2018年度最後の厳冬期、どこに行こうか・・・そんな思いを馳せ選んだのは、八ヶ岳の南に位置する編笠山(あみかさやま)でした。
山には二つの名峰があり、一つはその山自体がかっこいいこと、もう一つは名峰を眺める絶好の展望地である山。編笠山は後者のタイプです。中部山岳を全て望めるとも言われる八ヶ岳ですが、編笠山も例に漏れず素晴らしい展望。北アルプスの巨大な屏風、中央アルプスと南アルプスの展望、そして八ヶ岳の迫力ある姿、最高でしたね。
【平日有給登山】八ヶ岳は網笠山へ。
平日に休みを取り、金曜~土曜で編笠山へ!
八ヶ岳は当日の朝移動して登れるのが素晴らしいですよね。アクセスがいいと言うのは登山においてめちゃくちゃ重要なファクターです。ありがたや。
新宿駅から特急あずさに乗り込み、山梨県は小渕駅(こぶちざわ)を目指します。
駅から絶景!?小淵沢駅のポテンシャルがすごい件
小淵沢駅に着いて驚きました。
駅構内から八ヶ岳の姿がこんなにはっきり、それもかなり近くに眺められます。この駅のポテンシャルはすばらしい。西岳、編笠山、権現岳、三つ頭・・・かな??
小淵沢駅からタクシーで富士見高原スキー場へ
小淵沢駅から編笠山の登山口である富士見高原スキー場へはタクシーで移動します。バスは出ていなかったかと思います。マイカーかタクシー移動ですが、距離は15分かからない程なので、一人だとしてもお金はそれ程気にならない額だったかと(2000円くらい?)。
富士見高原スキー場(ゴルフ場)駐車場(9:30)
スキー場の駐車場に到着!・・・改めて地図を見てみると、ここは富士見高原ゴルフ場の駐車場なのかもしれません。何にせよ一番奥まで入ってくるとこの駐車場に辿りつきます。富士見高原スキー場はぶっちゃけかなり小さくて、大人が楽しむには全然だそうですが、逆に小さな子供連れの家族に人気なんだとか。
駐車場の奥、ここから登山道へと入っていきます。編笠山山頂までそれなりの距離があるので覚悟して進んでいきます。
こちらの門を超えて・・・
富士見高原登山口(9:40)
ここからクライムオン!
今日は最高の天気なので暑いくらい。下の方ではグローブすら要らない陽気。3月頭といえば厳冬期と残雪期の境界線。融雪のせせらぎは春の足音のよう。
なにこれ優しい笑
こんな親切な標識初めて見ました。看板も山によって個性があるものですが、語りかけてくるタイプは初めてですね(山頂まで4時間と言うエグいメッセージ付きですが…汗)
ほどなく盃流し入り口に到着。ここで西岳と編笠山が分岐します。編笠山の方はまっすぐ、西岳の方は左へと進んでいきます。
誰もいない静かな樹林帯、人気の八ヶ岳とは思えない、静寂に包まれた金曜日。やはり平日だと人がいないものですね、これでいい、これがいい。
それにしても暑い…。
樹林帯はくるぶし程度の積雪で「これは案外楽勝か?」そう思っていた時間です。数日前に低気圧が日本を横断してかなりの降雪だったはずで、平日だからノートーレースだろうとは予想してましたが、サクサク行けちゃうかも?
と、そんな風に思っていたのですが、標高を少し上げた途端、かなりのラッセルに…!!
今冬初めて輪かんじき(わかん)投入!!
足と雪面の接地面積を増やすことで足が雪に沈みにくくなる、雪山登山では必携の道具です。これで楽勝か!?
しかし、わかんをつけた直後かなりの急登となり、わかんでは歩きにくすぎる…
急登に加えて若干溶け始めている3月の雪、わかんを付けていると滑ってしまいまともに歩けない。仕方なくわかんを外してアイゼンに変更。
わかんからアイゼンに変更するも、しばらくすると再びかなりの深雪となり、今度はアイゼンが邪魔な状況に!?結局アイゼンを外してつぼ足へ。
本当はここで再びわかんをつけるべきでしたが、わかんは装着が面倒なので「面倒だしつぼ足でいったるわ」と判断。
しかし・・・。
深雪の中をひとりでラッセル、やはりわかんを装着しておくべきでした。そんなこんなでワチャワチャしてたら結構時間食ってしまいました(汗)
トレースの無い樹林帯は歩く場所の判断が難しいですね。方向はわかりますが、ベストな位置、雪が少しでも浅い場所を常に考えながら歩きますが、
ズボォ・・・と、深いし、雨交じりの雪だったからなのか、雪がとにかく重たくてラッセルが苦しい。道なき道を、一人静かにモッサモサと雪をかき分けかき分け進んでいきます。
標高が上がるといよいよつぼ足では歩けなくなってきましたので、
結局わかん装着!!
