登山や山岳写真で使う三脚を買い替えたい!写真を撮りに入山しているので三脚はマストハブな装備の一つ。それにも関わらず5年前に買ったエントリーモデルのアルミニウム素材の三脚を使っていて重たいし耐荷重が心許ない。
「軽いは正義」の登山においてアルミの三脚を持ち運ぶなど言語道断(意外といけちゃうものですが…)。5年間使ったマンフロットの三脚には愛着があるものの、ガタがきているということで、山岳写真に最適な三脚を実用面とコスパ重視の観点で検討してみました。
比較検討中の三脚一覧
製品 | Leofoto LX-254CT + XB32 | Leofoto LX-224CT + XB32Q | Leofoto LS-224C + LH25 |
段数 | 4段 | 4段 | 4段 |
全伸長 | 163cm | 130cm | 155cm |
重量 | 1.4kg | 1.1kg | 0.9kg |
最大耐荷重 | 8kg | 12kg | 6kg |
特徴 | トラベラー三脚 | トラベラー三脚 | センターポール脱着式 |
価格 | 50,600円 | 38,500円 | 35,138円 |
製品 | Manfrotto Befree MKBFRTC4-BH | PeakDesign トラベルトライポッド | Velbon UTC-53II AS |
段数 | 4段 | 4段 | 5段 |
全伸長 | 150cm | 152cm | 150cm |
重量 | 1.25kg | 1.27kg | 1.33kg |
最大耐荷重 | 8kg | 9.1kg | 3.5kg (12kg) |
特徴 | トラベラー三脚 | トラベラー三脚 | トラベラー三脚 |
価格 | 35,273円 | 86,922円 | 31,032円 |
三脚候補にGITZOが入っていない理由
候補に挙げた以外にも、もっとたくさんの三脚ブランド・メーカーがあります。例えば三脚といえばの代名詞 GITZO(ジッツオ)も候補に入れていません。日本のブランドだとSLIK(スリック)も有名です。ではなぜGITZOやSLIKは候補に入らなかったのか・・・値段が高すぎるからです。私個人としては「三脚の脚だけに10万円も出すなんてクレイジー過ぎない?(褒め言葉)」と思っています。
GITZOのような老舗有名ブランドの製品は品質が高いのは事実です。手にとれば分かる違いがありますよね。とは言え、山岳写真に限って言えば必ずしもGITZOが必要なわけではありません。14mm~200mくらいのレンズを主たるレンズとして使う限りは、ある程度のスペックがある三脚であれば、GITZOを使ってもエントリーモデルの三脚を使っても得られる画は(基本的に)変わらないと思っています。
少なくとも私の経験からは「ここでGITZOさえあれば…!!」なんて言うシチュエーションはありませんでした。
レンズも三脚も適材適所。例えば“超望遠レンズで野鳥を撮り対”、”望遠レンズにNDフィルターをつけて長時間露光したい”などの用途があればその限りではありませんが「山岳写真」のために必要な三脚に求められるスペックは必ずしも高くないというのが持論です。三脚の脚も雲台も金銭的に買えちゃう人は買ってしまうのも、もちろんアリな選択であることは言わずもがなですが。
山岳写真に必要な三脚像とは?
