投稿日:2020年2月19日 更新日:

ソール・ライター展覧会(2020年)に行って写真にについて改めて考えたこと

写真家「ソール・ライター」の展覧会に行ってきました。

2017年にも日本で展覧会が開催されたようですが、ものすごい反響だったらしい。わずか3年後の今、再び開催されています。

【公式】永遠のソール・ライター2020年展覧会

私はぶっちゃけてしまえば、ソール・ライター氏の事を何も知らず、嫁さんについて行っただけなのですが、趣味でも写真を撮るものとして感じた事があったのでまとめてみます。

写真は必ずしも真実を写すだけの道具ではない

私が使っている一眼レフやミラーレスは写りが良い。

写りが良いというのは、シャッターを適当に切っただけでブレることなく目の前にある光景をほぼありのままに写真として記録に残すことができる。その一方でレタッチソフトを使えば撮影後の写真を簡単に異なった雰囲気に編集することも可能。

便利だからこそ、どんな写真を撮りたいのか迷う事や、撮った後の編集で頭を抱えることがある。

「良い写真とは何だろう?」なんていうのは写真を撮っている人にとって一度は考える悩みだと思う。

翻って、展覧会で見たソール・ライター氏の時代は1940年代や1950年代の写真。当然フィルムカメラで撮影されている。だからこそ、フィルム写真ならではの味があり、独特の描写がある。フィルムカメラの時代に「カメラは見た景色をありのまま残すための道具だ」という現代でよく起こる議論があったのかは分からないけれど、ソール・ライター(というかこの時代の写真全般かもしれない)の写真を見て、改めて感じた。

「写真は自分が撮りたい対象を、自由な切り口で表現すればいいんだ」と。

「いい写真とは?写真は写実的であるべきか?」なんていうのは、デジタルカメラで簡単に精細な写真が撮れるからこその悩みなんだ。素敵な写真はそんなこと関係なしに、人を惹きつける。デジタル写真の現像(レタッチ)の仕方とか、現実との乖離やら何やらは、本当に瑣末な問題で、本人が見た景色を好きな様に、好きな風に伝えればそれでいいんだと思った。

ソール・ライターのような世界的に有名な写真展だったからこそ、そう感じたのかもしれない。彼が有名だからそう思ったのではなく、展覧会で自分の目で見てそう感じたのだから、きっと間違いない感覚なんだろう。

ソール・ライターの写真は何が魅力的なのか?

時代が時代だけに、もともとはモノクロ写真、没後にカラー現像された写真も多いという。有名になろうという欲が強かったわけでは全くない作家さんらしい。そのためか、自分が撮りたい写真を自由な切り口で撮っていたんだろうな。商業的な写真ではなく「オシャレ」という言葉がすごくマッチした写真だった。なんでオシャレと感じたのかをちょっとだけ考えてみます。

1. 思い切り前景を被せている

スナップではよくある手法だけれど、とにかく前景(窓や格子、屋根や建物)を被写体に思い切り被せている写真がとにかく目立った。前景と呼ぶには邪魔すぎると思う程に、フレームの中に占める前景の割合が際立った写真が多かった。被写体を際立たせるための前景というよりは、前景が本当に邪魔だからこそ、奥の景色が「気になってしまう」。普通であれば、もっと主役にフォーカスを当てるところを、あえて前景が邪魔をしていることで、見ていて「なんの写真何だろう?」「どういう状況だったんだろう?」と想像を掻き立てられた。もちろん、撮り方や切り取り方が上手と言うのは大前提で。

2. あえて一部しか写さない

「これはどんな状況だったんだろう?」と思う写真が多かった。いい写真は「見ている人に考えさせる」というけれど、ソール・ライターはまさにそんな写真を時代に先駆けて撮っていたのかもしれない。全体を写すのではなく、一部を写すことで見ている人に「これはいったい?」と考えさせることに成功しているように思った。美しい景色、面白い景色、迫力ある景色の「全体」を写真に残すことはカメラとシチュエーションさえそろっていれば誰でもできるのだけれど、その状況を「連想させる、考えさせる、結末は見ている人に委ねる」のはとても難しい。たぶん、それはカメラだけではなく、本や、映画や、俳句などでも同じだと思う。

3. 絵画のような描写の結露

私なんかは不勉強なのでソール・ライターのことを何も知らないのだけれど、ちょっと調べると結露した窓越しの写真が多く出てくる。おそらく、代表作品なんだろうし、私もとても惹かれた。結露した窓越しに人などのシルエットが写っているのだけれど、一見すると油絵などの絵画のようにも見えてくる。大したことがない被写体にも思えるけれど、とてもアーティスティックで、いざ撮ろうとしても簡単には出会えない景色であることに気づく。魅力的な写真は、その景色に出会えるか、気付けるか、ということが何より大切なのだけれど、ソール・ライターはきっとその感性がすごかったんだろうな。

4. 時代?街?色使いが大胆

カラー写真の多くはとても大胆な色使いをしていた。写真なので色使いという表現もおかしいけれど、大胆な色の使い方が、とても「絵画的」だったように思う。撮っている時代や場所の影響も大きいと思うけれど、同じ景色を異なる人が撮影すると全く違う表情の写真になることは多い。きっとソール・ライターは町の中で主役になる色を見つけるのが上手だったのだろうし、なにより観察するのが好きだったんだろうな。

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展覧会は3月8日まで開催しているので、興味がある方は行ってみることをおすすめします。写真を撮る方には、面白い気付きや発見があると思いますよ。それにしても「ソール・ライター」と初めて聞いた時には「Soul Writer」かと思ったほどに、写真がオシャレなのはもちろんのこと、名前がオシャレすぎる写真家でした(๑´ڡ`๑)

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