モンベルとナンガの3シーズン用シュラフを検討:水濡れに強いダウンシュラフ台頭の新時代到来

3シーズン用のシュラフに『モンベルのダウンハガー800 #2』をず〜っと使ってきましたが、250泊以上使っているので流石にヘタってしまい、3シーズン用のシュラフ買い替えを検討することに。

購入を検討しているのブランドは永久保証や水に強いことを推している「ナンガ」あるいは再購入で「モンベル」です。他にも各社アウトドアメーカーがシュラフを出していますし、大御所だとイスカもありますが、今回はナンガとモンベルに対象を絞ります。

シュラフを購入する際にどのメーカー・ブランドにしようか本当に悩ましいですよね。今回は数あるブランド中から、モンベルとナンガのシュラフで良いところとイマイチなところを比較していこうと思います!

目次

3シーズン用シュラフ「モンベル・ナンガ比較」

メーカーモンベルモンベルナンガ
製品ドライシームレスダウンハガー900#2シームレスダウンハガー800#2オーロラライト450DX
フィルパワー900FP800FP760FP
快適使用温度0℃0℃0℃
限界使用温度-5℃-5℃-5℃
重量702g677g865g
収納サイズ15×30cm15×30cm14×30cm
生地ゴアテックスインフィニアムポルカテックスオーロラテックス
値段54000円38000円39000円

こうして表にしてみると、値段からシュラフのスペックまで競合している両社の製品。

今回私が検討したいのは3シーズン+初冬(マイナス5℃程度)での使用を想定したシュラフですが、値段を考慮しなければモンベルのドライシームレスダウンハガーが圧倒的に際立っているように思いますね。

モンベルはシュラフの構造概念を覆すシームレスダウンハガーだけでなく、水濡れにも強い「ドライ」モデルまで出してきたことで、寝袋界隈を一歩リードしている印象。

モンベル「ドライシームレスダウンハガー900#2」

ダウンシュラフの概念を覆すような製品であり、値段がやや高価であると言うことを除けば基本的に欠点はない。

値段に関しても900FPの高品質ダウンを使用し、生地にゴアテックスまで使っていることを考えると決して高すぎると言う印象は受けません。

お金があるのなら、検討などすることなくこれを買っておけば良い気もしてきました。

ドライモデルで使用されているゴアテックインフィニアムウィンドストッパーファブリック(…長い)がどのような働きをするのか大変興味深い。シュラフを語る時にゴアテックスの名前が出てくる時代になりましたか。

ゴアテックスインフィニアム ウィンドストッパーファブリック
寒風や寒気をシャットアウトする万全の防風性と、衣服内にこもった汗の水蒸気をすばやく放出する優れた透湿性を併せ持つ防水仕様の素材です。衣服内の暖かな空気を逃さず、内側をドライに保つことができるため、高い保温効果をもたらします。生地表面には耐久撥水加工を施しています。メーカーHP:ドライシームレスダウンハガー 900#2

モンベル「シームレスダウンハガー800#2」

従来品と比べて”シームレス”ダウンハガーになったことにより、重量が軽く、撥水性が強化されるという進化を遂げたダウンハガー800#2。

厳冬期を除き初冬から残雪まで使える汎用性の高いモデルなので、幅広い用途で使いたい場合に間違いのないシュラフです。

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モンベルのシュラフは他社製品と比べて圧倒的にストレッチ性能が高く、寒い時にシュラフの中であぐらをかきながら暖を取ったり、食事を摂ったりすることが可能。少しでも荷物を減らしたい登山では重量が軽いのも特徴。

製品単体で見たときの欠点は特にないのですが、ドライモデルが登場したことで防水面で劣ります。生地にはポルカテックスという撥水性加工がされているようです。

ポルカテックス
撥水剤の剥離を防ぐ独自の技術により、従来の撥水剤の欠点であった磨耗や洗濯による撥水機能の低下を大幅に軽減した「耐久撥水加工」です。小雨程度なら難なくはじいて繊維の保水を防ぐだけでなく、汚れも付きにくくなっています。メーカーHP:シームレスダウンハガー800#2

生地であるポルカテックスの紹介を読む限り、小雨程度なら「難なく弾く」とあるため、後述のオーロラライトと比較して撥水性に違いはないのかもしれませんね。

ナンガ「オーロラライト450DX」

ナンガのシュラフをNANGA SHOP TOKYOで試着した際にまず感じたのが全体的なゴワツキ。防水性の高い生地を使っているからか、モンベル(シームレスになる前のダウンハガー)のシュラフと比較して固い印象を受けました。シュラフ全体が固いという事は、シュラフをスタッフバッグに詰め込む際に余計な労力に繋がりそう。

