この記事は「日帰り登山からテント泊登山にステップアップしたい」「テント泊登山興味あるけどハードルが高そう…」そんな方に向けた記事です。
わたしは、胸を張って言えます。
“山でテントを張って過ごす時間は最高だ”と。
私の登山を振り返ってみますと、そのほとんどがテント泊登山です。
私は山でテント泊をするのが大好きで、それはテントに泊まるのが好きということもあるんですが、なにより山で泊まることで見ることのできる景色がグンと広がるからなんです。テントを担ぐのは重いですが、テント泊登山には他にない魅力が溢れています。
そんな楽しい山でのテント泊。これからテント泊登山を始めたい方が「用意すべき持ち物」と「知っておくべき基本事項」を網羅的にお伝えできればと思っています。この記事でテント泊のイメージと楽しさが伝わり、テント泊登山の後押しになれば幸いでございます。
テント泊装備を揃えよう!
山でのテント泊は装備さえ揃えてしまえば、それほど悩むことはありません。後は勇気をもって一歩踏み出すだけ。そんな山でのテント泊に必要な装備をご紹介していきたいと思います。
全体像はこんな感じです。
山でテント泊をするにはテント(+ペグ、張綱)、マット、シュラフ、テントライト、防寒具、調理道具などが必要になってきます。
それぞれ細かく見てみましょう。
1. テント本体(インナーテント+フライシート+ポール)
テント選びでまず気にしたいのはその構造。テントにはシングルウォールとダブルウォールという種類がありますが、春、夏、秋山テント泊ではダブルウォールの方が便利(結露やらの問題で)なので、こっちをチョイスします。
ファミリーキャンプなどで使うテントではなく、アウトドアショップで登山用として売っている物を選びましょうね。山岳テントのブランドとしては、モンベル、アライテント、MSR、ヘリテイジ、ニーモ、ダンロップ、ファイントラック、ノースフェイス、プロモンテ・・・かなりあります。
どこのメーカーであれ、たいていテントを買えばインナーテント、フライシート、テントポールが付いてきます。
テントの構造
インナーテントとはテントの骨格となる布で、テントポールを引っ掛けたり通したりすることで空間を作ります。
そこに雨風を凌ぐためのフライシートを被せる事でテントとして機能するようになります。フライシートは別売のテントもあるので、買う時に「何が含まれている値段」なのか忘れず確認しておきましょうね。
二人用のテントがおすすめ
一人用のテントはかなり狭いため、わたしは二人用テントを使っています。二人用と聞くとかなり大きいのでは?と思いがちですが、そうではなくて、「二人用こそが一人で快適に使える広さ」だと思ってもいいんじゃないかと私は感じています。
一人用テントのメリットはめっちゃ混んでるテント場でスペースを取らないくらいでしょうか?写真は二人用テントの内部ですが、一人用だとずっと狭いですからね、かなり窮屈です。
強い雨風が吹いてテントが揺れる時、テントが広い事でテントの揺れを感じることなく寝る事が出来ます。狭いテントだとテントのウォールがシュラフに当たってウザったい上に、結露(テント内部が濡れる事)によるシュラフの濡れも気になります。
2. ペグ(8本~15本)+張り綱
ペグには様々な種類があり悩ましいと思うのですが、実はあまり難しく考える必要はありません。100均で売っているような柔いものでなければ大体用を成してしまいます。
プラスチックではない金属製で、形状はY字やV字など抜けにくい物を選びましょう。よく分からなければ、私の経験的にY字ペグでいいかと。抜けた事なんて一回もありませんからね。
ちなみに、ファミリーキャンプで使うペグ用のハンマーは不要です。
テント場でのペグ事情~地面に刺すVS.岩で固定~
山のテント場では、そもそも「ペグを刺せる土」が無い場合が多々あります。
北アルプスの涸沢なんかはその代表ですね!岩の上にテントを張るような場合、あるいはテント場の土がほぼ岩のような硬さでペグが刺さらない場合など。
“ペグが刺さらない!”・・・そんな時は張綱(はりづな)と呼ばれるテントを固定するロープの先を岩に周回させ、岩の重りでテントを固定します。張綱には自在金具という張綱のテンションを調整するアジャスターが付いているので、これを利用して張綱の長さや張り具合を調整してやります。張綱はギターの弦の様に「ピンッ」と張っていないと意味がありません。たゆんでしまっているとテントを固定する力が弱いからです。
張綱はポールと平行になるようにしてピンッと張るのがコツです。四方から均等にテンションをかけることで、どの方角から強風が吹いてもテントが耐えられるからです。このバランスが悪いと、テントを固定する力にバラツキが生じ、最悪テント倒壊に繋がるので、テント設営に慣れるまでは張綱での調整をしっかり行いましょう!
