今回は夢も欠片もない、でもとっても重要である「社会人が会社を辞めて日本一周する」のに必要な年金の手続きをご紹介します。
(私はこの分野のど素人ですので、素人が調べた限りの話になります。詳しくは区役所や年金事務所に問い合わせてくださいね。)
厚生年金と国民年金
会社勤めの時は給料から天引きされていたので、意識することが少ない年金ですが、会社を辞めると否が応でも勉強して手続きしなければいけません。この辺のことに関していえば、会社勤めのありがたさを思い知りました。
正直、結構めんどいですが、そうはいってもやらなければなりません。どうせ手続きするのであれば、これを機に年金に詳しくなったほうが一石二鳥。
それでは、社会人チャリダーに必要な年金の手続きを具体的に見ていきましょう!
国民年金は国民の義務
まず大前提ですが、20歳以上の日本人は「全員が国民年金に加入している」ことになっています(実際には未納の人が40%程いるので全員ではありませんが、法律上は全員加入しているはず、ということです)。
これは国民の義務です。日本に住むなら無職だろうがチャリダーだろうが会社員だろうが全員払います。
え?俺は厚生年金だから国民年金じゃないよ?
っていうあなた!
(・・・私も会社勤めの時はそんな風に思ってました。)
実は、毎月の給与から天引きされている厚生年金には国民年金がしっかり含まれているので、会社勤めの人は毎月の天引きで国民年金も支払ってます。これが自営業の人は年金1階建て(国民年金)、サラリーマンは2階建て(国民年金+厚生年金)と言われているところです。
そして、この厚生年金というのは会社員が入れる年金制度であり、退職すると厚生年金制度から外れることになります。いつから外れるかというと退職日の翌日で、これを「厚生年金の資格喪失日」と言います。厚生年金から外れると国民年金の支払いも一緒に外れますので、自身で国民年金の支払い手続きをしなきゃいけません。
それでは、具体的に厚生年金から国民年金へ切り替えるのに、何をすればいいのか紹介していきます。
厚生年金からの脱退(厚生年金の資格喪失)
厚生年金からの脱退については、会社を辞めるときに案内される書類に記入するだけです。
会社を辞めて厚生年金から脱退すると「被保険者資格損失証明書」「離職票-1」「離職票-2」という重要な書類を受け取ります。これらの書類には厚生年金に加入していた時の保険者番号や退職日、厚生年金の資格喪失日などが書いあり、退職日や資格消失日の証明になります。後述する国民年金の免除申請やハローワークでの失業保険の申請に必要ですので、大切に保管しておきましょう。
国民年金への切り替え~第二号被保険者から第一号被保険者へ変更~
会社勤めで厚生年金に加入している人を第二号被保険者と言い、会社勤めではなく自営業やフリーランサー、無職の旅人などは第一号被保険者といいます。
会社を辞めると種別を変更しますが、厚生年金から国民年金への切り替えは「第2号被保険者から第1号被保険者への切り替える」ことで済んじゃいます。
手続きは住んでいる街の役所に行き、書類を記入するだけなので簡単です。
まずはご自身が住んでいる区役所のホームページから必要書類を確認しましょう。
例として横須賀市のホームページを見てみます。
赤枠の所が必要書類です。
住んでいる場所によらず「退職した年月日がわかる書類(離職票など)」と「年金手帳」は必須だと思います。念のため「本人確認書類(パスポートや運転免許証)」と「印鑑」も持っていくのが無難です。
実を言うと、年金手帳はなくても職員の方がパソコンで調べてくれるので何とかなります。が、退職日がわかる書類(離職票など)を忘れると手続きできませんのでご注意を!(経験者は語る。)
第一号被保険者へ切り替えると国民年金の納付用紙が送られてくるので、コンビニなどで支払うか、年金事務所で手続きして口座振替にすることもできます。
口座振替の手続きは郵送でもできるみたいです。(日本年金機構「口座振替について」)
また、国民年金は一括で前払いすることもできます。
なお、厚生年金から国民年金への切り替えは、厚生年金の資格喪失日から14日以内と決まっています。会社を退職したらなるべく早く役所へ行き手続きを済ませましょう。
厚生年金脱退後に国民年金へ切り替えなくてもバレない?
