【南アルプス】北岳 縦走登山(夏山・テント泊)美しい夕景に彩られた白根三山をめぐる旅

台風5号が2週間以上にも渡り日本を蹂躙した後、台風一過の夏ばれを期待しつつ、初の南アルプス登山に行ってきました。

南アルプスとは、長野県・山梨県・静岡県に跨る巨大な赤石山脈の俗称であり、北アルプス(飛騨山脈)と並び、日本を代表する一大山岳地帯です。北は鋸岳に発し、南は光岳まで続く3000m峰の楽園。日本百名山のうち1/10もの山が南アルプスに集中している事を考えても、日本の登山を語る上で外すことができない山域となっています。

タイトルにある白根三山とは、南アルプス北部に位置する北岳、間ノ岳、農鳥岳の並びを指し、南アルプスの中においても人気の山域。今回はここを歩きます。

【前泊移動】南アルプスの中心地、山梨県へ向けて出発!

南アルプス登山の中心地的存在とも言える甲府へ向かう所から今回の登山はスタートです。

甲府へは新宿から高速バスも出ていますが、出発時間の柔軟性を考慮し、今回は電車を乗り継いで移動することにしました。

我がホームタウンである横須賀から横浜、横浜から八王子と乗り継ぎ、甲府を目指します。

甲府駅に到着後、向かったのは駅前にあるカラオケBanBan。駅からアクセス良好なので前泊に利用します。しかし、なぜ甲府駅にはネットカフェがないのか・・・。

甲府駅近くにゲストハウスがあるので、通常はゲストハウスやビジネスホテルを利用する方が良いですね。カラオケでの前泊には「一度歌い出すと寝るタイミングを逸っする」と言う、かなり危険な罠が潜んでいるため、あまりお勧めできません。

【1日目】甲府駅から広河原へバス移動…朝の4時なのに行列騒ぎ!

駅の目の前にあるカラオケ店を出たのが朝の4時で、バスは4時半に出発です。今日は平日だというのに、お盆休みという事もあってこの行列。早めに場所を確保しておいてよかった・・・。

「さすがに全員乗るまでバス来てくれる、んですよね?(汗)」

「さすがに、観光バスですよね?普通の市バスとかじゃないですよね??ザックあるし、ねえ?」

何て言うカジュアルな会話をお隣のカップルさんと交わしつつ、バスが来るのを待ちます。

しかし、無情にも甲府駅にやって来たのはごく普通の市バス…!!

当然、余すことなく席を埋めた上で、背丈の半分ほどもあるバックパックを膝の上に置かなければならない人も多数。さすがに全員が乗れるように応援のバスが来てくれるようですが・・・山梨県マジっすか。お盆シーズンくらい観光バスを用意してくれるのではないかと言う淡い期待は脆くも崩れ去ったのでした。

まだお盆ピーク前の平日でこれです。山の日、あるいは土日に登山する場合、最低でも30分前までに甲府駅のバス停に着いていた方が良いと思います(‘ω’)ノ

北岳登山の拠点、広河原に到着ー!!

2時間ほどバスに揺られ、広河原(ひろがわら)に到着しました\(^o^)/

初の南アルプスにテンション上がります!!

この時期、広河原まではマイカー規制があるので芦安で乗り合いタクシー/バスに乗り換えるか、甲府からバスで来るかのどちらかになります。芦安からバスに乗った方がいらっしゃいましたが、通路に座ることになり、蛇行する山道で地獄のような時間を過ごされていたので、甲府からバスを使うか、芦安からの乗り合いタクシーをお勧めいたします

広河原から登山スタート!今のところ雲一つない快晴ですが、今回の山行では最初で最後の快晴となってしまうのでした・・・。

(早川町43kmって・・・w)

吊り橋を渡り、小さな沢を越えて樹林帯を登っていきます。本日の目的地である北岳(きただけ)まではかなりの急登。さすが、富士山に次いで日本で2番目に高い山だけあります。

縦走登山では樹林帯を抜けて稜線に出るまでが大変。それでも、空の上には絶景が待っているはずだと期待して、頑張って登っていきます。

北岳には幾つか登山路がありますが、今回は夏山で定番の大樺沢(おおかんばさわ)を登るコース。

南アルプスと言えば「天然水」と言う程に、水量が豊富。台風の影響もあってか、どこもかしこも水が溢れていました。ダイナミックな水しぶきを上げる沢を眺めながら、上へ上へと登ります。

大樺沢の残雪と北岳バットレス

標高を少し上げると、北岳の姿がはっきりとしてきました。写真は大樺沢に残る雪渓と、北岳東面のバットレスと呼ばれる岩壁。

バットレスはクライマーに人気の岩壁らしいですが、こんな所を登るって言うんですから、クライマーさんは本当にゴイスーですね。私はクライミングしたら性格的に死ぬ気がするので、手を出す気はありません(‘ω’)ノ