山でのテント泊でペグは超重要
山のテント場では信じられない位の強風が吹くものです。特に夜間は山谷風と言われる山からの吹き降ろしが強烈。
“昼間はそよ風だったのに夜は暴風だった”というのはよくある話ですね。
そんな強風に耐えるために、テントが吹き飛ばないために、張綱をペグでしっかりと固定し、テントを守りましょう。
ペグを設置するポイントは図を参考にしてください。
- 【必須】インナーテントのフロアの隅(4本)
- 【必須】フライシートの隅(4本)
- 【推奨】フライシートの側面(3本)
- 【選択】前室(2本)
こうして見ると、ペグは最低でも8本は持参した方がよく、できればフライシート側面も固定した方がいいです(特に雨天時)、さらに前室(テント入口に設置する小スペース:靴を置いたり調理したりする)も作るとなると12~13本のペグを使用することになります。
ペグの本数については慣れると省略できますが、はじめは全てのペグを設置することをおすすめします。そうすることで各場所のペグの役割を理解できますし、何より強風や大雨に遭遇してもテントが壊れないよう万全を期すべきだからです。
とは言え、最近私はペグを6本くらいしか使わないことが多いですね。慣れと天候によって本数は臨機応変に変えていきましょう。
ペグは100均の筆箱やポーチなんかに入れると収まりがいいと思います。
張綱(はりづな)はAmazonで買ってもいいですが、知識を付けるためにアウトドアショップ(モンベルや好日山荘)で「はじめて山でテント泊をします。テントは〇〇を使う予定で、張綱を買いたいです。」と言えば「一辺が〇mで4本分」など必要な長さを店員さんがアドバイスしてくれます。
張綱はアウトドアショップで必要な長さを切って買うスタイルなので、この知識無くしてお店にいくと「張綱がどこにも売ってない」となっちゃうかも。店員さんに相談しちゃうのが一番ですね。
3. テントライト
テント内にぶら下げるライトのことです。無くてもヘッドライトがあれば作業はできますが、有った方が調理するのにもスマホいじるにも絶対便利ですよ!大した重さじゃありませんから。
4. ヘッドライト
日帰り登山でも持っておきたいマストアイテムのヘッドライト。テント泊なら絶対に必要です。登山において最も重要な装備の一つですね。テント泊登山では、もしかしたら予定通りテント場に着けないかもしれません、ご来光を見にちょっと夜中に移動したくなるかもしれません。ましてや夜中にトイレに行く場合にヘッドライトは必須です。
ヘッドライトと予備電池は絶対にケチらない
ヘッドライトは単四電池3本程度で動く場合がほとんどで、絶対に予備の電池も携帯しましょう。私は常に予備電池を6本程度持っていて、暗くなることが想定される場合はポケットに入れておきます。ヘッドライトは遭難した時に貴方の命を救ってくれるかもしれない超重要アイテム。電池切れなんてもっての他なのです。山に行く前に動作確認もお忘れなくです。
テント場のマナーについて
山でのテント泊では皆さん寝るのが超早いです。8時には誰もライトを点けてない(=寝ている)ということはザラ。私は夕景を撮ってからテントに戻るので一番遅い部類の人間ですね。
上述した張綱はライトを反射する素材でできているので、暗闇で照らすとその存在が分かるようになっています。夜間に移動する場合は他の人の張綱に足を引っ掛けてたゆませてしまったり、寝ている人を起こさないように気を付けましょう。
他に、テントをヘッドライトで照らすとまぶしいので、寝静まった暗闇でヘッドライトを使う時はその辺り気を使ってあげるといいと思います。
5. マット+ピロー(枕)
マットを敷くことでゴツゴツした岩場を快適なフロアに、地面からの底冷えから身を守る役割がありあす。テント泊登山では通年必要な装備となります。
登山マットについてはサーマレストというメーカーが圧倒的に有名で多くの人が使っています。私もそんな一人。マットには色々な厚さがあり、R値としてあらわされますが、夏山登山ではあまり気にする必要がなく、薄いもので大丈夫。晩秋や雪山登山を始める時に分厚い物を買い足せばいいでしょう。まずは汎用性が高い物を一つ買うといいと思います。
マットにはウレタン系のクローズドセル(空気が無いタイプ)とエアーマット(空気を入れるタイプ)がありまして、まずはクローズドセルがいいと思います。エアーマットはパンクすると役立たずとなってしまうからです。
エアーマットではモンベルのコンフォートシステムがおすすめ。マットとピローを一体化することができるので超便利です。枕は寝ている間にズレやすいんですよねー!これは経験したらお分かりいただけるかと。山あるあるです。
6. シュラフ(寝袋)
シュラフの選び方はこちらをご覧ください。
結論としては、夏山テント泊なら汎用性の高いモンベル#2番、晩秋~雪山なら#1が断然おすすめです。シュラフカバーは不要。モンベル以外のメーカーは使ったことがないので分かりませんが、一つ言える事は、基本的に初めに買うメーカーと長い付き合いとなるので初めが肝心。実績のあるメーカー(モンベル、イスカ、ナンガ、タケモ)ならどこでも大丈夫ですよ!
