那智(なち)の大門坂駐車場にある東屋を一晩お借りしました。大きな東屋で、バスの待ち時間や地元の方の憩いの場所となっているようです。熱帯夜なのでフライシートは付けずに寝ておりました。
さあさあ、今日は朝から世界遺産である那智の滝や熊野大社を巡ります!自転車で行くこともできますが、ここ大門坂から熊野古道を歩いて通ずる道があるので、自転車を置いてバックパックのみで出発!
・・・世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」・・・
奈良、和歌山、三重にまたがる世界遺産。吉野、熊野、高野が対象となっており、含まれているのは神社仏閣、山、滝、道などです。中でも“道”が世界遺産となっている例はあまり多くないようで、同じく道が世界遺産となっているスペインのガリシア州と和歌山が姉妹都市となっているんだとか。
「祝」世界遺産とはなっていますが、世界遺産となることで観光客が殺到し、遺構が損なわれるなどの問題が生じます。一方で、世界遺産となることで景観を損ねるような人工物を勝手に作れなくなったり、ましてや森林を伐採するなどバカを抑止するバリアが働きます。正負どちらの側面もある世界遺産への登録。うまく利用できたらそれが一番ですね。
熊野古道を体験して、熊野大社へ!
世界遺産の中心地ともいえる、熊野大社や那智の滝がある場所へと向かいます。車でも行けますが、ここはせっかくなら、熊野古道を使って向かいたいところ。熊野古道(くまのこどう)とは、熊野三山(熊野那智大社、熊野速玉大社、熊野本宮大社の総称)へ通じる参詣道。これがとんでもなく大きな小路で、果ては大阪の淀川と三重の伊勢まで至ります。
「蟻の熊野詣」という言葉があるように、昔は人々がありの行列のごとし、こぞって熊野大社へ参詣していたことを表しています。
この熊野古道をしっかり満喫するのは、それ相応の時間が必要。自転車旅の中では難しいですね。
そこで、熊野古道の体験版とでも言いましょうか、熊野那智大社へ通ずる大門坂を歩くことで、その一端に触れたいと思います!
しっかりと撮影することなく紫陽花の盛りは過ぎてしまいました。来年はしっかりと、どこか名所で撮影したい。額紫陽花(ガクアジサイ)は派手さこそありませんが、ひっそりと佇むその可憐な姿は撮り甲斐があります。
歴史の香りが残る、石畳の大門坂
熊野古道において、熊野那智大社へと後わずかという所、約600m続く坂道が大門坂です。両脇に巨木を携え、美しい石畳が続く古路。現在では、熊野古道の中でもその風情を色濃く残している場所として、多くの観光客が訪れます。
このような道を歩くのは、日光の杉並木以来でしょうか?
古くは参詣者が列をなして先の霊場を目指していた場所。歴史の息吹を感じながら、朝早く、人のいない歴史の道を歩いて行きます。登りと言っても600mですからね、気合入れずに、観光気分でも全然歩ける場所ですよ。
それにしても、日光・・・懐かしいですねぇ。
日本一周15日目ですってよ!15日目!若かりし頃です。しかし、この頃から日光杉並木で野宿するという、結構変態的なことをやらかしてます(笑)
那智大社のある観光街までやって来ました!お天気は残念ながら曇り空。まあ、そこまで晴れている必要もないのでね。
それにしても、全然人気がありませんね?
(この時は、ぶっちゃけ、日本の世界遺産の中でも地味な方かなぁと思うので、あまり人気がないのかな?とか、思っていましたが、ただ単に朝早すぎるだけでしたw)
那智滝と三重塔
お目当ての那智の滝と三重塔の景色に到着!人が少ないうちに、まずは写真撮影を済ませてしまいましょう。
・・・どこだ?
・・・撮影スポットはどこなのだ?
(分かりにくい所がベストポイントなのです。)
青岸渡寺あたりをぷらぷらと歩きながら、よく見る那智の滝の撮影ポイントを探します。全然違うけど、ここから見る三重塔もなかなか良い。
時折差し込む斜光が美しいですねん。って、マジでどこだ??三重塔と滝が同じくらいの高さに見える場所があるはずなんですけど。。
・・・
その後も、しばらく歩いて、ようやく見つけました…!!
絶景「那智の滝と三重塔」
すんばらしい!!!
山の中にひっそりと佇む那智の滝と三重塔、絵になる。これは絶景だ。ぷらぷら歩いているうちに雲が取れて晴れてきましたね。昨日今日と、天気に恵まれました。肝心なところで好天に巡り合えてラッキー\(^o^)/
滝の方ではそれなりに風が吹いているようで、後から見たら滝が斜めっている(笑)
王道な構図は、王道たる理由があります。やはり、那智の滝に来たのであれば、この写真はゲットしておきたい!撮影場所は「灯台下暗し」な所なので、探して見てください。三脚広げられるのは1人だけという小さなスペース。朝早くか夕方に行くのが良いですよ!
