梅雨を前にして少し早めに幕を閉じた冬山シーズン。北アルプスなどの高山帯には残雪がまだ残っていますが、気温がすでに高いため厳冬期用のダウンシュラフやダウンウェアは来シーズンまでお休となります。
登山装備の中でもダウン製品の洗濯はすごく大変なもの。
とは言え、年に1〜2回の作業ですし、重い腰を上げて洗濯してあげたいと思います。
これまでNIKWAXを使っていましたが、今回はモンベルのダウンクリーナを使用しました。というのも、気付いたらダウン類はいずれもモンベル製品を使っていますしね。比較する意味で他の製品も使ってみようかなと!
(改めて)ダウン製品を洗濯することの意義
ハードシェル等とは異なり、汚れが見えにくいダウン製品。油脂などの汚れが羽毛に付着すると、羽毛同士が絡まってしまいダウン製品が本来持つロフトや保温性を発揮できなくなります。何より匂いがキツくなってきますしね(男性は特に気にしたいところ)。
装備類の中でも比較的高価なダウン製品。装備を長持ちさせるためにも定期的な洗濯が大切です。
今回洗うのはダウンシュラフとダウンウェア
購入してから未だ洗濯したことのないモンベルのダウンハガー#1が本命です。コンフォート温度がマイナス5℃の通り、本当に寒い時期しか使わないので一見汚れているように見えないのですが(夏と比べて汗をあまりかかないので)、今シーズンを終えてちょっと臭いが気になるように・・・。
「臭う」と思ったまま来シーズンまで保管しておくのも嫌なので洗濯してあげようと思います。
どうせシュラフを洗うのであればダウンウェアも一緒に洗ってしまいましょう。
繰り返しになりますがダウン製品の洗濯は結構な手間。洗濯するとしても年に1〜2回。洗う時は覚悟を決めてまとめ洗いした方が楽です。
首元や足元が特に気になる
特に汚れているのではないかと思うのが首元と足元です。排出される汗の多くは呼吸と足の裏からですので、この辺りに汚れが集中している気がします。頑張ってくれた足を悪くは言いたくありませんが、2泊3日の登山とかになると最後は相当な臭いになってますもんね。
モンベル O.D. ダウンクリーナー
今回の洗濯で使用するのはモンベルのO.D.ダウンクリーナー。ファイントラックの「オールウォッシュで洗ったろ」と思ったのですが、オールウォッシュはダウン製品には使えませんでした(オールではないやんけ!とツッコミながらも、さすがにダウン製品まで含めてオールウォッシュできるものは無理か・・・と自己完結)。
モンベルは全国にストア展開しているしオンラインショップも使いやすい。つまりは安定して道具を揃えやすい。そんな風にどんどんギアやウェアがモンベルに侵食されていくわけですが(笑)
アマゾンでも売っていたのでレビューを見ると評価は上々のようです。NIKWAXと比較されている方もいますが、ぶっちゃけ私もモンベルのダウンクリーナーの方が評価は高いです。使う洗剤の量も少なく、何より仕上がりが綺麗な気がしています。
正確に成分や直接比較したわけではないので曖昧な評価にはなりますが、手に入りやすいことも高ポイント。今後もダウン製品の洗濯に使っていこうと思います。
・・・それではいざ洗濯へ!!
【1】ファスナーを全て閉める
洗うときはファスナーを全て閉める、乾燥させる時はファスナーを開けるが基本です。例に漏れず今回もファスナー類を全て閉めます。
【2】お風呂場へGo
洗剤とダウン製品を持ってお風呂場へ行きましょう!
