今年の紅葉登山はどこへ行こうか。ふと手にした本を見て、急に行きたくなったのは燕岳(つばくろだけ)。
2019年は紅葉が遅れていることもあり、まだまだ見頃の紅葉を楽しみながらの登山を楽しめました。
人気の山だけに、テント場争奪戦では勝つことができるのか!?
ワクワク、ハラハラの登山スタートです。
登山計画とコースタイム
燕岳を選んだのは山の写真集を見て載っていたから。
合戦尾根の紅葉は綺麗と聞いていたので、紅葉の燕岳を見てみたい気持ちもありました。
過去に一度登っている山ではありますが、その時はお隣の大天井岳に泊まったので燕岳でテント泊をしたいという気持ちもあり、決定!短い紅葉の季節、登山候補地として悩んでいたのは南アルプスの鳳凰山です。
0日目(10月4日) |
八王子→松本 |
1日目(10月5日) |
松本駅→穂高駅(6:30) |
穂高駅(7:00)→ 中房温泉(8:05) |
中房温泉(8:10)→ 合戦小屋(10:30) |
合戦小屋(10:30)→ 燕山荘(11:45) |
燕山荘(幕営) ⇔ 燕岳 |
2日目(10月6日) |
燕岳 ご来光(5:50) |
燕山荘(8:10)→ 中房温泉(10:50) |
中房温泉(12:30)→ 穂高駅(13:32) |
穂高駅 ⇔ 穂高神社 → 八王子(電車帰宅) |
【前泊移動】八王子から特急あずさで松本へ
北アルプス登山の拠点、前泊しやすい松本へ特急あずさで移動します。
松本への移住という朧げな夢もありますが、奥様は大反対しているので無理でしょう(白目)
いつも八王子駅にてお弁当を買うのですが、売り切れていることも多く争奪戦の様相ですが、今日は何とかゲット。
近くの売店でビールも買って移動準備は万端。
松本の前泊はいつもホテルエムマツモトというカプセルホテル。
ホスピタリティーもクオリティーも素晴らしいのでおすすめのホテルです。
カプセルホテルに泊まったことがないという人も多いと思いますが、こんな感じで二階建てのスペースが連なっている不思議な空間。混んでなければ快適に眠れると思います。
充電ケーブル借りられるしザックはフロントに預けられるし前泊に最適。
【登山当日】穂高駅から中房温泉へのバスは大混雑!?
新しい朝が来た。
燕岳の登山口である中房温泉へは穂高駅からバスが出ています。
紅葉の時期と言う事で多くのバスを回してくれていますが、穂高駅より前の乗り口から乗車している人も多く、バスが来ても乗れない状況・・・。マジヤバイっす。
予定乗車時刻を20分オーバーして空車のバスが来てくれました。
これに乗り込み中房温泉へ!
・・・ここから先のバス停でも乗る人がいたりと、時間は押し気味・・・。
なぜ急いでいるかと言いますと、燕山荘のテント場はあまり大きくないため、テントを担いでもテントが張れない事態があり得るのです。
燕岳登山:中房温泉から急登の合戦尾根を経て
内心焦りまくりながらようやく中房温泉へ!
駐車場を見ると意外と空いている?バスは混んでいましたが、燕岳の混雑状況はいかに?
テント泊のマイカー組はもう出発しているでしょうから、焦る気持ちを隠し切れず足早に登山口へ向かいます。
中房温泉の標高が1462mと言う事で、テント場までは標高差1000m。
これから登る合戦尾根は北アルプス三大急登という称号を獲得している急坂。
テント泊だと重たいですが、気合を入れて登りましょう!
登り始めしばらくはこのような樹林帯を黙々と登っていきます。
足を慣らすためゆっくりと・・・とはいかず、序盤からハイペースで登っていきます。
泣きません、テント場を確保するまでは!
北アルプス三大急登と言われてはいますが、合戦尾根はめちゃくちゃ人気の道なのでよく整備されており、道の作りが秀逸なためか、そこまでの急登には感じません。
キツイ坂なのは間違いないのですが、名前負けしているかなという印象。
歩きやすいのはありがたい限りですね。
このように割と平坦な箇所も多く、歩きやすさもあってか本当に多くの人が登りに来る山みたい。
夏の間は地元の学生が集団で登ったりするらしいですよ!