めちゃくちゃ歩きやすーーーい!!!
やっぱり、もっと手前でわかん装着しておくべきでした。
つぼ足か、アイゼンか、わかんか。この判断は山により、雪の状況により変わってきます。特にトレースがない時はこの判断が大きく影響します。また一つ学んだ登山でした。
わかんを付けてペースアップ、樹林帯から空の色が差し込んで来ると、私たち雪山登山者のテンションは跳ね上がります。稜線の気配、山頂の気配がするからです。
八ヶ岳ブルーの空が近づいてきました!前半の樹林帯で疲弊して、この青空を見て癒されて。登山は大体いつもそんなんの繰り返し。
森林限界を超えました…!!
山頂近くではかなり細かく励ましてくれます笑
いよいよ山頂!?
と言うところの標識はエビの尻尾でまさかのホワイトアウト。
なんて書いてあるのか気になる所。
編笠山(16:00)
6時間もかかってしまいましたが編笠山(2,524m)登頂!!
山頂の標識は登山界隈で人気のある丸いお団子タイプ。エビの尻尾がここもすごいですね。奥には八ヶ岳の山々がドーンとそびえています!
山頂は広く平坦な雪原が広がっていて、降雪直後の登山では、誰の足跡も残っていない山頂を楽しむことができます。自分の足跡のみがあるこの瞬間、まさにその山を独り占めしている気分になれますね。
権現岳へと続く道には樹林帯があるためこちらにて幕営することに。標識がある辺りは爆風地帯となっているためテントは厳しいと思います。
風が強いのでブロックをそれなりに積んで、これでOK。あとは、編笠山からの景色を存分に楽しもうと思います。
編笠山からの景色(夕景~ご来光)
突き抜ける青空、厳しい八ヶ岳の岩峰が、見惚れる程に美しい。
左から阿弥陀岳、少し見えているのが横岳、そして主峰の赤岳。
編笠山から下界を見下ろす景色は文字通り「空の上」の別天地。白い峰が眩しく輝く南アルプスの展望、左から北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳。
ただ一点の雲もない360度の快晴というのは、この上なく気持ちがいいものです。そんな夕陽が照らし出す山の景色は、ただただ、美しい。
刻々と変わる山の景色。アーベントロートで染まる八ヶ岳。編笠山の山頂はまるでイルミネーションに照らし出されたかのような景観へ。
撮影の裏側
さっむーーー!!!!
編笠山は独立峰のような立ち位置、西から遮られることのない風が吹き付けてきます。気温はマイナス12度ほどしかないにも関わらず、吹き付ける強風で体感温度は以前の赤岳より更に寒かったです。両手をクロスして手の甲を脇の下に挟んでもなお凍える寒さだったので、一回テントにダッシュしてバーナーで温めました。
夜ご飯は定番のラーメン!
冬の間は自然という名の冷凍庫が食材を冷凍保存してくれるので山飯に最適だったりします。次はフライパンと肉持ってきて焼肉にしようかな。
至福のサッポロ一番みそラーメン。
この雪山からデビューのプリムスP-153ウルトラバーナーです。
この前の赤岳でバーナーの火がつかないというトンデモトラブルがあったので購入しました。
ガスはプリムスの中で最強の「ウルトラガス」です。-20度以下での使用、つまり厳冬期登山での使用が想定されています。
さすがにウルトラガスを使っているだけあって火力は申し分なし!
火力は申し分ないのですが・・・
しかし、ストーブの着火装置が不良品かと思うほどに機能しない。プリムスさんどうなってんの??ライターを忘れると使えない可能性が高いと思うので、この有名ストーブを使う場合は別にライター携帯をお忘れなく!