三脚というのは登山道具の中でもっとも重たい機材の一つであり、もっとも嵩張るものの一つです。やはり可能な限り小さく収納できて、可能な限り軽くて、かつフルサイズミラーレスや一眼レフをしっかり支えることができる物ですよね。
本体重量や安定性、全伸長や収納サイズはトレードオフの関係にありますが、山岳写真に限って言えば「収納時のサイズ」はそれほど重要ではありません。ザックに外付けしても中に入れたとしても、収納サイズが小さくなって得られるメリットは限定的。一方、構図を決める関係から全伸長や最低高は大切です。
稜線の風雪に耐えながらもしっかりフルサイズのカメラを支えることができ、全伸長は150cmくらいは欲しい(身長165cmの私的に)。さらに言えば値段が安いことに越したことはありませんね。
いや、実はかなり大事だったりします。三脚新調に関して言えばコスパはとても大事。カメラ関係は総じてお金がかかりますから(汗)そんなこともあり、私は基本的に三脚+雲台がセットになっている製品を探しています。
【Leofoto】LX-254CT+XB32(アーバン)
本命の一つがLeofotoのアーバンシリーズ。三脚の足を180度反対側に折りたたむことができるトラベラー三脚というジャンルですね。トラベラー三脚こそGITZOが本家本元だったりするんですが・・・まじで高すぎる。Leofotoは中国メーカーならではの「価格破壊」を三脚市場に仕掛けて成功しています。
トラベラー三脚が登山に向いているのは、センターポールを採用しながらも収納サイズが小さくなることです。センターポールは安定性が低下するので使用することは少ないという記述をたまに見ますが、私はめっちゃ使います。構図が命の山岳写真ではセンターポールは必須ですよね?使わないということ自体がちょっと信じられません。手前に草木があって高さが必要なシチュエーションとかめっちゃありますから。
アーバンシリーズにはグリップが付いているのも高評価ポイント。雪山では三脚が恐ろしく冷たくなるので持つとき辛かったり、グローブをしながら持つことがほとんどなので滑り防止の観点からグリップが山岳写真、特に冬の撮影では役立ちます。
LX-254CT と LX-224CT について
全伸長をどれくらい確保したいかで考え方が変わってきますが、LX-224CTだと全伸長130cmなのでちょっと物足りないかな。130cmだとセンターポールを目一杯伸ばしても屈んで使う感じになるので、高さが足りないという状況は絶対生まれる。山岳写真では三脚を置けるスペースが限定されることも多く、背が足りないと撮りたくても撮れない構図も出てきます。手前に植物があって130cmだと写真に写ってしまうとかね。
LX-254CTはかなり完璧に思えるんですが、重量が1.4kgあるのでカーボン三脚としては決して最軽量とはいえません。耐荷重や全伸長を考えるとやむを得ませんが、今私が使っているエントリーモデルのアルミ三脚が1.4kgなので、実質重量が変わらないのがちょっと悲しい。
【Leofoto】LS-224C+LH25(レンジャー)
こちらはLeofotoのレンジャーシリーズから一本。SNSで話題になっているのを見て興味を持ちました。とにかく軽く持ち運びに良さそうですが、実は落とし穴があって、この三脚はセンターポールを使用する度に取り付ける必要があります。もし山に持っていく場合はセンターポールと三脚本体のどちらも持っていき、現地で必要に応じて組み立てる必要があるようです。
現実問題、その運用は雪山ではあまりにリスキーですし、山の中で雲台を付けたり外したりするのは面倒です。全伸長155cmは魅力的ですし、センターポール合わせて1kg切っているのでめっちゃ魅力的なんですけどね。山岳写真での運用はちょっと難しそうだなと感じます。センターポール無くしそうで怖いし。
普段三脚は持ち運ばないけれど、星も撮ってみたい、こだわりはないからとにかく軽い三脚がいいという人にはかなりお勧めできそうですね。その場合はセンターポールなしの運用が前提ですが。
【Manfrotto】Befree MKBFRTC4-BH
ManfrottoのBefreeはエントリー三脚として扱いやすい上に性能もそれなりです。私なんて5年前に買ったアルミのエントリーモデルを今日まで使ってきましたが、結構どうにかなるものです。そもそも山では「三脚の有無」が「三脚の品質」より遥かに重要みたいなところがありますしね。
全伸長や重量(1.25kg)を見る限りバランスが取れていて魅力的なんですが、Befreeは付属の雲台が結構ガバガバなんです。アルカスイス互換はいいんですけど、クランプ(雲台とカメラを固定する部分)がクランプ(万力のようにギュッと押し付ける)ではなく、ただ単にてこの原理で押さえるだけなので、ここが弱点。三脚がしっかりしていても、雲台とカメラがグラついては元も子もありませんから。
価格含めて魅力的ではありますが、その独特のデザインもあって2代目の三脚に選ぶべきか悩みどころ。
ヨドバシで実物も見てきました。やっぱし軽いなというのが第一印象。ただ、GITZOやLeofoto見た後だと若干チープな印象が否めない。何より雲台がやっぱりショボついているので、今回は見送る可能性大。
【PeakDesign】トラベルトライポッド