それにしても、夏山らしく早くも雲が湧いてきました。山頂に着くまでは青空が持ってほしいものですが、果たして・・・。

大樺沢二股~トイレ休憩と左右の分かれ道~

大樺沢の二俣に到着。ここにはバイオトイレがあるのでお手洗い休憩することが可能です。登山口から2.5時間くらいの位置でトイレを催す頃合い。ここでトイレできるのは非常にありがたい。

二俣は名の通り、二つの道に分かれている分岐点です。左俣コースに行くと八本歯のコルを経由、右俣コースに行くと北岳肩ノ小屋を経て北岳に向かいます。

私はと言うと、北岳肩ノ小屋を見てみたかったので、右俣コースを選択しました。左右どちらに行ってもコースタイム的に大きな違いはありません。

登山道に目をやると、高山植物の盛りは過ぎてしまったものの、マルバダケブキを中心にまだまだ多くのお花が咲いていました。

そう思っていましたが、稜線に出ると目の前には仙丈ヶ岳!!

こちらは小太郎尾根と小太郎山です。我が家の愛犬と同じ名前を冠する山と言う事で、登ろうかと思っていたんですが、時間の関係で省略。しかし、いつか必ず登ります。

尾根を境に雲の立ち方がハッキリわかれるのが面白い。

北岳肩ノ小屋に到着するもガスが・・・

北岳肩ノ小屋に到着するも、眼前に迫る北岳はガスに包まれてしまいました。時折その姿を覗かせているので、タイミングを図って登りたいと思います。

山から立ち上がる入道雲が実に夏らしくて、これはこれで見ていて楽しい。

雲の様子を見ながら、ここでお昼ご飯をサッと食べてしまいます。「よこすか海軍カレー味」という地元推しのランチパックとコーヒーで一休み。

ガスは湧いたり消えたり・・・これ以上変わりそうもないので北岳山頂へアタック。

北岳(3,193m)登頂ー!!

北岳(3,193m)に登頂しましたー!!肩ノ小屋からは岩稜を40分と言った所でしょうか。日本で2番目に高い場所へやって参りました。初の南アルプス、初の北岳という事で気分は最高です\(^o^)/

雲が多いので眺望はききませんけどね・・・。

(この時はまだ余裕がありましたが、まさかこの後に山頂が全滅するとは夢にも思いませんでしたw)

目の前に伸びる稜線、その先に巨大な姿を覗かせる間ノ岳が実に壮観です。

間ノ岳(あいのだけ)は日本で3番目に高い山として登山客には人気ですが、登山しない方にはあまり馴染みがない山かもしれません。しかしその実、日本アルプスの数ある山の中で「最も巨大」とも言われるその体躯、夏山らしい緑と白と青のコントラストが相まってとても魅力的。

北岳から一度標高を落とし、本日の宿である北岳山荘を目指します。北岳山荘の大きさと比較すると、間ノ岳の巨大感がわかりますね。

北岳山荘に到着~夕景を期待して中白根山へ~

北岳山荘に到着、テントの受付をして幕営準備に取り掛かります。

稜線上の小屋だけあって、雪に潰れないよう独特な形をしています。冬季小屋もあるので冬も利用可能ですが、冬の北岳はアクセスが厳しく、登るのは容易ではありません。

テント場をうろちょろ探索すると、かなりの数のテントがすでに張られている。静岡の高校の山岳部が結構なスペースを取っている様子。その中に紛れる形で幕営します。お盆シーズンは山岳部やらた団体さんやらで混み合うため、テントスペースを早めに確保したほうが良さそうです。

北岳から間ノ岳を眺めてゆっくりしていたら、ちょっと到着が遅れてしまいました。

夕日の撮影は北岳から40分ほどの位置にある中白根山から臨もうかと!

ここは北岳の眺めが良く、西日が北岳に当たる角度なので撮影に良さそう。

日が落ちてくると、斜光が良い感じに仙丈ヶ岳へ入ります。

北岳の雲は取れましたが、西の雲が厚いため真っ赤な夕焼けとはいきませんでした。その分、雲がダイナミックで景色が目まぐるしく変化し、見ていて飽きません。

遠く西の空を望遠レンズで切り取ってみました。夕焼けに浮かび上がる山々がシルエットになっていい感じ。方向的には中央アルプス??しかしあんな尖がった山があの位置にあるだろうか??