バレます!٩(◦`□´◦)۶
厚生年金を脱退すると、(詳しいルートはわかりませんが)会社が国に「この人はうちの厚生年金から外れました」という届け出をしているので、国民年金への切り替え手続きを行わなくてもバレます!
いずれ年金事務所から切り替えの催促がきて、それでも放っておくと国から国民年金の支払い催促がきます。これも無視すると、財産差し押さえになるとかならないとか・・・。日本人として、元社会人としてここはきちっと手続きしておきましょう。
国民年金には2年間の時効がある
国民年金の手続きはすぐしたほうがいいのですが、うっかり忘れてしまったり、あるいはどうしても手続きができないような状況があるかもしれません。そんな場合でも、実は2年間までなら国民年金を後から払うことができます。
2015年12月の国民年金を2017年12月までなら支払えると言えますが、2年以降は支払うことができないとも言えます。老齢基礎年金を将来もらうためには、25年以上年金を収める必要がありますので、間違っても25年に足りないなんてことがないように気を付けましょう。
「2年間待ってくれるなら2年後に払えばいいや」というのもアブナイ考えです。2年後まで支払うことはできるんですが、支払っていない2年間は未納としてカウントされてしまうので、きちんと振り込み期日までに支払うべきです。なお、国民年金の支払い期限は翌月末です。
国民年金の免除申請とは?
国民年金の毎月の保険料ですが15,590円(平成27年)⇒ 16,260円(平成28年)と値上げされております٩(◦`□´◦)۶ 働いていればまだしも、無職の人間が毎月この額を出すのは結構ハードです。
何しろ、支払うべきは国民年金だけでなく住 民 税もあるからです。
しかし!「お金がないから払わない」というのはダメです。それは人としてダメです。
でも、じゃあどうしたら!?
そんな時に利用できる制度があるのでご紹介しておきます。
「国民年金免除申請」というものです。
国民年金の免除申請
これは、お金がなくて困っている人が国民年金の免除を申請できる制度で、通ればその人の経済状況に応じて「1/4免除、1/2免除、3/4免除、全額免除」してもらうことができます。
免除されると将来貰える年金が若干減りますが、10年以内なら追納できるので、再就職後に免除分を後払いすることが可能です。そうすればもらえる年金の額は減りません。
なお、免除されている期間は「年金を払っている」とカウントされ未納にはなりません。なんでこんな事を書くかというと、国民年金は「老齢基礎年金、障害年金、遺族年金」の三つの保証に対して払う年金なんですが、「障害年金と遺族年金」は受給するために「受給開始前1年間に国民年金の未納がないこと」と定められていて、未納期間があるとマズいんです。
例えば、交通事故にあって下半身不随になり、障害年金の受給資格に該当していても、前1年間に国民年金の未納があると障害年金を受給できません!あるいは、18歳未満の子供がいて(いたら日本一周はしないと思いますが)、万が一子供に不幸があって遺族年金を受給できるとしても、国民年金を未納しているとこちらも受給することができません。
「高齢化が進んで将来(老齢基礎)年金をもらえないかもしれないから年金を払わない」という人が増えているみたいですが、国民年金には老齢基礎年金だけではなく、障害年金と遺族年金も含まれていることを覚えておきましょう(私も最近知りました )
ちなみに、老齢基礎年金(いわゆる年金)も、国民年金をトータルで25年以上収めてないと受給できません。この点も、免除期間は支払っているものとカウントされるので安心です。
免除申請の申請方法
申請方法は区役所で書類を書くだけなので簡単です。ただ、免除申請は「申請」なので、審査の結果「通らない」こともあります。審査は昨年の所得(その年の確定申告前の場合は一昨年の所得)や世帯主・配偶者の所得を勘案して決められます。具体的な所得の基準については調べてみてください。
なお、所得が審査基準となるため所得の証明書が必要です。これは住んでいた街の「税証明書」を提出すればOKです((例)豊島区の税証明書)。郵便で申請することができます。
働いていない身としては国民年金が免除されれば嬉しいわけですが、サラリーマンをしていた人が会社を辞めて普通に免除申請を出しても、まず通りません(所得が多いため)。
そんな退職した人向けの制度が免除申請にあるのでご紹介しておきます。
退職者向けの免除申請「特例免除」とは?