ちなみにダウンシュラフを洗濯しようと思ったら、洗い始めから乾燥までどんなに早くても1時間はかかります(洗濯30分・乾燥30分)。実際は1.5時間や2時間近くかかる場合もあると思いますので参考まで。
【3】ぬるま湯を溜めて洗剤を投入
お風呂にぬるま湯を溜めます。温度はぬるま湯であればあまり気にしなくても大丈夫。熱々のお湯や冷水は避けましょう。
使用する洗剤の量ですが、寝袋はキャップ10杯・ジャケットはキャップ2杯と書いてあったので、今回の洗濯量(ダウンハガー#1・アルパインダウンパーカ・スペリオダウンジャケット)を考慮してキャップ15杯を使用しました。
【4】つけ置き・押し洗い
溜めたぬるま湯の中にダウン製品を投入!写真はお湯を十分溜めずに明らかに水不足の悪い例です。そうですね、30cmくらいは溜めた方が洗うとき楽だと思います。
ダウンの撥水性や空気により簡単には「びしょ」っと濡れてくれません。優しく、あまり力を込めず水を浸透させるイメージで製品をぬるま湯の中に浸します。まずは押し洗いと言うより全体に水を馴染ませる感じです。
(汚い絵で恐縮ですが)お風呂の外から洗うのではなく中に入ってしまった方が圧倒的に楽です。覚悟を決めて中に入り、足と手を使ってダウンに水を染み込ませます。今回は厳冬期用のシュラフとダウンウェアを洗っているので嵩(かさ)が半端なくてなかなお湯が入っていきません。
シュラフは袋状なので中に空気が入っており、これが邪魔をしてきます。完全に空気を抜くのは難しいと思うので可能な範囲で全体を水没させます。
全体に洗剤が浸透したら5分つけ置きします。
足より両手を使った方が効率的
足で押し洗いをすると書いているページなども多いですが、両手を使った方がうまく押し洗いできると思います。押し洗いのポイントはなるべくダウン製品を上に引っ張り上げないことです。水の中から製品を出そうとすると水の重みで羽毛に強い圧力がかかって傷める可能性があります。
あくまでお湯の中で製品を押し洗いします。あとは全体的に優しく扱うことでしょうか。1年に1〜2回だけですし、苦行と思わず感謝の念を込めながら優しく押し洗いをします。「ザバー!!!」とか製品をお湯の中から引き抜かないよう注意しましょう。
【5】排水・押し洗いを最低3回以上繰り返す
押し洗いをしばらくするとお湯が黄色〜茶色に汚れてきます。汚れがダウンから洗い出されていることが見てわかりますね。お湯がある程度汚れた排水して新しいぬるま湯を貯めます。洗浄自体はこれで終了ですが、ダウンの中に残っている大量の残留洗剤を洗い流す必要があります。
綺麗なぬるま湯で最低3回は押し洗い・排水を繰り返すことをお勧めします。汚れがひどい場合、押し洗いを繰り返しても簡単には水の濁りが取れません。
厳冬期用のシュラフはダウンの量が半端ではないので夏用シュラフより押し洗いの回数が必要になります。ある程度きれいになったら諦める線引きも必要かと。
何が大変って?この浴槽の中の汚いお湯を排水するのが面倒なこと。放っておくと排水溝にダウンが詰まって水流が止まってしまうし、ダウンの中から無限に水が出てくるので排水にかなりの時間がかかります。ダウン製品への感謝の気持ちで乗り越えましょう!
5回ほど押し洗いをして洗浄完了!
