「雪山登山に雪崩ビーコンは必要?」ビーコンの購入を躊躇っていた私が購入を決めた理由

アバランチビーコン、通称『ビーコン』を購入しようか悩んでいる方こんにちは。

雪山登山に興味を持ったり実際に始めると目にする・耳にする機会の多いビーコン。雪崩被害にあったり、目の前で雪崩被害に遭遇した場合に「命に関わる」道具として雪山登山では三種の神器の一つとして数えられています。

それほどに重要な道具でありながら、購入を躊躇う人が多いのも事実。実は私もそうでした。

この度、遅ばせながら購入したわけですが、なぜこれまで購入を躊躇っていたのか、そしてなぜ購入することにしたのか、その経緯などをご紹介したいと思います。

目次

購入した理由【1】残雪期への入山増加

残雪期にも精力的に登山や山岳写真を楽しみたいと思っています。厳冬期後半から残雪期は雪崩が多発するシーズン。残雪期の登山を少しでも安全に楽しむため、ビーコンの購入を決めました。

写真は4月中旬に蝶ヶ岳から涸沢を撮ったものですが、見ての通りあらゆる沢筋で雪崩が多発しています。ゴールデンウィークには人で賑わう小豆沢や北穂高沢でも雪崩が起きているのがよく分かりますね。

自分が歩く場所で雪崩が起こる可能性がある=ビーコンを購入すべきタイミングだと思い、購入を決意しました。残雪期は沢筋を歩く機会も増えますし、ビーコンを持っているだけで、雪崩による死のリスクを少しでも、僅かでも軽減できたらと思います。

購入した理由【2】悩む行為自体に疲れた

雪山登山を始めてからというもの、ビーコン購入は悩みの種でした。買った方がいいとは思いつつも、値段が高いことから本当に買う必要があるのかず〜っと悩んでいたんです。

購入した理由としては、逆説的になりますが悩むこと自体に辟易としたからです。悩む時間をかけるくらいならいっそ購入してしまった方が気が楽だろうと、購入せずに事故に遭って後悔するくらいなら、もう買ってしまおうと!

そもそも値段がもっと安価であればずっと早く購入したのですが・・・値が張るため二の足を踏んでいたのも事実です。

購入した理由【3】雪山登山でリアルな死を感じた経験

雪山登山は人の命を奪い得る危険なものです。

雪山登山1年生の時、木曽駒ヶ岳で遭難している方に遭遇。ヘリが来るまでの1時間付き添いました。1時間ケアしていた感覚としては「助かった!」と思ったんです。救助のヘリが来た時点で要救の意識はしっかりしていたし、目立った外傷もなく、あとは温かくして治療すれば元気になるんだと、心からホッとしました。

でも、現実は厳しいものでした。残念なことに、その方は後に亡くなってしまいました。

その方は雪崩の被害にあったわけではありませんが、雪山登山で人は命を失うことがあるんだと、強烈な感覚に襲われたのを覚えています。

雪山に限らず登山全般、あるいはアウトドアの趣味全般に言えることかもしれませんが、中でも雪山登山というのは死亡率が高い趣味であることは間違いありません。リスクの中でも「噴火と雪崩」のような自然の猛威に晒された時、ちっぽけな私たちになす術はありません。

購入までウダウダ悩んでいたので偉そうなことは言えませんが、雪山登山で死亡するリスクを少しでも軽減できるのであれば、ビーコンを持つメリットは計り知れませんね。

ビーコンの購入を躊躇っていた理由

結果としては購入して良かったと思っているビーコンですが、これまで購入を躊躇っていた理由もご紹介したいと思います。

【1】値段設定に対する不満

ビーコンとはつまりトランシーバーです。一般的なトランシーバーと比べて頑丈に作られているなど、違いがあることは理解しています。ただ、それにしたって「なぜこんなに高価なんだ?」という不満を抱いていました。