7. 防寒具(フリース、ダウン、象足など)
登る時期によって必要な物は異なります。難しいのは春~初夏で、下界では十分暖かいのですが、北アルプスなどではマイナスまで下がったりします。
そういった意味で、テント泊登山が初めての方は「高山植物が芽生える時期」が安全かなと思うんです。初春や晩秋はかなり寒いことがありますからね。特に晩秋はいきなり雪が降ったりするので要注意です。
夏山テント泊登山であればフリース+薄手のダウンで十分かと。モンベルのダウンで言えばスペリオダウンジャケットで十分。
初春(3月)や晩秋(10~11月)に山でテント泊をするのは、十分経験をつんでからでも遅くないはずです。この場合は象足や暖かいダウンが必要となってきます。装備類が一気に増えるので荷物が重くなるんですよね・・・。必要なダウンはアルパインダウンジャケットなど大型のものになります。
登山におけるモンベルブランドの立ち位置
ちなみに、私のウェア類はほとんどモンベルで統一しています。
よく「アウトドアのユニクロ」とか揶揄されていますが、機能面は全く問題ないです。むしろ海外のメーカー品は高すぎるんですよね。コスパが悪い。はじめてテント泊をする方には全く必要がありませんので、モンベルをおすすめしたいと思います。アークテリク〇とかマムー〇とか高い!!笑
8. コッヘル+ストーブ+カトラリー
コッヘルは中程度の大きさのもの一つで十分。料理に凝るのは登山に慣れてからにしましょう。フライパンを持って行って焼肉したり、鍋をしたりとバリエーション豊富な山メシ。これもハマると奥が深そうです。私は焼肉してビール飲むが大好きです。
シェラカップがあるとコーヒーのお湯を沸かすのに便利!
カトラリーはフォーク機能があるものが必須。スプーンだけだとラーメン食べられませんからね。要注意。
“とりあえず派”はSOTO、”いきなり本格派”はプリムスを
ソトのST-310というのは有名なストーブ(アウトドアの火器をストーブと言います。ヒーターのことではありません。)で、こちらは市販のカセットガスを使って火をおこします。100均とかで売っているあのカセットガスです。夏山であれば穂高岳でも槍ヶ岳でも問題なく使える優れもの。
一方、雪山登山では火力不足となるため「しばらく夏山テント泊しかしない」という片は、こっちのストーブがおすすめかも。万が一カセットガスを忘れてもコンビニで買うことができますから。私は長らく愛用していました。
登山界隈で一番見るストーブの一つがプリムスのP-153ですね。
超コンパクトなのが売りで、コッヘルの中に収納可能。カセットガスではなく登山用途のガスが必要なので選ぶ際のポイントになります。
P-153は点火スイッチが馬鹿みたいに使えないので、ライターを別途持って行く必要があり、そこだけが難点。それでも使う人が多いのはそのコンパクトな形からでしょうね。
9. 食料
1泊のテント泊であればお昼はパンで簡単に済ませ、夜はラーメン、カレーが王道ですよね!
1泊2日のテント泊登山【食料】のサンプル
菓子パン3つ(昼食)、アルファ白米1つ+レトルトカレー1つ(夕食)、インスタントラーメン1つ(朝食)、スティックコーヒー4本
(ビール1本、おつまみ少々)
(ホットワイン+チーズもメチャおすすめ!)
