていても超強風の場合に役立つと思います。
山岳写真における風は厄介ですがどうしようもありません。シャープな写真を撮るための一つの手段としてストーンバッグはとてもおすすめできると感じています。
私が使っているのはこちらのヴァンガードのもの。カメラバッグなどで有名ですね。
前身のモデルがあるようで、こちらはマジックテープの強度に不安があるとレビューがあったのですが、本製品では改良されているようです。使ってみて強度に不安は全くありませんでした。石を入れる場所もしっかりした生地で、石を何キロ入れても破れる感じはしません。
三脚単体と比べて剛性を高めることができるストーンバッグ。これまで様々な条件で使ってきましたが、山に限らず三脚の安定性を増したい場合にはとてもおすすめです!
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