問題なのは、雪崩レスキューで用いられる道具としてはこのアバランチビーコン以外に道具の選択肢がないこと。

私たちが選べるのは「ビーコンを持つか・持たないか」のみ。ビーコンが雪崩被害者の安否を決定するのに極めて重要な役割を果たしていることを企業は理解しているにも関わらず、なぜ一般登山者(雪山に関わる全ての人)が手を出しやすい価格にしてくれないのかなと、不信感すら抱いていました。

値段が高いことを理由に購入していない人がめっちゃいるけど「そういう人が雪崩に遭ってもいいんですか?」と。

ビーコン以外に選択肢がない以上、もう少しリーズナブルな価格にして、雪山登山を楽しむ全員が購入できるようにしてくれたらいいのにと何度思ったことか。

貧乏に聞こえるかもしれませんが、どちらかというと値段云々より「なぜビーコンの敷居を下げようとしてくれないんだい?」という憤りの方が強かったかもしれません。

とはいえ、登山というかアウトドア用品というのは概して高額なもので、ビーコンだけに限った話ではありませんが。

【2】雪崩に遭遇する確率の低さ

created by Rinker
山と溪谷社

雪崩事故事例集によると、1991年から2020年までの30年間の統計で、年間約6件の雪崩事故があり、9人ほどが亡くなっています。さらに、この中から「登山」による死亡者数を見ると、過去30年間でなくなった方は100人に満たない数字となっており、年間平均「3人程度」が登山中の雪崩事故で亡くなっていることになります。

人によりこの数字の捉え方は異なると思いますが、年間の雪山登山の入山数を考えれば、決して多くはないというのが私の印象です。

ビーコンは生命の安否を分ける可能性がある重要な装備である一方、雪山登山において雪崩に遭って命を失う可能性は低確率だと言うことです。

あらゆる投資にはコストパフォーマンスがあります。ビーコンへの投資には「命」が関わるので難しいテーマになりますが、確率論で言えば、雪山登山だけを楽しむ場合、ビーコンのお世話にならない可能性の方が遥かに高いわけなんです。

一般の保険なんかもそうですが、多くの人は補償を受けることなく保険金を毎月払って終わるものです。

ビーコンもそれに近い感覚かもしれませんね。

保険に加入する時に感じる「本当に自分に必要なのか」という自問自答はビーコン購入を検討する時にもやってきます。

保険についても加入する人もいれば確率論を重視して加入しない人もいます。保険未加入で何事もなければ「やはり保険に入る必要はなかった」となりますし、何かあれば「保険に入っておけば良かった」と後悔するものです。

【3】ソロ登山なのでビーコンが役立たない可能性

私はソロで雪山に入山します。

単独行の場合、雪崩被害にあったとしても周囲に誰もいない可能性が高く、ビーコンがあっても意味がない可能性があります。

死亡してしまった後の発見に役立つという意見もありますし、特に結婚している方は生命保険の関係などもありますので、ソロでも携帯している方が理想的なのは頭では分かりますが、じゃあその確率ってどんなもんなのさ・・・という確率論が購入の敷居を高くしていました。

それでも無いよりは絶対にあった方がいいということで買ったわけですし、ソロ登山においてもビーコンが命を救った事例もあるようなので、期待と安心料も込めて購入した方がいいのかなと個人的には考えています。

ビーコンの定番「マムート BARRYVOX」を購入!

本当に必要なのか迷っていた時期はありましたが、ビーコンの中でも定番のBARRYVOX(バリーボックス)を購入しました!