私のおすすめはこんな感じでしょうか?。
尾西のアルファ米は有名ですが、ぶっちゃけモンベルの白米の方が100倍美味しいです。やっぱり登山メーカーが作っているからか味がしっかりしています。
ちなみに私は最近アルファ米ではなく普通の白米を使っています。アルファ米高いんだもの・・・。山でお米を芯なく炊くのは難しいので、はじめはアルファ米がおすすめですよ。
10. プラティパス(水)
プラティパスとは英語でカモノハシと言う意味です。
カモノハシの足に似た水筒のことですね。これに水を入れて持ち運ぶのが登山界のポピュラースタイルとなっております。
水は水と言っても真水のことで、ポカリなどの飲み水はナルゲンに入れましょう。プラティパスは中を洗いにくいので、真水以外いれるとカビが起きやすくなるためです。
水が補給できる山なのか事前に調べよう
山小屋併設のテント場なら良いのですが、そうでない場合、登る山では「水が補給できるのか」を事前に必ず調べましょう。山小屋併設であれば、無料/有料の違いはあれど、水を分けてもらえないという事は基本的にありません。
山の中に川がないという事はあまりないと思いますが、登山道やテント場近くにはないケースもかなりあります。夏は水が採れるけど秋には涸れるという例もおおいので、事前にネットなり経験者なりに聞いておくことが重要ですね。
水に関して私のおすすめは、下界から飲み水1L+予備水1Lを運ぶことです。絶対に水が取れると分かっている場合は飲み水だけでもいいかもしれません。こうすればとりあえず何とかなるでしょう。
滑落事故の多くは脱水症状によるらしい
どこかの山小屋のポスターで見たのですが、滑落事故の多くは脱水症状による注意不足、集中力切れから起きていると書いてありました。
その意味において、ポカリスエットなどイオンを補給することはとても重要です。登山においては真水より体に良いので、私は行動水にポカリスエットを飲んでいておすすめです。ポカリの粉は1個単位で売っていますし、邪魔になりません。
11. その他
テント泊に限らない物もありますが、他に必要な物を挙げてみます。
- モバイルバッテリー(1泊なら2000mAで十分)
- ファーストエイド(絆創膏、頭痛薬、解熱剤、下痢止め)
- 救命ホイッスル
- 地図やコンパス
併せてコチラの記事も読んでいただくと、さらにイメージしやすくなるかもしれません。
行動食
行動食でたまに質問をいただくのですが、難しく考える必要は無くて、定番のミックスナッツ、チョコレート、飴、ドライフルーツなどお好きな物を持って行けばいいと思います。
私はたいてい飴1袋+ドライフルーツですね。2泊以上の縦走ではドライフルーツにミックスナッツを追加します。ナッツ類は高カロリーですが、含まれる重油は分解されてエネルギーになるまで時間がかかります。死ぬほど疲れてから食べるのではなく、”ちょいちょい”食べるのがコツですので、意識してみてくださいね。
テント泊登山の基本的な流れ
難しい事はありません。日帰り登山+テントの設営/撤収が加わるだけですね。
- 登山
- テント場に到着
- 山小屋に支払い(山小屋併設だと大体有料)
- どこにテントを張ろうか偵察
- テント設営(①インナーシート広げて、②ペグで固定して、③ポールでテントを立てて、④フライシート被せて、⑤張綱とペグで固定)
- テント証をテントの見えるところに付ける
- 水の確保
- コーヒー一服
- 夜ご飯
- 寝る前のお手洗い
- 就寝
- テント撤収
- 下山
テントを張る場所は「平ら」ならどこでも大丈夫。日陰が良いとか、いびきをかきそうなおっちゃんの横は嫌だとか、山ガールがいないかな?とか・・・テントを張る場所が「平ら」であるかどうかに比べたら些細な問題です。
凹凸がすくない場所、できれば人の往来が少ない所を選んでテントを張りましょう。
テント泊登山で気を付けるべき3つのポイント
ここまででテント泊登山で必要な物と流れを意識していただけたかと思います。次は日帰りテント泊登山で気を付けるべきことを列挙してみたいと思います。
1. どの山に登ってテント泊をする??