第一ベンチ~富士見ベンチ
登山途中に休めるベンチが第一ベンチ、第二ベンチ、富士見ベンチと数回出てきます。
休むポイントではありますが、本気でテント場の埋まり具合が心配なので休まずドンドコ進みます。
「夏の週末と同じくらい混む」と燕山荘のブログで脅されていたので・・・。
何せベンチに着くたびにこの人数!道中でもかなり抜かしており、合戦尾根全体では100人くらい抜かしたと思われます。テント泊の人もかなりの数を抜かしたので、恐らく大丈夫(汗)
尾根を進めど上空は真っ白!
少なくとも今日は晴れると思っていましたが、頭上を覆う曇天に悲しくなる。
「ここは雲海の下、稜線に出れば晴れているんだ」そう言い聞かせて登ります。
一度歩いたことがある道とは言え、テントを担いで急げば疲れますね!
でもなぜでしょう、再訪した山ってすごく愛着がわくもの。
当時の記憶がよみがえるからでしょうね。
富士見ベンチ
富士見ベンチまで来ましたが相変わらずまっちろけ!
まさかガスに包まれてお終いなんてことは・・・
標高2000mを越えたあたりでしょうか?
一気に紅葉が見え始めてテンション上がります。久しぶりに見る、色づいた山は美しい。
そして、なんとな~く上の方が明るい気がします。
来るか?来るのか!?
きましたーーー!!!
ガスではなく雲海だったようです。最高です。
雲を突き抜け雲上の世界にたどり着きました。
そして赤に黄色に染まる登山道が美しいのなんの。
紅葉登山は歩くだけで目の保養になるのでいいんですよね~。
合戦小屋
有名な合戦小屋に到着!
こちらは燕岳登山の中腹にある山小屋で宿泊はできませんが、夏の期間は美味しいスイカが食べられることで有名。この辺りはスイカの名産地と言う事で、粋な計らいだと思います。秋はスイカではなくお汁粉を提供してくれる登山者の強い味方。
・・・アナウンスはなし!
・・・ザックを置くことなく先を急ぎます!
燕山荘のテント場が埋まっていると合戦小屋でその旨のアナウンスがあるとか。特にそういった気配はないのでまだ空いているはず?埋まっていると合戦小屋で幕営するかお隣の大天井岳まで移動するか、あるいは燕山荘に素泊まりするか。テント泊登山者にとってはいずれも辛すぎる選択肢。泊まろうと思っていた山でテント出来ないなんて辛すぎます!
合戦尾根上部は紅葉が見頃
合戦尾根の上部は紅葉がまさに見頃!
青空に映えまくる。
周りの登山者と「最高ですね~」「ほわーきれいですねー!」と。
みんな笑顔で歩いてました。
この辺りまで来ると傾斜も緩やかになり、ゆるふわ紅葉登山を楽しめます。
表銀座を代表する大天井岳(おてんしょうだけ)。
こうして見ると結構遠く感じます。
安曇野側には雲海が広がり、表銀座を紅葉と共に彩ります。
燕山荘のスタッフブログで合戦尾根の紅葉が見頃とあったので決めた山行でしたが、まさにその通り。
上部は黄色に赤に、とにかく美しい尾根道を登ることができました。
最高でしょ。
これだけ多くの人を抜いてきたんだからテント場争いは大丈夫だろうと安堵していますが果たして?
遠くに見える針ノ木岳(はりのきだけ)。
この辺りから眺める針ノ木岳はとても鋭い姿をしていてかっこいい。
右手に目を向ければ錦秋に輝く北アルプスを代表する渋い山である餓鬼岳(がきだけ)が目に留まります。
何を隠そう北アルプスデビューに選んで爆死した思い出のある山です。
自分が登った山を眺めるのって最高に楽しいですよね!
北アルプスのアイドル槍ヶ岳(やりがたけ)も見え隠れ。
今日は登っている人がたくさんいるでしょうね。
燕山荘まで後少しというところでテント場の景色が見えると冷や汗。
すでにテント張っている人かなりいるみたい。
燕山荘:燕岳にて初のテント泊
燕山荘(えんざんそう)に到着ー!!
