穂高岳の一角である西穂高岳独標へ11月末に行ってきました!
実はこれだけ穂高界隈に来ているにも関わらず、西穂高岳は未登頂となっていました。登山口である新穂田温泉へのアクセスが悪いことが一番の原因ではあるのですが、登山ではない観光目的の方も多く訪れる場所で人も多く「また今度…」を繰り返して計画が延び延びに。
今回も西穂山頂までは行っていないのですが、途中の独標から360度の絶景を楽しむことができました。独標とは、西穂山荘から奥穂高岳に至る稜線に並んでいるピークの一つです。
コースタイム
1日目 |
松本(7:55)→ 平湯(9:33) |
平湯(9:40)→ 新穂高ロープウェイ(10:16) |
新穂高ロープウェイ(10:30)→ 西穂高口(11:10) |
西穂高口(11:15)→ 西穂山荘(12:30) |
西穂山荘(13:45)→ 丸山(14:00) |
丸山(14:00)→ 独標(15:00) |
2日目 |
西穂山荘 ⇆ 独標 |
西穂山荘(8:50) → 新穂高ロープウェイ(10:00) |
松本から平湯経由で新穂高温泉へ
さてさてやってきました松本バスターミナル。時刻は朝の7時半ごろ。登山の割にゆっくりなスタートなわけですが、松本から新穂高温泉へ向かう経由地である平湯への便が非常に少なく、この時間が始発便となります。
公共交通機関での便が充実している上高地とは異なり、穂高岳の飛騨側(岐阜側)の玄関口である新穂高温泉はアクセスに難あり。
早朝の始発便を1本増やしてくれるだけで登山客としては小躍りするくらい嬉しいのですが・・・朝早い便の増設を検討してくれませんかねアルピコ交通さん(涙)
平湯で乗り換えて新穂高温泉へ
松本からバスに揺られてやって来たのは平湯温泉。
ここでアルピコ交通のバスから濃飛(のうひ)バスに乗り換えて新穂高温泉へと向かいます。ちなみに乗り継ぎの時間が10分もないくらいタイトですが、松本で新穂高温泉までの直通切符を購入できますので、平湯でバス切符を買ってわちゃわちゃするようなことはありません。
基本的に松本方面からのバスとの乗り継ぎは意識した時刻表となっているようですので、その点は助かりました。
新穂高ロープウェイで西穂高口へ
終点である新穂高ロープウェイにて下車。すぐにロープウェイ乗り場へと向かいます。というのも本日は日曜日。新穂高ロープウェイは登山客よりも観光客の方が利用者の割合がずっと多いため、休日や祝日は写真のようにとても混むようです。
こういった日は臨時便が稼働して常時ロープウェイを運行させているようですが、想定していたよりもここで時間を食いました。
ロープウェイの乗車券は往復分を購入できます(復路は3日間有効)。
また、6kg以上の荷物を持ち込む場合には荷物券の購入も必要です。明かに登山客を狙い撃った荷物券・・・とは言え、ロープウェイで標高2,000m以上まで行けるのであれば文句などあろうはずもございません。
ロープウェイで一気に標高を稼ぐ
新穂高ロープウェイは2階建のゴンドラが売りのようでしたが、今回は臨時便だからでしょうか、通常サイズのゴンドラでした。
乗って数分で第1ロープウェイ山頂(鍋平高原駅)に到着。ここで乗り換えてさらに上部へと向かいます。
第2ロープウェイ乗り場(しらかば平駅)は山の中腹にあるとは思えないおしゃれなインテリアとパン屋さんが入ってました。どうやら温泉付きの施設もあるようです。
登山目的で来ている場合はスキップしてしまうことがほとんどだと思いますが、観光で来ている場合はこの辺りで一休みするのも良さそう。
第2ロープウェイ乗車中の展望は素晴らしいの一言。
笠ヶ岳、焼岳、西穂高岳、槍ヶ岳と北アルプス南部の山々が丸見えの絶景ロープウェイでしたので、温泉を楽しみながら観光で来るのにも十分おすすめできる場所だと思います。
西穂高口
2つのロープウェイを経由して標高2156mの西穂高口駅に到着です!
レストランがあったり展望台があったりと、観光客の方はここで絶景を楽しんでロープウェイで戻ることに。登山客の私たちはここからが本番です。
利尻山のように真っ白な西穂高岳
展望台から眺めた西穂高岳がこちら!