日帰り登山とテント泊登山で大きく異なるのは山の中にいる時間が格段に長くなるということですね。それ故に見える景色も大幅に増えるわけですが、リスクも大きくなります。
まず、山でのテント泊をこれまで全くしたことがないという人は、以下の事に注意してみてほしいと思います。
- 時期は夏山、人気のあるテント場を選ぶ。
- テント場までコースタイムが短い山を選ぶ。
- 標高が高い山では、テント場まで縦走する必要がない山を選ぶ。
- 山小屋併設のテント場を選ぶ。
- 午後3時までにはテント場に到着する。
はじめてのテント泊で雪山に臨む人はいないと思いますが、時期としては夏山がおすすめです。
夏山のテント泊はいいですよー!運が良ければテント場すぐ目の前に雲海が広がるかもしれませんね。
北アルプスのように標高が高い山であれば、いきなり縦走を考えず、登山口から真っすぐ行けるテント場がいいでしょう。いきなり大天井岳よりは燕岳の方がいいという感じですね。
人気のテント場が良いのは問題があった時に周りの人に相談できるからです。山は下界と違い「隣人と気軽に話せる」場所。すれ違ったらこんにちは、テント場でもこんにちは。困ったら素直に相談しましょう。すぐ近くに山小屋があるテント場が初めはベストです。実はこれ、結構大きな意味があるんです。
- トイレの心配がない。
- 水の心配がない。
- 売店があり、食べ物が売っている。
ビールが売っている。- 万が一の時、山小屋に逃げ込める。
テント泊登山では考えるべきことが多いので、初めのうちは”何かしらミス”を犯してしまう事もあるかと思います。そんな経験が人を強くするのと思うのですが、できれば心配なくテント泊を楽しみたいもの。山小屋があればトラブルがあってもとりあえず何とかなります。
例えば北岳山荘は収容人数が多いので宿泊に事前予約が要りません。つまり万が一の時に山小屋泊に変える事が可能。山小屋すぐ脇にテント場があり、北岳も間ノ岳もまあまあの距離。水あり、ビールあり、人も多くて安心です。
2. 山の天気を読む力
テント泊をするということは、最低でも2日以上山の中にいることになります。日帰りでは高気圧に覆われて快晴でも、次の日には大荒れの天気となる場合もあります。
それまで日帰り登山が中心だった人は、快晴の条件でばかり登山をしていたという人も少なくないはずです。山の中で雨に打たれたことが無いという人もいるかもしれません。
山に登るのであれば、とくにテント泊をするのであれば山の天気を勉強することが安全性を高める第一歩。とは言え、いきなり詳しくなれるわけでもありませんので、まずは山専門の天気予報であるヤマテンに加入しましょう。的中率ハンパないです。
山の天気を学ぶのにおすすめの書籍
ヤマテンの代表である猪熊さんの書籍「山岳大全シリーズ、山岳気象大全」は、これ以上に優れた山岳気象の本は無いのでは?と思わせる名著だと思います。初心者でも一から山の天気を学べて私は何度も何度も読んでますね。
荒天時のテント泊
テント泊で一番怖いのは、いきなり大雨になったり吹雪いたり強風にあおられる時です。荒天時にテント泊を余儀なくされることもありますので、重要な心構えをお伝えします。
強風時のテント設営
まず、風上がどちらかを正確に判断しましょう。
インナーテントをペグで固定することが先決。この時、風上側の2箇所をまずペグで固定して、インナーテントが風で吹き飛ばないようにします。次に風下側のペグを固定、インナーテントがガッチリと固定されたことを確認します。
次にザックをテントの中に入れます。ポールを立てる前にザックをテントの中に入れるんです。こうすることでテントが吹き飛ばされるリスクをさらに小さくできます。
次はポールを立ててテントを起こし、すぐにフライシートを取り付けます。この時も風上側からフライシートのバックルを締めることで、風で煽られないようにします。インナーテントがペグでしっかりと固定され、中にザックがあればテントは簡単には壊れませんので安心してください。
最後に張綱を風上側から取り付け、設営完了です。お疲れ様でした。
大雨の時のテント設営/撤収
できるだけザックやテントが濡れることを避けたいので、風が弱ければペグ優先ではなく、設営速度を優先します。インナーテントを広げてすぐにポールを立て、可能的速やかにフライシートまで設置し、すぐにザックを中に投げ入れます。
テントを設営する間はザックが濡れないようにザックカバーをかけるのはもちろんの事、折り畳み傘やレスキューシート、大き目のゴミ袋の中にザックを入れておくのも手です。個人的には大き目のゴミ袋がおすすめ。濡れたテントを撤収後にしまう事もできるので、大き目のゴミ袋を2枚は持参しましょう。
撤収時が大雨の時は、テントの中ですべての荷物をザックの中にパッキングして、後はテントをしまうだけの状態にします。ザックはゴミ袋の中に避難して、テントから出たらすぐにテントを撤収します。テントが濡れていることは構わずにスタッフバッグ+ゴミ袋に突っ込んでザックに収納します。
大雨の時は「いかに装備を濡らさないか」が肝です。
大雨+強風の時はどうしたらいいか?テント泊に慣れていない間にそんな過酷な条件でテント泊するのは止めておきましょう。焦らず、少しずつ経験値を積むことが重要だと思います。
3. テントを担いで最後まで歩き切る体力
テント泊になれないうちは縦走登山ではなく、登山口⇒テント場⇒登山口とテント場までの往復にした方がいいと思います。それでも「山でテントを張るのだし、せっかくなら縦走してみたい!」といつしか必ず思うようになるのが山です。テント泊ができるようになると歩ける山域がグッと増えるので楽しいですもんね!