さっそく幕営の手続きをして「幕営手形」なる許可証をゲット!
燕岳が美しい!・・・でも今は急ぎます。
燕山荘のテント場は二つに分かれていて、表側はかなり一杯。
とはいえ、こちら側もまだなん張かはいけそうな感じ。良かった…!!
幕営準備完了!
なんで山でテント泊するのにこんな緊張しなきゃならんのだ!って感じもしますが、人気の山ですからね、山のテント場は先着順でございます。
テントの中からお山の見える最高のロケーションにテントを張ることができました。
燕岳ピークハント
燕山荘でまったりしたい気持ちもあるんですが、まだ晴れているうちにピークに行こうと思います。
燕山荘から燕岳山頂までは30分程度の道のりです。
燕岳を独特の山容にしている突出した花崗岩ですが、遠くから見ると小さく見えるものの、近づくとかなり大きくて迫力あります。
今回燕岳に来たのは紅葉を見るためでもありますが、この辺りから冬の間に写真を撮ろうかなと思っていて、そのロケハンに来たのでした。
冬の燕岳は中房温泉までバスが出ておらず、数時間の林道歩きがプラスされますので、ちょっと偵察に。
なのですが・・・どうやら撮りたい景色は雪山でないと無理みたい。
夏の間は進入禁止のロープがあってあまりロケハンになりませんでした涙
それでもやっぱし、燕岳はかっちょいいー!!!
燕岳(2,763m)登頂しましたー!
前回来た時よりもスッキリ景色が見えて最高です。
左手前、人が密集しているのは北燕岳。その左奥が立山、右奥が剱岳、さらに右が針ノ木岳、蓮華岳と続きます。
燕山荘でビールを頂き雲海をおかずにまったり
燕山荘のテラスはロケーション最高!
本日は雲海テラスとなっております。ちなみに、北アルプスの中でも常念山脈安曇野側はダントツで雲海が発生しやすい場所。
夏から秋にかけて晴れた日に来ればかなりの確率で雲海を見ることができますよ。
贅沢して生ビールをいただきます!
最高かっ。雲海見ながら生ビールは最高かって。
こりゃ人来ますわな。
360度の展望を楽しめて?生ビールが飲める大きな山小屋があって?難しくはないけどそこそこ疲れる登りがあって?テント場すぐ目の前が絶景!?こりゃ人来ますわ。
燕岳の夕景
燕岳のある常念山脈は南北に走る稜線ですので、夕方も朝方も美しい景色を望むことができます。
夕方の優しい斜光が燕岳を照らし出します。
秋らしい景色を眺めていました。太陽は裏銀座の方へ沈んでいきます。
今日も素敵な景色を見れたことに感謝。
朝も夕方もどちらも撮影できる場所ってカメラ好きにはたまらないんですよね。
有明山は雲海からギリギリ頭を出すくらい、濃密な雲海が辺りを覆っています。
今有明山の山頂にいたら、まさに雲の上という感じでしょうか。
雨予報の燕岳の夜
気圧の谷が通るために雨が降りやすいという予報でした。雨こそ降らないものの、夜中はどんどん雲が湧いてくる天気。
本当は星をグルグル回そうと思っていたんですが、雲に阻まれ残念。
でも、雲と星がダイナミックな景色となり、月明かりに照らされる燕岳を入れて美しい夜景を撮ることができたのでした。
槍ケ岳の上空には月。
【2日目】燕岳から槍ケ岳を入れた景色を狙う
朝も引き続き雲の多い天気となりました。
まだ星がかろうじて見える時間、多くの人がヘッドライトの明かりを頼りに燕岳の山頂を目指します。
山頂からご来光を見るんでしょうね。その明かりを拝借して、印象的な写真に仕上がりました。
さあさあ!私もご来光の写真を撮りに場所を移します。昨日の間に撮影場所は決めていたのです。
安曇野側は今日も雲海がビッシリですね!