これは、退職した人が免除申請を出すとその人の昨年の所得は免除申請の審査基準から外されるというものです。
例えば「去年リストラにあって今は仕事がなく生活が苦しいが、昨年は通常の所得があったので免除申請しても通らない、でもそれでは生活できなくて困る」こんなケースを救ってくれる制度です。
昨年の所得は審査項目から外され、世帯主や配偶者の所得のみで免除する or しないの審査がされます。つまり、仕事を辞めて一人暮らし(世帯主)の場合、自分の所得が「0円」となり、世帯主と配偶者はいないので「0円」なので、免除申請が通りやすくなる(らしいです)。
じゃあ、仕事辞めて実家に住んでいる場合はダメなのね・・・。
実は、必ずしもそうではないみたいです。
世帯分離について
特例免除で申請すると「世帯主や配偶者の前年度所得」により審査されるとご紹介しました。一方、世帯主についてですが、世帯とは「主として生計を立てている人のこと」であり、同じ家に住んでいるからといって世帯主が一人である必要は必ずしもありません。例えば、3人が同じ家に住んでいて、それぞれが生計を別にしている場合ですと、世帯を分けて全員世帯主になることも可能です。これを世帯分離といい、区役所で書類を書くだけで簡単に手続きできます。
実家に住んでいて親が世帯主の場合、国民年金の免除申請をそのまま出すと、親の所得が考慮されて免除申請は通らない可能性が高くなります。
実家に住んでいる場合でも、ご自身の貯金額や生活スタイルから「自身を世帯主とする」かどうか決めたらいいと思います。
国民年金免除申請の結果通知と免除期間
国民年金の免除申請は7月が起点となるため、仮に3月に免除が承認されたとしても、次の7月に再度更新の手続きをする必要があります。
また、免除申請を出してから可否の通知が来るまでに3か月程かかります。つまり、3月に申請して6月に承認されたとしても、7月には再度免除申請を出す必要があります。
これはちょっと面倒だなぁと思いますが、こうしないと一回出しただけでずっと免除されちゃいますからね。それでは日本の年金制度が破綻しちゃいます。
日本一周をするチャリダーは役所に行くことが難しいため、郵送や家族の協力がないと免除申請は難しいのかなと思います。
国民年金まとめ
- 国民年金は会社員だろうが旅人だろうが20歳以上の日本人は全員払う義務がある。
- 会社を辞めると厚生年金の資格を損失する(厚生年金から外れる)。
- 第二号被保険者(会社員)から第一号被保険者(旅人)へ区役所で手続きする。
- 第一号被保険者へ変更することで国民年金の納付書が届くようになる。
- 国民年金の支払いは納付書による現金払いから口座振替に変えられる。
- 厚生年金から国民年金への切り替えは資格喪失日から14日以内。
- 国民年金は最大2年後まで滞納して後から払えるが、この期間は未納扱いとなる。
- 国民年金の支払い期限は翌月末。
- 国民年金には免除制度がある。
- 国民年金の免除制度は本人の前年度所得と配偶者・世帯主の前年度所得で審査される。
- 会社を退職した人は国民年金の特例免除を利用できる。
- 特例免除では本人の所得は計算から外れ、世帯主と配偶者の所得で審査される。
- 免除申請の結果が出るのに3か月かかり、免除申請は毎年7月に更新が必要。
社会人チャリダーの国民年金まとめ
社会人チャリダーは国民年金を口座振替で支払うのが楽ちんです。もらえる額も減らないし面倒な手続きも不要。そもそも、年をまたいで旅に出る人は居住地の市役所に行くことができません。郵送や家族の協力を得て手続きすることも可能だとは思いますが、口座振替にして毎月払ってしまうのがいいのかなと思います。シンプルイズベスト(๑╹ڡ╹๑)p♪
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