また、ほぼ同じような環境での使用が想定されているモンベルのシームレスダウンハガー800#2と比較して200gも重たいというのは無視できません。

防水性の高いオーロラッテクスを使用しており、シュラフカバーがない状態でも外部からの濡れに強いのが特徴ですが、モンベルがゴアテックスを使ったモデルを出してきたことで存在感がだいぶ薄れてしまいました。

一方で、生涯保証という響きは顧客ファーストな印象を受けて好印象です。ただ、モンベルの方が店舗数が断然多いので、修理に出しやすいのかと言われるとやや疑問です。

オーロラテックス
多孔質ポリウレタン防水コーティング加工を施したナイロン生地。防水性を高めると蒸気透湿性が低下するという問題を高レベルで解決した素材。2レイヤ地で20,000mm・透湿性6,000g/m2/24hrs、という高レベルの防水透湿性能を持っています。メーカーHP:オーロラライト450DX

NANGA SHOP TOKYOで店員さんの声を聞いてきた

モンベルのシュラフについては使用感について自信を持っていますが、ナンガについては完全な素人。

メーカーホームページを見ているだけでは「ぶっちゃけ」な部分が見えてこないと思い、目黒区にあるナンガのショップに行って試着&質問してきました。

清宮:オーロラライトを考えているんですが、これぶっちゃけ、シュラフの内部で結露しないですか?

店員さん:正直いうと、状況によっては結露します。

清宮:実は以前、モンベルのシュラフとシュラフカバーを使っているときにシュラフカバーが盛大に結露してシュラフがビショビショになったことがあるんですよね。防水性の高い生地ということで、どれくらい透湿性が高いのか気になってましたが、やっぱりシュラフ内で結露することあるんですね。

店員さん:ありますね。ただ、寝る前にしっかり換気するなどすれば基本的には大丈夫なはずです。

清宮:今モンベルなんですが、どういう人におすすめできます?

店員さん:もともとテント内の結露からシュラフをどうしても濡らしたくないというコンセプトから作られているため、とにかくテント内の結露に悩んでいる人ですね。

清宮:ビビィサックの使用を検討してまして。それでナンガさんのシュラフ良いんじゃないかと思って検討しているんですが、いかがでしょうか?

店員:その場合には非常に有効だと思います。

防水性の高い生地=内部結露の可能性

私が何を一番気にしているかというと、「防水性の高い生地を使っているシュラフでは、シュラフの内側で結露しませんか?」ということでした。

防水・透湿というのはいわゆるレインウェアのような構造なわけですが、外側の水を通さないということは、どうしても内側で蒸気がこもります。レインウェアを着ている時にインナーが濡れているのは雨が染みたわけではなく、自身の汗が内側にこもっているからなのと同じ理屈です。

この懸念は何もナンガだけではなくモンベルの(ドライ)シームレスダウンハガーについても同様です。

防水性シュラフが役立ちそうな状況とは?

モンベルのシュラフで何も不満がない私が何故ナンガのシュラフを検討しているのか?という大前提でもあるのですが、ビビィサックの導入を検討しているからです。ビビィサックというのは簡易シェルターのこと。

防水素材でできた寝るためだけのシェルターです。見ての通り、ビビィサックはどう工夫しても結露するような構造になっているため、結露に強いシュラフを検討しています。

ビビィサックでなくとも、1人用のテントを使用している人もナンガやドライダウンハガーの様に防水性の高いシュラフは心強い。

1人用テントって本当に狭いので、寝ている間にシュラフがテントの内壁に触れて結露で濡れてしまう・・・そんなシチュエーションは容易に想像が付きます。そうした不満を解消するために生まれたのが防水性の高いシュラフなんでしょうね(勝手な想像ですが)。

つまり、こういったシュラフが役立つのは「圧倒的に狭い」環境でシュラフを使う場合。そして、結露によりシュラフが湿ってしまう可能性が高い時だと言えます。それ以外の場合では、重たいシュラフを使うメリットはあまりありません。

山岳テント泊では荷物になるのでシュラフカバーは使わないという人も多いと思いますが、シュラフカバーを手放せない人も防水性の高いシュラフと相性が良さそうです。

まとめ

外部からの水濡れ防止をどの程度優先するのかで選び方が変わってきますね。どれくらい狭い環境でシュラフを使うかも重要。

私の場合で言うとビビイサックを本当に導入するかどうかで判断が変わってくると思っていましたが、選択肢がいずれも「水濡れに強いダウンシュラフの新時代」に突入しており、あまり考慮しなくても良さそうです。イノベーションに感謝。

総合的に勘案して、今のところ『モンベル・シームレスダウンハガー』が一番魅力的に思えますね。モンベルの「ドライ」モデルまで必要かと言われると何とも微妙。少なくとも2人用テントを使っている限りはオーバースペック。

ナンガは何かしらイノベーション起こさないと、防水性の高いシュラフというマーケットポジションをモンベルに喰われてしまいそう。一方で、おしゃれなモデルを探している方にはモンベルより断然ナンガなのかもしれません。

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