商品ラインナップを三脚やバックパックにまで広げてきた、勢いのあるピークデザイン。まだカメラクリップがそれほど知られていなかったクラファン時代が懐かしくもあります。
特徴は脚がナット式ではなく、独自のクリップを採用しているところ。一気に開け閉めしやすいらしい。また、ピークデザインのカメラクリップを使っている人はクランプが同じメーカーなので相性抜群だと思われるところです。使っている人が圧倒的に少ないので評価がわかりにくい上に、何よりPeakDesignは三脚メーカーではないので、イマイチ信頼性に欠ける印象も。
かなりの値段するので、あえてPeakDesignを選ばなければいけない決定打に欠ける感じがします。
Velbon UTC-53II AS
日本メーカーを応援したい。そんな気持ちが最近強くなっている。良い製品を使いたいというのはもちろんだけれど、30歳を過ぎてそんな老婆心が芽生えてきた気がする。オリンパスがカメラ事業から撤退するなんていうニュースもありましたが、やはり日本人として日本メーカーを応援したい。結局Leofoto推す記事を書いておいてなんですが・・・。
しかし、なぜ5段にしてしまったんだベルボンさん。5段になると足を伸ばすのも面倒だし、何より安定性に不安が残ります。収納時のコンパクトさに重きを置いたものと思いますが、山岳写真の用途では3.5kgの耐荷重では心許ない。
ジオ・カルマーニュE443Mの方が山岳写真には合っているのかもしれない。「長時間・長距離を歩く登山やハイキングに」と公式ページにも書いてあるし。価格を考えればそれなりの満足感はあるものの、実物をヨドバシで見た感じではチープさが否めなかった。耐荷重も2.5kgってどういうこっちゃ。各社トラベル三脚でも6kgとか8kgを謳っているのに2.5kgでは物足りない。
日本メーカーで他に「コレ」というラインナップを見つけられなかったのは残念です。日本メーカーのSLIKさんも同様で、バランスの良い三脚を見つけることができませんでした。SLIKは雲台一体型は力を入れていないのか、そもそもニーズに合う三脚を見つけられなかった。ヨドバシに結構な数が陳列されていたんだけれどな。調査が足りないだけかもしれないけれど残念です。
さあ、どの三脚を選ぼうか
使ってみたいメーカーという意味でLeofotoはかなり気になってます。市場破壊的な価格戦略が功を奏したか、使っている人がSNS周りにかなりいらっしゃいます。高評価の声をよく聞きますし、中国ブランドという若干の偏見を差し置いてもコスパはかなり良さそう。
カーボンで1.4kgなので現在使っているアルミ三脚と重さが同じことだけが気がかりですが。それでも耐荷重が大きく改善することと、クランプもしっかりしてそうなので、三脚としての機能向上はかなり期待できそうです。
ManfrottoのBefreeカーボン3万5千円というのはかなり魅力的なお値段ですよね。
カメラというのはボディやらレンズやらでとにかくお金がかかるので、安くてしっかりしているに越したことはありません。1.25kgというのも魅力的な重量。雲台がショボいのでその分軽いだけな気もするけど(汗)
ただ、Manfrottoエントリーモデル続くと素材が変わったとしても気持ち的にちょっと面白味がないかな。
【Leofoto】 LX-254CT + XB32の実物を見てきた!
みんなLeofotoがいいと口を揃えているものの実物は見ておきたい。ということで三脚がずらりと並ぶヨドバシカメラに行ってまいりました。
脚ロックの雰囲気、カーボンの雰囲気、全体の雰囲気など、実際に手で触ってみないと分からないことも多々あります。
特にネットで見ていたより高級感があるのか安っぽいのかという雰囲気は大切。三脚なんて最低数年は買い替えない買い物ですし、私の場合は自転車日本一周を入れて5年なので買い替えを検討していますが、通常使用であれば下手すれば10年、あるいは一生使えてしまうのが三脚です。
Leofoto LX-254CTが陳列されていたのは幸いでした。
センターポールを伸ばしたときの高さは数字ではわかりにくいこともあり、自分自身のアイレベル(目線)に対してどの程度の大きさなのかは重要な情報です。
全伸長163cmということでセンターポールを全て伸ばすと私のアイレベルより上、半分くらいでアイレベルでした。
センターポールを上げなくてもストレスなく使えることを鑑みるに、やはりコレくらいの全伸長が私の身長にはちょうど良さそう。全伸長≒身長くらいで考えるとセンターポールを使う人には一つの目安になりそう。
雲台やクランプもしっかりした作りで申し分なし。カーボンも10層構造で価格の割にすごくしっかりしていて、素材も東レのものを使っているあたり、日本人の心情をよく理解していると思いました(偉そう)。
雲台から石突きまでトータルバランスは申し分なし。高評価なのも肯けます。
価格相当・・・いや、価格以上の製品が求められる世の中だと思いますが、この価格にてして本当にいいものを作ってくれているなと思います。
まだカメラをつけて使ったわけではないので評価はできませんが、実用性・コスパ・話題性・実物の雰囲気を鑑みて、山岳写真に使う三脚としてLeofoto XL254-CT+XB32は大いに期待のできる選択だと思いました。さあ、後はポチるだけですね!
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