登山で使うモバイルバッテリーを再考します。
と、言いますのも、アップルウォッチを含めてスマホ以外にも充電が必要なデバイスを持っていくのが当たり前になりました。スマホだけならアレコレ考える必要がないものの、アップルウォッチや動画用ジンバルカメラまで持っていくとなると考え方が変わってきます。
以前の記事で10000mAhあれば十分という話をしているのですが、事情が変わってきたため、いくつかのパターンに分けて必要なモバイルバッテリーの容量について再検討したいと思います。
使っている電子機器の充電容量を計算
前提として、使っているデバイスにより参考となる電池容量は異なります。私の場合は「iPhone12」「Apple Watch SE」「DJI Pocket2」を登山で使用。
それぞれの電池容量と日数別の合計は以下の通りでした。
デバイス | 容量 |
iPhone12 | 2800mAh |
AppleWatch SE | 300mAh |
DJI Pocket2 | 900mAh |
日数 | 容量 |
1日合計 | 4000mAh |
2日合計 | 8000mAh |
3日合計 | 12000mAh |
これらの機器を3日間使うと10000mAhを突破していることからも、2泊3日の登山ではややパワー不足。
3泊4日の登山となったらなおさらのこと。
また、実際の使用状況や外気温の影響により理論計算値より電力消費が大きい可能性も十分考えられますので、余裕を持って計算しておくのが良さそうです。
特に登山は寒い日の使用も多いですからね。
20000mAhのモバイルバッテリーに移行
結論から言いますと20000mAhのモバイルバッテリーを購入して、今後はこちらをメイン充電器として使っていこうと思います。
では、この記事を見ている皆さんが20000mAhという高容量のモバイルバッテリーが必要かといえば、ちょっと待てよ…と。まずは自分が使っているデバイスの充電容量と日数ごとの必要mAh(ミリアンペア)を計算してみましょう。
例えばiPhoneでもiPhone7とiPhone13ProMaxでは必要容量が全然違います。調べればすぐ出てきますので、ぜひ計算してみてください。
10000mAh VS. 20000mAh
「お前が10000mAhで充分だというから10000mAhのモバイルバッテリーを買ったのに!!」と言われてしまうと身も蓋もないのですが、ちょっと落ち着きましょう。
どの程度の容量のモバイルバッテリーが必要かどうか、これは登山スタイルに大きく依存します。
1泊2日の登山が基本なのか、日帰りが多いのか、はたまた2泊3日できるのか。
特に2泊3日する場合は余裕のある容量を選びたいところ。私は今後2泊の登山を増やしていきたいと思い、容量の大きなモバイルバッテリーを追加で購入した次第です。
2泊3日で複数デバイス充電なら「20000mAh」
再び結論です。
『2泊3日で複数デバイスを充電するなら20000mAh欲しい』と思うわけです。
iPhoneだけなら2泊3日でも10000mAhで十分ですが、私が使っているDJI Pocket2は動画撮影という性質上、電池消費が激しい。
Apple Watchの電池消費量は小さいのでオマケみたいなもの。一方、動画も撮るのであれば容量の大きなモバイルバッテリーが有効。13000mAhなど中間の容量も売っていますが、重さと容量のバランスを考えると中途半端。10000mAh以上が必要なのであれば、20000mAhあると安心です。
登山スタイルによるモバイルバッテリー容量
登山スタイル | スマホのみ | 複数デバイス |
1泊2日 | 8000mAh | 10000mAh |
2泊3日 | 10000mAh | 20000mAh |
3泊4日 | 13000mAh | 20000mAh |
これは本当に「あくまで参考」として考えてください。
例えばテントや山小屋でスマホをいじりまくって電池を消費すればもっと必要かもしれませんし、夜はすぐに寝てスマホは最小限しか使わなければ余裕かもしれません。
とは言え「登山用にモバイルバッテリーを新調するけど間違って何度も買いたくない、でもなるべく軽い物がいい」というのが心情ですよね、わかります。
なので、基本は上の表を参考にしてもらえば大間違いは回避できるはずです。
厳冬期の登山では電池の消費が激しく、モバイルバッテリーのパワーも著しく下がります。
思っていた以上に充電できないという事態もあり得ますので、夏山登山より余裕をみて充電容量を計算するのが◎
10000mAh 2台 VS. 20000mAh 1台
「10000mAhのモバイルバッテリーを2つ持つ方がリスク分散となって良い」そんな考え方もあります。
実際、私は8000mAhと5000mAhのモバイルバッテリーを2つ使うこともありました。
山の中でモバイルバッテリーが故障したり、紛失したり、思わぬトラブルがあった際の保険になりますね。
結論:Anker PowerCore Essential 20000mAh
20000mAhのモバイルバッテリーを調べると必ず行き着く製品。
言われずとも使っているという方が多いかもしれません。
ブランドはAnker(アンカー)。
Ankerは中国のメーカー。日本で年間200億円以上売っているバケモノメーカーです。ええ、日本はこの分野で完全にやられてしまっているんですね。悲しい。。。
重量 約340g
メーカーデータで343g、私の実測で342gとほぼ同じ数値が出ました。
モバイルバッテリーとしては、やや重たいと愚痴も言いたくなりますが、それでも今の時代の恩恵を受けていますしね。この重さで20000mAhなら製品としては素晴らしいと思います。
4段階バッテリー残量インディケーター
バッテリー容量は青いインディケーターで4段階の確認が可能。