ご来光前、妖しく輝く空にそびえる日本最高峰の富士山。
八ヶ岳から眺める富士山は麓から美しい曲線を拝めるので好きです。
ビーナスベルトと中央アルプス。
黎明の南アルプス。
今日も最高に良い天気。
編笠山から眺める赤岳方面はご来光の恩恵が得られないのがちょっと残念。
前回と言い、私がいない時に限って爆焼けする北アルプス(笑)
さすがに北アルプスの写真をしっかり撮るには八ヶ岳は遠すぎますね。
今回は編笠山に行こうか霞沢岳に行こうか悩んでいましたが、近々海外出張の予定があったので、ちょっとセーブして近場の編笠山にしたのでした。
あれ!?一晩経ったらエビの尻尾が全て無くなってる!?
融雪?それとも風の影響??
黄色と青色の混じり合う朝の景色、最高ですよね。!
山から見た町の事を「下界」なんて言ったりしますが、編笠山はまさにその感覚を味わうことができる場所、町は遥か足元です。
権現岳方面はガチの深雪で断念
実は今回の山行、権現岳へ行ってテントを張ろうと思っていました。ただ、編笠山の登りで思った以上に苦戦して断念、さらに編笠山から権現岳へは一度標高を落とす必要があるのですが、その道が超深雪、これは相当な苦労が予想される雪の状態でした。わかんを付けていたとしても相当厳しい。編笠山で十分な景色を堪能できたので、権現岳は夏山として楽しもうかなと思います。
今回編笠山を選んだのは、この前赤岳からみた権現岳方面の景色が素晴らしかったから。
こっちから赤岳を眺めたいと思ったんですね。
編笠山からの下山、北アルプスの屏風が最高の展望でした!
槍ヶ岳、剱岳、立山、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳・・・旧知の山々を眺めるのは本当に嬉しい。立山(写真中央、台形型で真っ白の山)がめちゃくちゃ目立ってますね!こうして見ると北アルプス南部(左半分:槍~常念)と北アルプス北部(右半分:立山~後立山)では雪の付き方が全然違います。北アルプス北部は下部まで真っ白なのが分かります。
小淵沢駅(10:45)
さっきまで、あの山頂にいました。
麓から山頂へ登り、再び麓から山頂を眺める。この時の感動はないですよねぇ。
小淵沢からはスーパーあずさで、こうなりますよねー。
アクセス良いし、景色は良いし、天気も良いし、今季の厳冬期登山を締めくくりに相応しい登山だったと思います。八ヶ岳については今年の夏に歩き倒そうかと思っておりまして(特に権現岳あたりと横岳あたり)、次会う時は緑豊かな八ヶ岳の姿をお送りできればと思います。編笠山、良い山でしたよ!
登山データ&一言アドバイス
日程 | 行程 | 天気(午前/午後) |
2018/3/2(金) | 新宿~小淵沢~富士見高原ゴルフ場駐車場~編笠山(幕営) | 快晴/快晴 |
2018/3/3(土) | 編笠山~小淵沢~新宿 | 快晴/- |
富士見高原ゴルフ場駐車場~編笠山:6時間
わかんの装着タイミングが遅かったことと終始ラッセルだったことにより、コースタイムはやや遅め。
装備類
わかんは必須、アイゼンもあった方がよいです。トレースがあればつぼ足で歩くのが一番かもしれません。3月頭は日によって温度感が全然違うため、寒気の影響をよく考えて防寒対策をしましょう。八ヶ岳はまだまだ厳冬期の様相です。
残雪状況
雪の量は厳冬期レベル。降雪直後の平日は「自分が道を作る」楽しみを経験できると思います。編笠山~権現岳はかなりの深さですので、トレース無しで歩く場合は夏山の3~5倍は時間がかかるでしょう。
水場
無し。この時期は雪を溶かして水を作ります。
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コメント一覧 (3件)
残雪の山は、やっぱり美しいですね。
登れなくても、このブログで堪能します。
ありがとうございます(๑´ڡ`๑)
登山ばかりではなく最近そろそろ他の物も撮ろうかなぁとか思ってきました。
GW十勝連峰気になってたんですが、まだまだ北海道の天気は安定しないですね汗
清宮さん
こんにちは
休日、有給を利用したサラリーマンらしい厳冬期登山お疲れさまでした。
毎回、雪山、絶景写真、テン泊、ビール、ちょっと山ガールで楽しませてもらいました。
夏山も頑張って下さいね。