雲間から差し込むご来光
ご来光の時間(今の時期は6時前)になっても全然太陽が見えないので、ガックシでしたが、雲と雲の間から何とか太陽が見えました。
雲がある景色も、これはこれでダイナミックでいいですね。
そんなわけで山も爆焼けにはなりませんでしたが、槍ケ岳もうっすらと明るくなり、禍々しい雲と相まってダイナミックな山岳風景に。
左から大天井岳、穂高岳、南岳、中岳、大喰岳(おおばみだけ)、槍ヶ岳と続きます。
山頂でご来光を楽しんでいた方々。
良い景色が見れたのではないでしょうか!
私は朝と夕、必ずと言っていい程どこかで写真を撮っていて、朝は日が昇って撮影のタイミングが終わるこの時間。
「グッーーー!」と背伸びしたくなるような達成感に包まれます。
落陽も日の出も一瞬の出来事です。集中していることが多く、日が昇って仕事が終わったー!っていう感覚。
とてもサッパリした、大好きな時間です。
写真を撮らないから、純粋に景色を楽しめる時間でもあります。
威風堂々、燕岳。
皆さんかなり足早に去っていきます。
私はマイホームでいつものようにサッポロ一番みそラーメンを食べ、燕岳を目に焼き付けます。
今日は晴れる予報でしたが雲が湧いてきちゃいましたね汗
帰りのバスもあるのでそろそろお暇しましょうか。
下山~帰宅
さて下山しようか、そんな時には既にガスが支配する世界へ。
虚無の世界へ突入です。
中腹からは雨も降ってきてザックカーバとレインウェアを装着。
「レインウェアは持ってるけどめったに着ないの♪」という訳わからないマウンティングしているおばちゃんの小話を聞きながら黙々と下ります。
今日登ってくる人もかなりいて、渋滞する場面もしばしば。
中房温泉(戻)
中房温泉まで無事戻って来ました!
これにて下山完了です。
中房温泉は登山口に(登山者用の)日帰り温泉があるので、バスを待つ間に入浴しました。
中房温泉には本家の温泉旅館があるので、登山者の為にこしらえたと思われるかなりワイルドな造りでしたが、それでも下山後に汗を流せるのはありがたいかぎり。山菜そばを食べながらバスの時間を待ちます。
12時半のバスだったんですが、早い時間から待機していて、慌てて乗り込みます!
ここからはちょっと反省事案。
穂高駅から東京への電車は乗り継ぎが難しい
中房温泉から穂高駅へバスで戻りますが、途中で下車するマイカー派の人がかなりいて、予定の時刻を数分オーバー。
穂高駅は特急あずさが止まるので上手く乗り継ぎたかったんですが、駅に着いたときには電車はおらず。次の電車が来るまで2時間!
穂高神社を参拝
そんな訳でやって来たのは穂高神社。
「穂高駅」って何でこんな駅名ついているのかと思ったことありませんか?
実は穂高駅から歩いてすぐの所に穂高神社の本宮があります。それが上の写真。穂高神社と言うと、登山者にとっては明神池にある奥宮、そしてなにより奥穂高岳山頂に祀られている嶽宮の印象が強いかと思います。時間もあり、せっかくなので本宮に参拝に来ました。と言うか、ここにあるとは知らず、慌ててお祈りさせていただきました。
どうせ電車が間に合わないなら中房温泉でビール飲みながら、もう一本遅いバスを待つというのも手ですが、穂高神社に参拝して、駅前のカフェでコーヒーを飲むのもアリだと思いました。
これにて燕岳の登山完結です!
紅葉の燕岳登山を振り返って
稜線の紅葉は終わっていましたが、合戦尾根上部の美しい紅葉を楽しむことができました。北アルプスの稜線は色づく葉がそれ程多くないので、色づきを楽しみたい人は尾根筋の紅葉や、涸沢などの中腹に行くのが良いと思います。合戦尾根は北アルプス三大急登とは言われるものの、正直それ程ではありません。注意していれば滑落するような場所もありませんので、体力があれば登れる山です。
紅葉の時期に訪れれば雲海を見れる可能性も高く、とてもおすすめ。燕岳からの景色は表銀座や裏銀座が一望できる一等地。
燕山荘はキャパも広くテント場もあるので、岳人なら全員楽しめる、そんな素敵な山です。
燕岳の紅葉登山の適期は10月上旬でしょう。年によって色づきの時期はかなり異なりますので、燕山荘のスタッフブログで確認するのがいいですね。燕岳の紅葉、美しくおすすめです!
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