秋の気配と夏の空気が混じり合う9月頭に北アルプスの裏銀座と呼ばれる縦走路を歩いてきました!結果、最高でした。8月の夏山登山では3連チャンのガスに襲われる地獄の様相でしたが、今回は違います、最高でした(๑´ڡ`๑)
やはり青空のもとに登山できるって、幸せです。山の天気は難しい。だからこそ、好転に恵まれるとガッツポーズ決めたくなるほど嬉しいものです。
北アルプスの「裏銀座」とは?
北アルプスには表銀座と裏銀座という代表的な登山路があります。どちらも槍ヶ岳を目指すコース。表銀座は燕岳や大天井岳を経るアクセスが良いコースなのに対し、裏銀座とは烏帽子岳からはじまり、野口五郎岳や水晶岳など北アルプスの中心、最深部を歩くめっちゃ山深いコースとなっています。
バスタ新宿
さあさあ、登山のスタートは例に漏れず新宿のバスターミナル「バスタ新宿」です。まずはここから長野県の松本を目指します。真の目的地は信濃大町なので、信濃大町行きのバスに乗りたいところですが、生憎の満席。皆さん登山が大好きなのです。信濃大町めざす人の大半は登山でしょうからね。
それにしても、これだけバスを利用しているのにまだ一回もお姉さんの横の席になったことが無いのは何故でしょう。アルピコ交通さんに問い合わせたいと思います。
もう何十回来ているのか分からない、双葉サービスエリア。展望台があることを初めて知りました。登ってみると南アルプスがよく見えます。山を見てテンション上げていきます。
松本駅
実は新宿→松本のバスも結構混んでまして、かなり早い時間の便しか空いてなかったんですね。松本で時間を持て余したので黒部の山賊を読んでました。
山岳関係の本としてメッチャ有名な黒部の山賊。北アルプスの黒部、薬師、三俣山荘などを舞台とした山小屋の主人が経験したエピソードが描かれています。決して山賊が登山客の身ぐるみはがす様な話ではありません。既読ですが、改めて読み返しました。なぜなら、この舞台こそ今回歩く裏銀座そのものなのです。裏銀座を縦走予定の方は是非とも一読してみください。山行が数倍楽しくなること間違いなしですよ。
松本駅から信濃大町駅へ電車で移動します。まさかの満員電車\(^o^)/
信濃大町駅
信濃大町駅に到着!ここから今回の宿である七倉山荘へタクシー移動します。
七倉山荘宿泊者のみ乗り合いタクシーが利用できるので、これを利用します。
七倉山荘への乗り合いタクシー利用方法
- 七倉山荘にて宿泊することが条件(山荘泊、テント泊どちらも可能)
- 事前予約が必要(七倉山荘に電話して山荘泊/テント泊であること、乗り合いタクシーを希望することを伝える)
- 予約制乗り合いタクシー:七倉山荘(0261-22-4006 )
- 信濃大町駅の待合室で待機、タクシーの運ちゃんが声をかけてくれます
- これを利用するとタクシー代+テント代+温泉代で3000円ちょっと(神価格)!
裏銀座を縦走する場合、七倉山荘が起点となるので是非積極利用しましょう!なお、乗り合いタクシーとはいうものの、人数が揃う必要はなく、予約してれば1人でも大丈夫です。
七倉山荘
乗り合いタクシーで七倉山荘に到着。今日は私一人だけでした。もし普通のタクシーで来ると6000円くらいかかります。
七倉山荘の裏手が幕営地となっていて、ここにテントを張ります。山と高原地図にはテント場のマーク付いていないので見落とさないように要注意ですね。今日はテント泊わたし一人だったので気楽に過ごします。
七倉山荘の温泉がめっちゃ良い件
七倉山荘に泊まれば(テントでもOK)無料で温泉に入れちゃいます。温泉入りに来るような人も居るわけです。そら温泉もすばらしく、登山開始前から天然温泉に入ってゆっくりできるとか、出だし最高なわけです。
温泉から上がり、売店をチラチラ。
私は自転車で日本一周しているので、やっぱりご当地ものを食べて、地方でお金を使わなきゃいけないという使命感が強いわけです。それで売店見てたら味噌せんべいとリンゴジュースがあったので購入。
長野県と言えば日本一の味噌県。香ばしい味噌せんべいに舌鼓を打ちます。他にも長野県と言えばリンゴですよね。となれば、リンゴジュースなわけです。でもあれですね、手元にあったのはビールでした。これは間違えやすいパッケージなので注意が必要です。
七倉山荘から登山スタート:目指すピークは烏帽子岳
さあ!日にち変わって今日から登山スタートです。まずは七倉山荘から山ノ神トンネルを歩いて行きます。なお、七倉山荘で受付をすれば乗り合いタクシーで高瀬ダムまでは車で行けます。2000円を4人で割れば一人500円くらいで行けますね。
私は500円をケチって歩いて行きます。500円あったらビール買えますしね?