不甲斐なくも山座同定することができず。

・・・

北岳山荘に戻ったのが20時前だったと思うんですが、テント場は驚くほどに静か。すでに皆さん就寝の様子。私はこれから米を炊いて夜ご飯なので、息を殺して静かに夜を過ごしたのでした。高校生の合宿だから就寝時間がかなり早いみたいですね。これくらいテントが近接していると周囲に対して結構気を遣います。

【2日目~3日目】間ノ岳から農鳥岳は無情にも真っ白な景色・・・

2日目の夜中、北岳山荘から北岳へと移動します。目的はもちろん北岳からのご来光を見るため。

しかし、無情にも北岳の山頂はガスに覆われてしまい、展望は全く得られませんでした。朝の3時過ぎまでは晴れて星も見えていたんですけどね。4時頃から一気にガスってしまい、ご来光どころか何も見えない状態に。

この日は完全に晴れるかと思っていたので、これは想定外。

辺り一面真っ白なガスになり、姿を現したのはライチョウさんです。ライチョウは天気が悪くなると登山道によく姿を現してくれる、悪天候時の強い見方。

親子でその辺を走り回っている姿が愛らしかった。

北岳山荘で1日暇していてもつまらないので、間ノ岳を超えて農鳥小屋まで進むことにしました。

当然、間ノ岳の山頂も展望はありません。日本2位と3位の山頂が真っ白という悲しすぎる現実。いやはや、これは本当に想定外。予想していたより気圧の谷が頑張っちゃったみたい。

農鳥小屋には噂のご主人しかいないと聞いていたんですが、小屋に着くや否や、私より若い男性スタッフさんが対応してくださいました。アルバイトを雇ったんですかね?他に女性スタッフの方もいらっしゃいました。

ご主人は他の登山者の方とお話していたので、結局お話することはなくテント場へ。なお、天気が悪くてテンションはコルまで落ちてます(‘ω’)ノ

こんなガスの中でも、農鳥小屋のテント場には既に8張ほどテントが設営されてます。今日は朝から晩まで1日中ガスってしまい、全く展望を臨むことができず・・・本当は西農鳥岳から間ノ岳と夕日の写真を撮ろうかと思っていたんですが、無念。

こんな時はビールで一杯やって、早めに寝ちゃいます。さすがに明日の朝くらいは晴れるだろうと考えながら夢の中へ。

しかし、今回の山行に神はいなかった。夜中にはテントを叩く雨の音が響き、4時頃に一度雲が取れたので晴れ間を期待しましたが、結果は惨敗。

まさかまさかの、3日目もガスで真っ白・・・。

白根三山「北岳、間ノ岳、農鳥岳」の三山はいずれも3000mを超える高峰で、晴れていれば間違いなく展望は素晴らしい。

しかし今回の縦走登山。終わってみれば、山頂からの景色を一回も見ることができずに下山するという、これまでの登山の中でも、いやきっと、今後の登山を含めても稀に見る黒歴史を残す結果となってしまいました。白根三山を縦走して展望ゼロなんて、出発前には夢のまた夢にも思いませんでしたね。

農鳥岳から奈良田へ下山

減算は農鳥岳から奈良田温泉へと向かいます。せめてもの慰めか、富士山が雲の隙間から姿を覗かせてくれました。立派な笠雲をかぶって富士山も荒れてそうですね。

奈良田への途中にある大門沢小屋でしばしコーヒーブレーク。農鳥岳から奈良田への道は長くて厳しいと聞いていましたが、噂に違わぬ急登の連続で足への負担がハンパじゃない。

真っ白な景色の中、南アルプスに心身ともに鍛えてもらいましたぜ(‘ω’)ノ

奈良田から広河原、甲府を経由して東京へ…

奈良田から東京への帰路は、広河原へ戻って甲府を経由することにします。奈良田から身延(みのぶ)、身延から新宿への高速バスという手もありますが、接続があまりよろしくなかったので、最短で帰れそうな方法を選びました。

天気との負け戦で心はズタボロ。この前の穂高岳登山も天気が悪かったので、夏山がトラウマになりそう。次こそは・・・確実に好天を狙って出発しなければ!そして、白根三山の縦走は絶対リベンジします!

目次

まとめ

2017年の夏は太平洋高気圧が全くと言っていいほど張り出してこず、太平洋側は悪天候が続いています。東京は14日連続で雨が降っていて、記録的な日照不足。太平洋側にある南アルプスは連日ガスという厳しい状況。それでも南アルプスに来たくて勝負をかけてみましたが・・・惨敗。オホーツク海高気圧が張り出している時は、素直に北アルプスへ行った方が晴れ間は多いです。分かっちゃいますが、早く南アルプス歩いてみたかったの(涙)山の天気は勉強と経験の繰り返し。また一つ勉強になりました。

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コメント一覧 (4件)

  • おお!やっと見れた。
    天気ばかりはしょうがないですな。
    長い人生、こういう時もあります。

    • どうもこんにちは、ガス男です笑
      長い人生・・・そういう風にとらえないと、山とは付き合っていけませんね。
      今回、本当思い知らされました。

  • 清宮さん こんにちは。
    私なんて旅行に行けば、たいがい雨で妻には雨男と言われてます。
    北海道に2回行ったんですが2回とも雨でした(涙)
    清宮さんはトータルすれば、まだまだ晴れが断然多いですよね。
    たまにはこんな事もありますよ。ドンマイ!

    • ですね・・・トータルで考えないといけないのに、ついマイナスの事があると凹んでしまいます。
      北海道で雨は本当泣きたくなるでしょうね。わかります。。

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