出力 USB-A 2ポート
デバイスへの充電(アウトプット)はUSB-A(USB Type-A)2ポート搭載。
これが素晴らしい。
例えばiPhoneとAppleWatch、iPhoneとDJI Pocket2など2つのデバイスを同時に充電できるのはとても便利。特に山の上ではこの機能は重宝しますね。
入力 microUSB / USB-C
モバイルバッテリー本体の充電(インプット)はUSB-C(USB TYP-C)とmicroUSBの2種類に対応しています。
これもまたユニークですね。
従来のモバイルバッテリーはmicroUSBで充電するものがほとんどでしたが、時代はUSB-Cへの転換期を迎えておりますので、素晴らしい配慮だと思います。
本体の充電に時間がかかる
20000mAhという大容量のモバイルバッテリーですので、本体をフル充電するのにそれなりに時間がかかります。
環境にもよりますが、0%からの場合は5時間以上にかかりますので、登山の前日までにしっかり充電しておきましょう。
充電ケーブル
出力はUSB-Aが2ポート付いていますが、充電するデバイスの充電端子をしっかり把握して、充電ケーブルも忘れないように気をつけましょう。
iPhoneとAirPodsはLightningケーブル。
DJI Pocket2はUSB-C。
Apple Watchは専用の充電器。
この時点でケーブルも3種類持っていく必要があり、やれやれといった感情が芽生えることも・・・。
Ankerのモバイルバッテリー容量/重量 比較
種類 | バッテリー容量 (mAh) | 重量 (g) | ポート数 | 特徴 |
Anker PowerCore Ⅲ Elite 25600 | 25600 | 568 | 3 | 高性能だが登山には微妙… |
Anker PowerCore 20100 | 20100 | 356 | 2 | 古いモデル(2015年発売) |
Anker PowerCore Essential 20000 | 20000 | 343 | 2 | 万能なバランス型 |
Anker PowerCore Essential 20000 PD 20W | 20000 | 346 | 1 | 高速充電だが1ポートのみ |
Anker PowerCore Ⅲ 19200 60W | 19200 | 422 | 3 | 高性能だが登山には微妙… |
Anker PowerCore Slim 10000 | 10000 | 206 | 1 | 薄くて軽い標準タイプ |
Anker PowerCore Fusion 10000 | 10000 | 278 | 2 | USB充電器として使える(神) |
Anker PowerCore Ⅲ 10000 Wireless | 10000 | 243 | 2 | ワイヤレス充電可能 |
Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W | 10000 | 194 | 1 | 10000選手としては最軽量 |
※1 バッテリー容量が大きいほど:たくさん充電できます。
※2 重量が軽いほど:登山には向いています。
※3 ポート数が多いほど:同時に複数機器を充電できます。
※4 Anker PowerCore Fusion 1000 はモバイルバッテリーとしても、AC充電器としても使えます=本体をコンセントに直接繋ぐことが可能です。
20000mAhならどれがいい?
「Anker PowerCore Essential 20000」と「Anker PowerCore Essential 20000 PD 20W」については『2ポート必要かどうか、1ポートだが充電速度が速い方がいいか』で選べばいいですね。
10000mAhならどれがいい?
電車や高速バスの中でUSB充電器として使いたいなら「Anker PowerCore Fusion 10000」はとてもいい選択肢。とにかく軽いものがいいなら「Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W」。とにかく安いものがいいなら「Anker PowerCore Slim 10000」となります。
まとめ
登山という行為自体はとても原始的なものですが、登山で利用される道具は年々アップデートされ、近代化されてきています。
アップルウォッチをはじめとして、登山にスマートウォッチを持っていくのも当たり前な時代となりました。
Youtubeチャンネルを持っている人は動画撮影する人も多いでしょう。
その場合は特に20000mAhのモバイルバッテリがー重宝します。
一方で、スマホ以外は山に持ち込まないという人もたくさんいる。
その場合は重いモバイルバッテリーが負担になります。他にも、トレランのように装備の軽量化が重要だという場合には少しでも軽いモバイルバッテリーが求められます。
他方で、遭難時のバックアップまで視野に入れるならある程度余裕のある容量が望ましい。
「最適なモバイルバッテリーの容量は状況により異なる」という身も蓋もない結論が導かれてしまう以上、この記事のような情報を参考に、自分の登山スタイルや行動パターンと照らし合わせて検証するほかありません。
使用するデバイスと登山日数で予測できるはずですので、その理論上の数値をもとに、あとは微調整していただければと思います。
カメラが趣味という方はカメラ用のバッテリーも携帯する必要があり、充電関係だけで荷物が重くなってしまうのがしんどいですよね。デジタル機器の宿命ではありますが、バッテリー切れほど悲しいことはありませんので、不安な方は多少余裕がある容量を持った方がいいかもしれません。
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