日帰り登山ではなく山泊をおすすめする記事を書いたことがありますが、今回はそんな山泊の中でも「連泊登山のススメ」をご紹介したいと思います。
時間があればできるだけ多くのピークを踏みたいと思うのはある意味当然なんですが、急いで歩くばかりが登山の醍醐味ではありません。
一カ所にとどまり、朝から晩まで過ごすことで見えてくるものがあります。
1. 連泊登山だからこそ味わえる山の絶景。
同じテント場・山小屋に連泊するからこそ出会える絶景があります。朝は余裕を持ってご来光を望み、日中は流れる雲を眺め、日没時には夕焼けのグラデーションに感動する。フィナーレの夜にはコーヒーを飲みながら星を見上げる。
連泊登山では山をディープに、山の景色を余裕を持って楽しむことが可能です。
「時間があれば誰だってそうする」という声が聞こえてきそうですが、時間があっても同じ場所に2泊する経験って意識しないとできないものです。
「1泊でも可能でしょ?」と言われれば確かにそうです。でも、1日ゆっくりできるか否かの違いは大きい。移動せず山の中で1日を過ごす事に意味があります。
時間を割り振って多くのピークを登頂するのも悪くありませんが、山からの景色を楽しみたいという人にこそ連泊登山をぜひおすすめしたいですね。
2. ゆとりを持った計画でディープな山時間を過ごす。
登山口から遠い山小屋やテント場ほど、到着する時間が遅くなり、翌日の朝も早いもの。
テント泊の場合、長い時間歩いてようやくテント場についても、その後はテントの設営や夕食の準備などで忙しない。それでいて翌日も長時間の歩行を予定しているとあっては、忙しい行動予定に終始してしまいます。
普段の登山で長距離を歩き通している人こそ、時にはゆとりある登山をしてみるのも一考です。1日山の中に留まる事で山をよりディープに感じることができます。
同じ場所で連泊することにより、翌日は疲れ知らずの状態で充実した山時間を過ごすことができますよ。
3. 山の中で暇を楽しむ。
同じ場所で連泊すると時間に余裕が生まれ、暇だと感じることすらあります。でも、そんな暇な時間が愛おしいじゃないですか。大好きな山の中で暇を持て余す、想像しただけでいかに贅沢かお分かりいただけると思います。
下界では忙しない毎日を過ごしているからこそ、山の中で暇を堪能してみるという発想。
下界と断絶された山の中、暇な時間を過ごすということは、時間の使い方を見つめ直す良い機会でもあります。自宅で暇しているとスマホを見たりテレビを見たりといくらでも時間を潰せますが、山の中ではそう上手くもいきません。電波がない場合はなおさらです。「1時間ってこんなに長かったんだ」と思わず驚くことも。
あえて暇な時間に身を置くとも言えるでしょう。山の中は世間から距離を置いてゆっくりできる場所だからこそ、山の中でぼーっと過ごす時間が尊く感じるものです。
連泊登山の記録
私も常に連泊登山をしているわけではありませんが、連泊登山をした時の記憶は色濃く残っています。
その裏には山で写真を撮りたいという思いがあります。同じ場所に長時間留まる事は山の写真の基本です。プロの山岳写真家の先生などは山小屋を拠点に連泊するのが当たり前のようです。山岳写真ではいかに山の中に長い時間いられるかが肝ですので、山で写真を撮りたい人こそ連泊登山を試してみてください。
石鎚山
上河内岳
涸沢岳
連泊に適した山小屋・テント場なんていくらでもありますが、景色が良いところなら尚良いですね。
宿泊場所から手軽に展望地へ行けたほうが楽ですからね。ゆっくりした時間を過ごすというコンセプトにも合致します。おすすめは…例えば穂高岳山荘、蝶ヶ岳ヒュッテ、剱澤小屋、唐松岳頂上宿舎、白馬山荘・・・など例を挙げればいくらでもあります。
アルプスは山小屋のすぐ近くに絶景の展望台があることが多いので連泊におすすめです。
もし連泊登山をしたことがないという人は、ぜひ体験してみてください。
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