登山においてもっと重要な事
私が思うに登山で最も重要なことは「体力」です。どれだけ高級な装備を身にまとい、知識を詰め込んで登山に備えても、体力がないと何にもなりません。その辺の街で売っているレインウェアでも体力があれば雨の山をケロっと歩けてしまうかもしれませんが、逆もまた然りではないと思っています。
山の中で安全に気を配るのはもちろん重要なのですが、この意味において「日頃から体を鍛えておく」ことがすごく重要だと思うんです。私は仕事をしながらでも週に何日かランニングをして、筋トレもしています。撮影機材も相当な重量なので、体力が無いとテント泊縦走登山は叶いません。装備にこだわるのも良いんですが、まずは体、体力が資本。登山とは自分一人の力で自然に挑み、無事に帰って来ることができてこそです。
テント泊登山に挑戦する場合は、ぜひ体のメンテナンスをお忘れなくです。
テント泊だからこそ出会える「山の絶景」
朝焼け:南アルプス 仙丈ヶ岳
モルゲンロートと呼ばれる、山が赤く染まる現象。寒く厳しい夜を耐えてこそ、山の上には信じられないような美しい朝焼けが広がります。
雲海:北アルプス 大天井岳
辺り一面を覆い尽くす雲海は絶景の一言。ご来光とセットで一度でも見てしまうと、絶景に対する概念が覆されることと思います。
夕焼け:四国 剣山
世界が赤く染まる。夕焼けは時に劇的で、言葉にならない程に、表現ができない程に美しい。
星空:北海道 大雪山
“満天の星空が見てみたい” なら山に行くことです。テント泊とは、山で夜を過ごすこと。そこには、見たことがない美しい星空が広がっていますよ。
・・・テント泊の装備と注意事項、テント泊に行きたくなるような景色をご紹介いたしました。日帰り登山で鍛えた後は、必要な装備を揃え、ぜひ山でのテント泊を楽しんでいただければ、テント泊登山愛好家としては嬉しく思います。
疑問質問があれば気軽にコメントしてくださいね。
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コメント一覧 (2件)
はじめまして。
テント購入を検討しているので色々な方のブログを参考にさせて頂いております。皆様、王道テント(モンベルやアライ)をオススメされる方が多いのに、実際ご自分が使っているテントは違う物だったりする事が多いのは経験を踏まえた上でのこととなのですか?大人の事情があるのですか?eurekaのテントをお使いのようですが、候補に入れ検討したいので、使う方の山行スタイルや経験もあるので一概に勧められないのは承知の上ですが、どのようなテントか教えて頂けるとありがたいです。
コメントありがとうございます(๑´ڡ`๑)
まず、私の場合は自転車で日本一周していた過去があるため、Eureka!のテントを使っていました。これは日本一周にスポンサーがついていたことと関係しています。その上で、現在は以下の記事でも書いている通りエスパースのテントを使っています。雪山の記事で書いていますが、夏山でもこのまま使う予定です。すごくいいテントだと思っています。eurekaは私が知る限り、現在、日本の代理店が空白のため、もしかしたら入手しずらいかもしれません。eurekaはインナーウォールがメッシュであるため、夏場の登山ではとても涼しく非常に快適です。日本国内であれば、どのような状況でもいかなる山で使える性能を備えていますよ。モンベルのテントは皆が使っているので、テント場での被り率が尋常ではなく、山に行けば行くほど嫌になると思います。また、モンベルのウェアはコスパに優れとてもおすすめですが、テントはつくりも値段も中途半端な印象なのであまりおすすめしません。アライテントは入り口が狭い側なのでザックを入れるのが億劫になると思います。そんな意味でも、eurekaはかなりいいのですが、入手困難であることと、雪山では使えないのが難点です。そういったいみで、もし雪山もお考えであればエスパースを強くおすすめしたいと思います。
https://kiyomiya-yamaphoto.com/mountaineering-gear/tent-for-snowscape