七倉山荘から先はマイカー規制があるので通る車はタクシーか作業車くらいなもの。一応歩道もあるので歩きでも全然大丈夫でした。
高瀬ダム
その後もいくつかのトンネルをくぐり、ジグザグの坂を上って高瀬ダムまでやって来ました。このダムは石を積んで作られており、黒部ダムに次ぐ日本で2番目に高いダムだそうです。ごいすー。
ここを左に行くと湯俣方面、右に行くと烏帽子岳方面です。
濁沢キャンプ場
登山口近くにある濁沢キャンプ場。ここでも幕営できます。烏帽子岳に少しでも早い時間からアタックしたい人には良いですね。幕営料金は烏帽子小屋で払うみたい。
上で紹介しました黒部の山賊によると、戦後の貧しい時代にここで殺人事件があったと言います。食料の乏しい戦後の時代、登山は相当に贅沢なレジャーとして捉えられていたようです。今の時代に感謝感謝。
それにしてもめっちゃいい天気です(๑´ڡ`๑)
山で太陽を見るだけで高揚しちゃいます。ああ、お天道様!
烏帽子岳登山口:ブナ立尾根
さあさあ、烏帽子岳の登山口に到着しました。烏帽子岳アタックを開始します。裏銀座登山口と書いてありますね。ここから長い長いトレイルが始まります。裏銀座縦走路は、ハチャメチャに疲れる縦走路なので気合入れていきましょう。
北アルプスは既に秋の装いですが、樹林帯の中は風が無いのでメチャ暑(汗)
北アルプス三大急登の一つブナ立尾根。さすがの急登ですが、難しい要素はほとんどないため、初心者の方でも安心して歩くことができると思います。でも、暑いし疲れるのはご覚悟を。
ブナ立尾根には12番から1番まで番号が振られており、どれくらい進んでいるかが分かるようになってます。写真は“まだ10番かよ\(^o^)/”と驚いているところです。
標高が上がって視界が開けてきました。スパッと切れ落ちている場所があって迫力満点。稜線に近づいてくる時のこの感覚。たまらんですよね。どんな感覚か知りたいですって?それはぜひ登山を始めてみた方が良いと思います。
烏帽子小屋(2530m)
樹林帯から無事に脱出。さあ、烏帽子小屋に到着です!青空!まじで青空!稜線で青空見るだけで小躍りしそうになっちゃいます。
左手を見ると大きな三ツ岳がそびえてます。明日はこっちの方向へ歩いて行きますが、テント場の関係で今日は烏帽子岳まで。
裏銀座をテント泊で縦走、七倉山荘で前泊する場合のモデルコース
裏銀座をテント泊で縦走、七倉山荘で前泊する場合、ちょっと厄介な問題があります。烏帽子岳から先の野口五郎岳(野口五郎小屋)、その次の水晶岳(水晶小屋)にはテント場がありません。
烏帽子岳(烏帽子小屋)の次のテント場は三俣山荘か雲ノ平キャンプ場となります。ブナ立尾根を登って、上記のテント場まで1日で歩くのは限りなく不可能に近いので、烏帽子小屋で一泊する必要があります。
ちょっくら時間がもったいない気もしますが、烏帽子岳に登り、ゆっくり過ごしましょう(๑´ڡ`๑)
前烏帽子岳
烏帽子小屋から極上の稜線歩きをスタート。青空と雲のコラボで今なら何でもできそうなくらいテンション上がってます。
途中、前烏帽子まで来ると烏帽子岳の本峰が見えてきました。
烏帽子岳(日本200名山)
日本にはたくさんの烏帽子岳がありますが、最も有名なのが北アルプスにある烏帽子岳。日本200名山に数えられています。烏帽子(尖がった帽子の事)に似た巨岩が天を衝く、かっちょいい山ですね。