「利尻山かよ!」そう言いたくなるような真っ白な西穂高岳が堂々とした姿でそびえています。昨日までの1週間、大雪・強風が続いたので穂高は真っ白な姿になっていました。
穂高岳は見る場所や角度により表情が大きく変わりますが、飛騨側から眺めると非常に険しい姿をしています。そこに真っ白な雪が付いて日本の山とは思えないような迫力です。
展望台からこれから向かう西穂山荘も見えましたよ。
西穂高口から西穂山荘へ
ほとんどの方は展望台からの絶景を楽しんでロープウェイで降りるようです。
登山口でちょっとした撮影会をしていましたが、どこかのブランドのウェアでも撮っていたのでしょうか?
トレースはしっかりついているのでラッセルの心配はなさそうですが、今冬から新しく導入するLocus GearのCP3を少しだけ試してみました。
とは言え、あまりにも立派なトレースができていたので開始数分で再びしまってしまいましたが。1月2月の厳冬期で活躍してくれるでしょう。
それにしても大量降雪後の穂高の連嶺は見事としか言いようがありません。雪に厚みがないので晴天が続くと溶けてしまいそうな雪ではありますが、初めて見る西穂高岳の稜線は圧倒的な存在感で私を迎えてくれました。
昨日は吹雪で相当寒かったはずですが、それでも登山をしていた人はいるようで、下山する方と何名かすれ違いました。山荘の方も下まで降りて来て赤旗やピンクテープを付けてくれたようです。
ラッセルはお互い様とは言え、トレースがある場合は感謝の気持ちを忘れないようにしたいものです。
登山口から山荘までは山小屋が営業していることを加味しても、まず迷うことがない程度の目印がありました。これなら吹雪いていても安心して山荘まで登って行けそうです。
荒天直後の晴天では短い時間しか見ることのできない雪のオブジェに出会うことも。
美しい雪の造形を楽しみながら山荘までの道を歩いて行きます。時間にして1時間半程度ですし、冬の西穂高岳が人気である理由がわかった気がします。
西穂山荘
2367mにある西穂山荘に到着!山荘にもびっしりと着雪しており、先日までの降雪の強さを感じます。
西穂山荘といえばラーメンが有名ですよね。こういった山小屋の中で食べるラーメンとしては非常に美味しかったのですが、麺がじゃ〜っかん半生でございました(汗)
西穂山荘で幕営
昨日の土曜は吹雪の予報でしたし、西穂山荘でも氷点下10度程度まで冷え込んだはず。それでもテントを張っていた方達がいたようで、感謝しながら幕営跡地を使わせていただきます。
今日は私一人かと思っていたところ、後から4人組のグループがいらっしゃいました。実はこの後、夜になってTwitterを見ていたところ、フォロワーさんが西穂に来ているとのこと。山小屋泊の可能性も考えつつ、しかし年齢的に間違いなさそうということでお声がけしたところ、やはりフォロワーさんでした!
山でTwitter友達にお会いするのはかなり久しぶりでしたので嬉しかったです。
出発する頃には少しガスってきてしまいましたが、今日は完全に高気圧に覆われているので晴れると信じて独標へと向かいます。
どうやら西穂山荘くらいの標高まで雲が上がって来ているようですが、2500mあたりから上はしっかりと晴れていました。
右下に小さく登山者が写っていますが、こうして見ると山の大きさ、稜線の美しさが際立ちますね。西穂登山では背後に乗鞍岳と焼岳が、左右に霞沢岳と笠ヶ岳がそびえていて圧巻の展望を楽しむことができますよ!景色はすごくいい場所だと思います。
なだらかな稜線を歩き、西穂独標の直下まで来ました。
独標は少し岩が露出しており、傾斜があるのでアイゼンを効かせながらしっかりと登って行きます。
西穂独標(2,701m)
西穂独標に登頂しました!