横もいいけど、この構図もしっくりくるかなと。なかなかお気に入りです。
三重塔に着いたところから撮ると、こんな風に滝が半分切れてしまうんです。三重塔はかっこよく見えるんですけどねん。そこはどっちに主眼を置いているのかで撮り方は変わってくるかと思います。
せっかくなので、三重塔の中へ入ってみることに(拝観料300円)!
仏教らしい、極彩色の美しい内装。
三重塔から眺める那智の滝もおすすめ。
反対方向を振り返ったところ。熊野那智大社のある那智山を俯瞰することができます。いい景色ですねん。
その後はガクアジサイを撮りつつ、那智の滝へ行ってみます。
非常に両極端な撮り方ですが、紫陽花はアンダー(全体的に暗い雰囲気)で撮るとカッコイイ。濃い紫色が漆黒の背景によくマッチします。花の隙間から太陽を入れるのは私の好きな撮り方。
日本一の名瀑「那智の滝」
那智の滝には多くの観光客が訪れていました。さっきまでは朝早すぎたんですね。
ここから見る那智の滝もかっこいいー!!!熊野那智大社は元々、滝の神様を祀っていたようで、こちらにも社殿があります。
滝をより近くで見れる場所があるので行ってみます(300円かかりますw)!
湧水も飲めるので、手持ちのペットボトルに詰めて、いざ!
那智の滝・・・爽やかで、かっこよくて、大好きな滝になりました。
遠くから見ると小さいように感じられますが、その実、落差は133mと一段の滝(途中で岩にぶつかっていない)では日本一の大きさです。ここまで来るとその大きさをよく感じられます。日本3名瀑にも数えられており、他の二つを既に見た者の感想としては、ぶっちゃけ、ダントツで那智の滝がおすすめです。
他の二つは栃木の華厳の滝(けごんのたき)、茨城の袋田の滝(ふくろだのたき)です。
この二つよりは、屋久島の大川の滝(おおこのたき)の方が全然かっこいいですけどね(‘ω’)ノ
世界遺産「青岸渡寺」と「熊野那智大社」
青岸渡寺(せいがんとじ)、世界遺産の一角として重要なお寺。熊野那智大社の真横にあります。
熊野権現とは?
そしてこちらが熊野三山の一つ、熊野那智大社。熊野三山は熊野権現(熊野大神)を主祭神とする神社。そして、その信仰は通常の神社と比べて、非常に複雑で難解なものです。
熊野大社は、本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)の考えを取り入れた神社。この本地垂迹説とは、「仏様が人々を救うために神様の姿になって現れるという思想」のことを指します。この背景にあるのは神仏習合で、これは日本古来の宗教である神道と海外から伝来した仏教を融合した思想のこと。今でこそ神社とお寺は明確に分かれていますが、昔はその区別が曖昧だったんです。
熊野権現とはつまり、仏様が本体であり、その仏様が仮の姿として神様の形で人々を救うという信仰のこと。例えば、熊野那智大社に祀られているオオナムヂ(オオクニヌシ)の本体(本地仏という)は千手観音という、一般的な神道で考えると複雑怪奇なことになっています。
その上、祀られている神様が多いので、そのすべてを把握するのは困難。何しろ、すべての神様には本体となる仏様がいるのです(薬師如来、不動明王、釈迦如来など)。
・・・このような背景があるので、青岸渡寺と熊野那智大社が両隣にあるのも納得ですね。
写真撮影と参拝を済ませ、大満足の内に大門坂を戻ります。
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その後、那智から新宮(しんぐう)へ移動。目的地はずばり。サイクルショップ。
スポークが折れて後輪が振れ、ブレークを一つ外さなければならない程の事態。
Tannus(タンナス)取扱店ではない自転車屋さんですが、大丈夫でしょうか・・・。
新宮のサイクルショップ「WHEEL ACTION」へ
「アッ」という間に、直してくれましたー\(^o^)/
神だ、ここにも神がおった。
訪れたのはサイクルショップ「WHEEl ACTION」というお店!
Tannus(タンナス)取扱店ではないのに、すぐさまスポークを取り付けてくださいました。
新宮・・・いや、三重県で自転車に困ったらWHEEL ACTIONへ!
プロ中のプロやで??
巨岩を祀る「神倉神社」
後輪の振れも取れ、自転車が解決したところで近くの神倉神社へとやって来ました。こちらも世界遺産の構成要素となっています。
神社自体は下にあるんですが、山の上の方に、ご神体の巨岩があるとのこと。そこへ向かう途中の階段が見上げてしまう角度なので、上り下りはご注意あれ。
こちらがご神体の巨岩です。階段を上ってくるのは大変ですが、とても迫力があります。ここから眺める新宮市街の景色も壮観。来る価値ありの神社かと。
新宮に来たら和菓子を食べよう
ブログ読者の方に教えていただいたんですが、新宮市街にある香梅堂というお店の鈴焼(鈴カステラ)が抜群にお美味しいらしい。
と、いう訳で久しぶりにやって来ました和菓子店。平日の中途半端な時間にもかかわらず、結構な人で賑わう人気店です。
購入したのはもちろん鈴カステラ。20個入りで300円くらいだったのでお値段はお手頃。いざ、実食。
― ふわふわなんだけど、ぎっちり…!