標高2581mは北アルプスの中で背の低い方ですが、近くに寄ると巨岩が迫力満点で迫って来ます。青空と緑と岩のコラボ。これこそ夏山。これこそ私が渇望していた景色。ああ、“やはり北アルプスが至高か”と悟った瞬間でした。
脱兎のごとき猛スピードで岩場を駆け上がります。
山頂はかなり狭いです。何と言ってもただの大きな岩の先端が山頂なので、ここは気を付けて登ります。
烏帽子岳山頂(2581m)
“美しい・・・涙”
大の大人が山頂で久しぶりの青空にマジ泣き寸前でした。それくらい青空に飢えていました。天気に感謝、青空に感謝。
雲海の中に浮かぶピークが見えます。あれは私が北アルプスデビューを果たした、餓鬼岳と唐沢岳。自分が登った山を別のピークから俯瞰できる幸せさたるや。
振り返れば水晶岳(左の黒いピーク)と赤牛岳(中央の赤いピーク)が並んでいます。明日にはあっちまで歩いて行きます。
烏帽子岳からの景色で一際かっちょいいと思ったのが針ノ木岳。まるで剣岳を彷彿させるような厳しい岩肌でした(見たことないけど)。
烏帽子小屋(戻り)
烏帽子岳からの景色を堪能し、烏帽子小屋へと戻って参りました。烏帽子小屋の方は何だか優しくてホッコリしますね。山小屋には時折すっげぇ厳しい人がいるので(汗)
お昼ご飯にはペッちゃんこのメロンパンと破裂寸前のランチパックを頂きます。何度かの経験的に、ランチパックは異様なまでに膨らむと結論付けたのでご報告いたします。
小屋前はイワギキョウのお花畑。
小屋でCCレモンが売ってたので買っちゃいました。山小屋でジュースやビールが買えてしまうのが北アルプスの素晴らしくも恐ろしい所。これを買わないでいられる精神力を養うのは大変な事よ。。
烏帽子小屋テント場
小屋からちょっと行ったところに烏帽子小屋のテント場があります。裏銀座の始点にして、この辺りにはここしかテント場が無いのでお盆とか繁忙期は混みそうですね。めっちゃ広いと言う訳ではないので、混む時期は早めの受付がいいと思いました。
午後遅くにはガスが湧いてしまい、残念ながら烏帽子岳の夕焼けはまた今度。夏山で夕焼けを見れたら本当ラッキーですね。日射でガスが湧いてしまうことが多く、こればかりは運次第。
夜ご飯はサンマの卵とじ
夕日が見れなくてトボトボとテント場まで戻って来ました。さあ、夜ご飯としましょう。今日はサンマ缶と卵を使って料理します。
と、言ってもサンマを温め、溶いだ卵で閉じるだけですけどねん。缶詰とか、なんでも卵で閉じとけば大体美味しくなりますからね。卵は偉大です。余程暑くなければ常温保存できるので便利です。
この後なぜか腹痛に襲われ、あと一歩で人として何かを失う程の大惨事になりそうでしたが、ギリギリ間に合いました。ストッパ下痢止め飲む間もないよなシャープな腹痛でしたね。山で一番怖いの腹痛です。
・・・さあ、明日はいよいよ稜線歩きと行きますよ!!・・・
コースタイム
- 5:15 七倉山荘
- 6:20 高瀬ダム
- 6:35 濁沢キャンプ場
- 6:45 烏帽子岳登山口
- 10:10 烏帽子小屋
- 10:50 烏帽子岳(2538m)
- 13:00 烏帽子小屋テント場
- 20:30 就寝