独標からは見上げるようにピラミッドピークや吊尾根がそびえており、実に見事な景色です。
今日は奥丸山に行こうか悩みましたが、笠ヶ岳と穂高の間にある谷(槍平)は北アルプス屈指の雲海スポットであり、特に夕方になると雲海が高頻度で発生します。奥丸山は案の定雲の下なので、こんなに晴れ渡っていても、もし奥丸山を選んでいたら「ガスっていた」ということになっていました。
奥丸山はそういった意味で、登る日が非常にシビアな山なので難しい。
西穂独標から眺める霞沢岳は圧巻の大展望。
霞沢岳は200名山に選ばれていますが、どう考えても100名山に選定されるべき山だと個人的には思います。どっしりとした山容に美しい景観を持つこの山を眺めるには、西穂は最適な場所かもしれません。
実は霞沢岳はまだ登頂しておらず、K1ピークまでしか行っていないので、そろそろ登頂したいと思っていますが、行くなら厳冬期がいいかなと思っています。
独標から眺める夕景
美しい夕日を眺めつつ、幕営地に戻ってゆっくりします。西穂独標から眺める乗鞍岳への稜線も最高ですね。
2日目も西穂独標へ
2日目の朝も独標へやってまいりました。この時期は八ヶ岳あたりから太陽が登ります。黄金に輝く穂高や八ヶ岳が美しい。
白山の目の前に大きな湖があるなと眺めていたら雲海でした。おそらく高山市がある盆地かと思いますが、今思い返すと、高山盆地にはいつもこんな風に雲海が溜まっている気がします。
雲海発生のための条件が揃っていますので、高山市は曇りのことが多いのかもしれませんね。
こちらは日本の標高トップ3の面々が揃っています。富士山から甲斐駒ヶ岳、北岳や間ノ岳は北アルプスから眺めてもよく分かります。
こちらは西穂独標からピラミッドピークへ向かうための下り道。
雪山登山の教本などで初心者にもおすすめとして紹介されることがある西穂独標ですが、吹雪でもない限り、アイゼンがしっかり使える方なら問題なく登ることができそうです。独標から先はもう少し傾斜が強く、厳しい場所もあるようなので、そこは経験などを踏まえて判断されるのがよろしいかと思います。
こちらが西穂高岳の山頂です。穂高の写真を撮っている私ですが、飛騨側の写真に厚みがなく、西穂関係の写真をもう少し揃えたいと思っており、おそらくこの厳冬期に再び登りに来ると思います。
下山
独標で写真を撮り終え、西穂山荘でテントを回収して足早にロープウェイ乗り場まで戻って来ました。公共交通機関での西穂登山は移動の制約が大きく、特に平湯から松本までのバスが結構シビアですので、事前にしっかりと計画を立てておくほうが良いでしょう。
普段は登山後に温泉などあまり寄らない私ですが、新穂高”温泉”に来たからには温泉に入りたい!ということで予定より1本早いロープウェイを目指して駆け下りて来ました。
こんな風にロープウェイで標高を稼ぐことができる新穂高ロープウェイには感謝しかありませんね。登山をせずとも展望台から景色を眺めるだけでも十分価値があると思います。
中崎山荘は月曜定休…
さあ!無事に下山したので後は温泉に入るだけだ!ロープウェイを降りてすぐのところに温泉があるなんて最高だな!
そう思っていたのですが、願いは砕け散りました。
月曜定休ってマジ??
他にもホテル穂高も日帰り入浴できるのですが、13時〜15時のみということで利用はできず。
10分歩いて深山荘へ
新穂高温泉から10分ほど歩くことにはなりますが、深山荘(しんざんそう)は日帰り入浴可能とのこと!これは行くしかないということでやって来ました。
日帰り入浴500円で最高な露天風呂が利用できますが、内湯はなくてシャワーなどもありません。登山後の体で若干の罪悪感を覚えつつも、露天風呂を利用させていただきました。
マジで最高の温泉でございました。月曜日に下山した場合はこちらを利用すると良いと思います。
ただ残念ながら深山荘にはバス停がないので新穂高温泉まで戻ることに。その苦労を差し引いても良いお湯でしたので後悔はありません。この後はバスに乗って平湯を経由して松本まで戻り、松本から特急あずさで新宿に戻って登山完了です!
撮影機材
11月末の西穂独標登山について
11月末というのは北アルプスの降雪量が年により大きく異なります。2021年は雪が多い当たり年ですが、暖冬だと積雪が少ないことも。
初冬と厳冬の狭間の時期ではありますが、基本的には厳冬期を想定すべき。アイゼンやピッケルが必須なのはもちろんですが、降雪直後ではワカンがないと厳しい場合もあります。西穂は登る人が非常に多いので、ラッセルをする機会はあまりないかもしれませんが、降雪の状況や登る曜日をよく考えて装備を検討したほうが良いですね。
最低気温はマイナス10℃から最高気温0℃程度で非常に寒い時期となりますので、厳冬期用のインナー・フリース・ダウンをお忘れなく。
Youtube動画
Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=UJD7-ndVkTA
今回の登山はYoutube動画にもアップしていますので、ぜひ合わせてご覧ください!
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