雪崩対策について調べたり、ビーコンについて調べるとまず名前が挙がる定番の雪崩ビーコンです。

バリーボックスはマンモスでおなじみ山岳業界を代表するMAMMUT(マムート)のビーコン。

バリーボックスのサイズ感や操作感などファーストインプレッション

身長165cmの私が手で持った大きさはこんな感じ。大きくはないけれど、登山用品としては小さくもないサイズ感。

厚みはそれなりにあるので肌身離さず装備しなければならない物としてはちょ〜っと嵩張りそうだなと言う印象。

iPhone12とのサイズ比較です。

サイズはさておき、厚みが結構ありますよね。

ココヘリとは違ってザックに入れておく訳にもいかず、基本的には雪崩のリスクがある場所では肌身離さず携帯しておく必要があり、厚みがちょっとしんどそう。残雪期は薄着で行動することも多いので、その場合はズボンのポケットに入れることになりそうです。

厳冬期であればアウタージャケットのポケットに入れるのが良さそうですね!

携帯の方法としては付属のホルスターとリーシュを使ってインナーの上に巻きつける方法もありますが、ザック背負いながらだと付け心地がどうなのか気になります。私はおそらくポケットに入れて使うだろうなと思います。

知識と経験がリスクを軽減するのに何より大切である。

十分な経験と訓練なしにバックカントリーへ入ってはいけない。

ビーコンの使い方をしっかりと学んでから雪崩リスクのある場所へ入山しよう。

ビーコンは肌身離さず携帯する必要がある。

ビーコンを持っているだけでも雪崩事故から生還できる可能性が飛躍的に上がると思いますが、それだけに甘んじることなく、ビーコンの使い方をしっかりと理解して、望むべくはビーコンの使い方を積極的に習得していきたいところです。

しっかりした説明書が同梱されているので、私のように初めてビーコンを購入する人でもご安心を。

日本語での説明もあるのでしっかり読み込んで学習したいと思います。

実際に電池を入れてみたところ。上部に「OFF・SEND・SEARCH」の3つのモードがあり、SENDから切り替えるには直感的に扱えるロック機構が付いています。

雪山登山中にグローブをつけていても操作は十分できそうです。

ビーコンを購入した一番の目的は、自分が雪崩に埋もれてしまった時に探してもらうことではありますが、逆もまた然り。誰かが雪崩被害に遭ってその場に遭遇した場合、捜索に参加する可能性もゼロではありません。

雪崩の現場でビーコンを持っていないとマジで役に立ちませんので、捜索の仕方について教科書的な知識だけでも身につけておく必要がありそうです。知っている・知っていないには大きな違いがありますからね。

まとめ

バックカントリーをせずに雪山登山のみを行う場合、雪崩に遭って死亡する確率は決して高くはありません。ましてや、ビーコンを持っていたとしても、雪崩被害から必ず生還できるわけでもありません。

ただ、ビーコンにより救われた登山者の命があることも確かです。

製品に対する値段が高いと感じるか安いと感じるかは「元を取れたのかどうか」が判断になることが多いと思います。ビーコンに限っていえば「安心料」が基本的な対価だと思うようにすれば、少しは納得しやすいかもしれませんね。

先日、北アルプスの乗鞍岳や中央アルプスの木曽駒ヶ岳で雪崩被害がありました。いずれも多くの登山者が歩く、ごく一般的な場所での被害です。いつ自分の身に降りかかるかも分からない恐怖を少しでも緩和して、雪山登山を安心して楽しむためにも、ビーコンをまだ持っていないという方はぜひ検討してみてください。

バリーボックスの他にもブラックダイヤモンドやアルバなどからビーコンが出ていますし、多少の違いはあれど「持っていないよりはどのメーカーの物でも持っていた方が良い」と思います。ちなみにバリーボックスはビーコンの中でもハイスペック&高価格なジャンル。どうせ買うなら一番いい奴を買おうと少しヤケクソです(笑)

捜索可能範囲などは異なりますが、値段だけで言えばオルトボックスやアルバが比較的安価に購入することができそうです。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

お気軽にコメントください

コメントする

Category
カテゴリー
youtube
ranking
ranking
ranking
youtube
ranking
ranking
Special
特集
youtube
ranking
ranking
ranking
youtube
ranking
ranking
ranking
Prefectures
日本一周カテゴリー
Mountains
登山カテゴリー
Tags
タグ検索
目次