【6】洗濯機での脱水
ここから乾燥させていきますが、洗った直後のシュラフやダウンジャケットは多量の水を含んでいるのでこのままでは乾かせません。たらいなどに移してそのまま洗濯機へ投入します。ここで「バスタオルなどで乾燥させる」と紹介している製品やブログなんかもありますが、洗濯機で脱水するのであまり意味ありません。
洗い終わったらバスタオルでの乾燥はせず洗濯機へすぐ持っていきましょう。その際、可能な限りドラムの中でバランスが取れるように円周上に製品を配置します。一箇所に固まると脱水の遠心分離の際に洗濯機が「ガタゴト!!!」と異音を放つので怖いです。
脱水時間はまず1分で様子見。ダウンの量により必要時間は異なります。私はシュラフ+ダウンジャケット2枚を脱水させたので1分では足りず、追加で2分、計3分脱水させました。
洗濯機での脱水が終わると驚くほど水分が飛んでいます。脱水の威力は絶大ですので自宅に洗濯機があればぜひ脱水機能を利用しましょう。もし洗濯機がない場合はバスタオルでなるべく水を吸収させるしかないかも。できれば袋なんかに入れて移動し、コインランドリーで脱水と乾燥をしちゃった方が早いし、綺麗に仕上がります。
【7】乾燥機で乾燥
脱水が終わればいよいよ本格的に乾かしていきます。この時「何がなんでも乾燥機」を使いたいところ。乾燥機を使わないと永遠に乾かないんじゃないか?ってくらい乾かないのと、何よりダウンの片寄りが綺麗になくなりません。自宅に乾燥機がない場合はコインランドリーまで面倒でも持っていくことをおすすめします。
私も今は家に乾燥機がないので、コインランドリーまで来ました。地図上には載っていなくても、こんな感じの小さなコインランドリーが意外と点在しているものですので、お住まいの近くを探してみるといいと思います。
あまり高温になるとダウンによくないと言うことで低音を選びます。時間はダウンの羽毛量によると思いますが、最低30分程度は必要です。今回は50分(500円)ほど乾燥させました。乾燥機にテニスボールなどを一緒に入れる・・・と言う記載もたまに見るのですが、入れなくても全く問題ないので不要です。
内部まで完全に乾燥させる
乾燥が終わるとさっきまでヘニャヘニャに偏っていたダウンがこの通り、しっかりふっくらとしたロフトを取り戻しました。臭い匂いも消えて完璧です。
乾燥機に入れてしっかり乾燥していると思いますが、内部に濡れが残っていると嫌なので、1日部屋干しすることでカラカラに乾燥させることができました。
これにてダウンシュラフ・ダウンウェアの洗濯が完了です!
自分で洗濯したくない場合は?
ダウン製品が汚れているとロフト(羽毛の立体感)が潰れてしまって保温力が低下しますので、定期的な洗濯は必須。クリーニング店などに出すこともできますので、どうしても自分で洗うのは面倒だと言う人は外部のクリーニング業者に依頼するのも手ですね。ググってみるとシュラフ専門のクリーニングサービスもあるようですよ。
撥水処理は?
洗濯するときに撥水加工を一緒にしてしまうのも手ですね。特にダウンシュラフは濡れに弱いので撥水加工してあげると汗や外部からの濡れに対して一定の効果があるものと思います。
(余談)浴室乾燥でダウンシュラフやダウンウェアを乾かせる?
自宅に乾燥機を備えていないため、初めは浴室乾燥で乾かせないか検討してみました。
洗濯直後はダウンがお団子のように固まっていますから、これがしっかり乾燥して解れるのか・・・
・・・5時間後・・・
気持ち程度に乾燥はしましたが、シュラフを触ってみるとまだグッショリと濡れているので「こりゃ無理だ」とすぐにサジを投げました。モンベル公式でも「自然乾燥だけでもある程度ロフトの回復はできますが、ダウンの片寄を防ぐため、乾燥機の使用をお勧めします」とあります。
私の感覚としても自然乾燥ではダウンが仮に乾いたとしても100%片寄を解消することは難しいように思います。そんな手間と時間をかけるのであれば(自然乾燥させる間めっちゃ邪魔ですし)コインランドリーまで持っていった方が良いと思います。
まとめ
寒い時期の登山において欠かすことのできないダウン製品。一見汚れていないように見えてもしっかり汚れは蓄積していますので、なるべく定期的に洗濯することが快適かつ長く使う上で大切です。特に臭いが気になるようになったら洗濯のサインです。
・・・と、頭で分かっていても面倒なので後回しにしがちですよね。
これまで洗ったことがないと言う人は、清々しい気分で来シーズンを迎えるためにもぜひ洗濯に挑戦してみてください。もちろん、時間とのコスパを考えて外に依頼してしまうのもアリだと思いますよ。
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