と、言うのが私の感想。確かに、通常の鈴カステラとはレベルが違う。鈴カステラというカテゴリーにおいては、間違いなく最強。和三盆が入っているらしく、それがこの食感の秘密かもしれません。
・・・
WHEEL ACTIONの西村さんに、もう一店舗、抜群に美味しい和菓子屋さんがあると教えてもらいました。その名は松葉屋さん。
松葉屋
・・・無いやんけ(笑)
地図の場所に来たら、ただの家しかない。
ん???
しかしよく見ると、和菓子屋さんであるかのような、小さな看板が。恐る恐る戸を開けると、中にメニューがありました。”どんだけひっそりと営業してんねん!”と、ツッコミたくなってしまうほど。
お店に入り、呼び鈴を鳴らすとお母さんが出てきてくれて、購入することができます。
天の川という名前の和菓子。中に大納言あずきが入った寒天的な和菓子です。
・・・なんだ、これは・・・!?
初めて食べる不思議な食感。小豆の程よい甘さが絶妙で、これは、絶品…!隠れた名店にも程があるぞ、松葉屋さん。
表面だけを固まらせているようで、作るのに3日間かかるらしい。もう60年も営業している老舗だそうですが、管板も出していないのに、全国からこれ目当てで来る人が後を絶えないと言います。
看板すら出してないのに、すごい。。
むしろ、混み過ぎるから看板とか出してないのかな?「看板も出さずに営業しているのに、多くの方にお越しいただいて…」と語っていたけれど、実力ゆえに、宣伝とかする必要ないんでしょうね。(こうやって勝手に広がっていく、ということでしょう。)
サービスで、ミカンジュースを頂いちゃいました。
あら!有田みかんのジュース!
ついこの前、巨大なみかん山を眺めていたので、味わ事ができてうれしかったです。
新宮には那智三山の一つ、那智速玉大社があるので参拝していきます。神社が非常に美しい。
本当は、熊野三山の最後の一社、熊野本宮大社にいも行きたいところですが。。
ここから30km程離れているので、今回は諦めることにします。
旅はいよいよ東海道へ!
新宮を出るとすぐ、三重県に入りました!これで37県目となります。
三重県を含めて、残すところは10県のみ。ここからは加速度的にゴールへ向けて突き進みたい。今後の進路は以下の通り:三重県→愛知県 →岐阜県→静岡県→山梨県→長野県→群馬県→埼玉県→東京都→神奈川県(ゴール)
三重県に入ってからは、道の駅でウミガメを見たり、すももを食べたり、小学生の短冊に完全に同意してみたり・・・七里御浜(しちりみはま)という長い海岸沿いを走っていきます。
今日はブログのネタが豊富過ぎるので、この辺はバッサリ省略ということで!
道の駅「花の窟(いわや)」に到着し、近くのイオンで夜ご飯とブログ執筆をして、今日はお終い。昨日に続き、とても充実した一日となりました。充実し過ぎてブログで紹介するのが大変な程に(๑╹ڡ╹๑)p♪
移動ルート
今日の旅データ(276日目)
本日の走行距離 | 44km |
総走行距離 | 10694km |
スタート | 野宿「大門坂駐車場」 |
ゴール | 道の駅「花の窟」 |
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コメント一覧 (2件)
今日は。私も那智の滝と三重塔を同じ高さで撮りたいという願望を抱いている75歳のロートル写真道楽者です。あなたが撮られたような写真をお迎えが来る前に是非とも撮りたいと願っています。素晴らしい写真に見入ってしまいました。大変厚かましいお願いで恐縮なのですが、差し支えなければ撮影された「灯台下暗し」の場所をお教え頂けないでしょうか。どうか年寄りにご教授戴ければ幸せに存じます。
こんにちは。厚かましいなんて、とんでもありません。ネットでも見たとしても、やはり自分の目で愛でることにこそ、意義があると感じております。人様のブログですが、こちら記事の4枚目に「誰でも入れるベターな撮影スポット」とメモっている箇所(宿坊 尊勝院の建物手前)です。
https://matsukiyo.cafe/944628/
こちらにいきますと、こんな感じで坂と階段になっていますので、この辺りであれば、塔と滝を合わせて撮りやすいかと思います。
晴れた日も美しいですが、雨の日や霞がかった日も風情があるようで、いつ行っても素敵な場所かと存じます。
ぜひ撮影が楽しいものとなるよう、お祈りしております。